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シカ害に脅かされる鴨川の水源地 〜 “実感する” 狂い出した森林生態系
本稿は『けもの道 2016特別号』(2016年刊)に掲載された記事を note 向けに編集したものです。掲載内容は刊行当時のものとなっております。あらかじめご了承ください。
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京都市内を流れる清流・鴨川。古くは平安時代から日本の史記に登場する歴史ある河川の一つであり、その水源は京都市北区の深山地域、雲ヶ畑にある。近年、増え過ぎたシカによる害はその水源となる森林にも等しく及んでいる。鴨川の水源を見守る岩屋山志明院の住職・田中真澄氏にシカ害の実態を聞く。
岩屋山志明院
岩屋山は829年(天長6年)弘法大師が、淳和天皇の叡願により創建、本尊不動明王は淳和天皇の勅願に依り弘法大師の直作と伝えられ、根本中院本尊眼力不動明王は宇多天皇の勅願により菅原道真公一刀三礼の彫刻で以来皇室勅願所として崇敬深く、秘仏として即位に際し勅使を迎え開扉され、宝祚延長、万民安穩の祈願を籠めた。日本最古不動明王顕現の神秘霊峯である。
皇室の崇敬の一因には鴨川の水源地である洞窟の湧水を敬い、水神を祀り、清浄な鴨川の用水を祈願したと伝わる。水の伝説として有名な歌舞伎十八番「鳴神」がある。
1831年(天保2年)失火により山門を除く殆んどが焼失の悲運にあったが本尊不動明王は災厄を免れた。その後、熱心な信者により復興された。
ごく短期間で現れたシカの害
「シカが増えたのは、ここ12~13年の間ですね。それまではこの寺の周りでもたまに見かけるぐらいで、当時はまだ自然の動物と出会うのが嬉しかったものです。」
雲ヶ畑地域を登る道路の最奥に位置する岩屋山志明院。入り口の駐車場から石階段を上がると寺務所があり、本堂へと続く山門が見える。寺務所周囲には山の恵みである鴨川の源流をたたえ、青々とした野草などが生い茂る。しかし、その周囲には荘厳な雰囲気には似つかわしくない電気柵が設置され、山門へと渡る石橋にはブルーのシカ除けネットが備え付けられている。
「6、7年前までには本堂から寺務所周りの草まですべて食べられました。夜には寺務所の前でシカが寝ていたほどです。電気柵やシカ除けネットを設置して、ようやくこの周りだけは多少マシにはなりました。しかし森の中の状況はひどいものです。」
山門をくぐると、本堂までは石階段が続き、シカが増える以前は、その両脇をコアジサイなど季節の花々が彩りを与えていたという。今では花や新芽はすっかりシカに食べられてしまい、残された茎や枝と、シカが食べられない一部の草葉が物寂しく参拝者を出迎えている。
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実感する森林生態系の狂い
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