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写真を撮るより難しい? 課題山積みの初めてエア猟記

本稿は『けもの道 2018春号』(2018年4月刊)に掲載された記事を note 向けに編集したものです。掲載内容は刊行当時のものとなっております。あらかじめご了承ください。

狩猟を行なうには狩猟免許の取得、猟具等の取得・所持の許可、狩猟者登録などの手続きが必要なほか、狩猟期間や猟法、狩猟できる区域や鳥獣の制限等があります。狩猟制度に関する情報については「狩猟ポータル」(環境省)等でご確認ください。


写真・文|安藤“アン”誠起

カメラを覗く感じでスコープを覗いてはならない

いきなり出遅れてしまった。

当初は11月15日の狩猟解禁日に狩りデビューするつもりだった。

すでに狩猟免許取得と初心者講習は合格していたこともあり、あと2ヶ月半もあれば銃が所持できるだろうと油断したのがマズかった。

8月下旬から各種申請を始めたのだが、思った以上にやり取りに時間がかかってしまい、猟期開始から10日ほど遅れて、もろもろの準備が揃った次第。

銃は甲府にある銃砲店『ヒーローズインク』でベンジャミン マキシマスを購入した。値段も手頃、ある程度精度の高い銃ということが決め手だ。初めて持つ実銃…まじまじと見ると、なんだか自分が誇らしげに思えてくる。ふふふ。

11月下旬、心躍らせながらゼロインの射撃場に向かう。エア銃の洗礼はスコープを覗いたときに早速やってきた。

あれ? ファインダーの中にさらに円が!

今となっては当たり前なんだけど、ボクはスコープってカメラのファインダーのようなものだと思っていた。ほぼ覗いたままに見える感じというか…。しかも、頬をつける位置によっては、その円が右に切れたり、左に切れたりするではないか! 思ったよりも見にくいなぁ。

あるハンターに聞いたところ、自衛隊では狙いを素早く正確に定めるために、この頬づけを何百回、何千回と練習するらしい。

実は弾道を調整するのもちょっとした苦労があった。

スコープはビクセンのライフルスコープ4-16×44にしたのだが、弾道を左右および上下に調整するダイアルに保護キャップが被っており、調整の仕方がよくわからなかったのだ。説明書もらってないし…。

しかし銃砲店に問い合わせ、問題はクリア。あれこれとやっている内に、とりあえず弾は的に当たるようになってきた。楽しい! スナイパーになった気分だ。

安藤“アン”誠起
“旅と人とクワガタと…” がコンセプトの写真作家。東京と長野県塩尻市の2拠点で撮影や作家活動をしつつ、地方創生にも取り組む。本誌『けもの道』では主にジビエ料理など写真を活かしたコンテンツを担当。平成29年度から念願の銃猟デビュー。『日本と世界のカブトムシ・クワガタの飼い方』(実業之日本社)など著書多数。奄美観光大使も務める。

初心者は、素直に先輩ハンターの教えを乞う

さて次はいよいよフィールドだ。

ここが実際の狩りで最初に待ち受ける難関だと思う。山? 川? 里山? 近くの果樹園? まずは、どこに行けばいいのかわからないのだ。

さらに初心者にとって難解なのがハンターマップ。地図上では狩猟がOKのエリアであっても、そこにガッツリ民家があったり、人の行き来が多かったりして、発砲するのが到底無理なエリアも多い。むしろこれは参考資料&禁止エリアを知るマップとも言えるなぁ。

実のところ、やはり自分の目で現場をチェックしないとわからないですねぇ。その土地ならではのルールもあったりするし。

そこで、一度先輩ハンターに狩りに同行させてもらうことにした。まずは先人の教えを乞い、あとは自分でいろいろ経験を積んでいく…狩猟の基本ですね。

余談だが、ボクは東京都内と長野県の塩尻市に事務所があり、そこを行き来して撮影や作家活動を活かした地方創生の仕事をしているので、メインの狩り場を長野県にし、その中間地であり、銃を購入した銃砲店もある山梨県でも狩猟登録をした。

フィールドデビューとなったのは12月に入ってすぐ。山梨県の里山から少し山間に入ったポイント。ポイント付近にクルマを停め降りると、60〜70m先にキジバトの姿が。

「あ、いた、いた!」

初心者にありがちなケースとして、対象の鳥を見つけただけでなぜか嬉しく、ただただ喜んでしまう。弾を込めて狙いを定める…これをしなくちゃいけないのに。弾を込めるのにまごついてる内に、キジバトは逃げてしまった。

その後、ポイントを移動してヒヨドリを見つけたので立射りっしゃで発射。むむ、思った以上に銃口が安定しないぞ。「ピシュ」という心地よい音を発して弾は出たものの当たるどころか、鳥が気づいてすらもいないではないか。

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