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【後編】育児、思ってたんと違う10選


「もともと子ども得意じゃなくて、SNS見るたびにこの国での子育てが不安で胃がひっくり返りそうになってるけど、でもなんか色々思ってたんと違うぞ、妊婦時代の自分よ安心したまえ」という思いで書き綴った、育児思ってたんと違う10選。長くなりそうなので、前後編に分けました。


スシローまじ楽しいありがとう、ポイント貯めて「感謝まいど盛り」をいただくまで通い詰めるし株も買うよという話だけで1本書けそうなので、それはそれで後日書きたいと思う。

さて、後編である。


6,あらゆる「2周目」がより楽しめる

コンテンツから季節のイベントまで……人生で通過するものの「2周目」がめちゃくちゃ味わい深い、という話。


まずはコンテンツから。

映画、本、漫画、音楽……ストレートに親世代をターゲットした作品以外でも、その中で見落としていた「あぁッあの時の主人公の親の表情の裏にはこんな感情が……!(滝涙)」的な気付きが意外にもたくさんある。

なかでも個人的にハッとしたのが、「モンスターズ・インク」。
かつての私は、ストレートにサリーとマイクの友情を描いたバディもの、大企業で働くプロフェッショナルの、仕事に対する価値観を描いたお仕事ものとして楽しんでいた。

が、育休中になんとなく見返してみたら……たまげた……これ、初めての育児に戸惑い、モンスターのような子どもに振り回されおどおどするパパの物語じゃん……だんだん庇護者として頼もしくなっていく物語じゃん……(滝涙)

後から人に聞いて知ったのですが、そもそも制作側も「育児に戸惑う父親」をテーマのひとつにしていたのですね。育児や子どもに対する解像度があまりに低かったので、ぜんっぜん感じ取れなかった……

元から大好きな作品で何度も観ていた作品ではあるけど、その視点をもったうえで見返すと、共感や感動が何倍にもなって押し寄せてきて……

年を取るごとに新しいコンテンツを消費することに億劫になり、感動するきっかけも減ってきていた私。でも今は、自分の中に生まれた新しい"楽しみ方フィルター"で、お気に入りの作品をもう一度楽しめるようになった。そして、多様な解釈と楽しみ方のできる作品を作るクリエイターへの尊敬の念も、マシマシになりました。

続いて「イベント」。
クリスマスやお正月、ひなまつりに夏休み……そういった季節イベントについても、「楽しむ側」と「楽しませる側」とでは見え方が全然違う。プレゼントは、選ぶのも楽しい。
ビッグイベント以外にも、七夕だったり十五夜だったり……十年以上スルーしてたようなイベントに、育児を通して再会する。

自分の子どもの頃をほんのりと思い出しながらカレンダーをめくり、行事に参加する。これは意外にも楽しいし、飽きない。
10年以上先だろうけど、受験や就活のときにはどんな気持ちになるのかなぁ。


7,いまどきの育児グッズ、おしゃれ

抱っこ紐にベビーカー、おもちゃに子ども用食器。育児を始めると想定以上にたくさんの「もの」に囲まれる。

正直昔は、それが嫌で嫌でしかたなかった。
「育児用」「子ども用」に作られたものって、どれもこれもどこか野暮ったいというかダサいというか、もう一気に所帯染みちゃうデザインばかりでしょ……せっかく服やインテリアに気を遣ってても、台無しになるやん。

が、実際に妊娠してからネットや実店舗で育児グッズを見てみると、びっくりするくらいおしゃれなものが多い! 色もね、流行りのくすみカラーが席巻しててびびった!
ベビーカーなんて、子ども乗ってなくても優雅に押したいくらいスタイリッシュな色・形のものが多い!!

子どもにとっては派手なデザイン、原色のほうが認識しやすくて安心、という声もよく見かけるし、理解できる。
でも、ただでさえ自分自身を見失いがちになる育児、使うものによってほんの少しでも育児者のテンションを上げられるというのは、家族にとっていいことだと思う。

あと、the 育児グッズ!という見た目じゃなくなることによって、父親の心理的障壁が下がる気がする。おしゃれとかごちゃごちゃ言ってる場合じゃないぞとも思うけど、見た目があまりにも自分に馴染みのないものだと抵抗を感じてしまうのは、自然な感情な気がする。

毎日使うもの、しょっちゅう買いにいくものだからこそ、「選ぶのが楽しい」「お店にいくとわくわくする」という感覚をもてるとQOLがぐっとあがる気がするし、なんていうんだろう、安全性のみならずデザイン性にまで気を配ってくれる企業やメーカーさんに、応援されているような気持ちになって心強い。

不思議なことに、おしゃれな選択肢があると、原色!派手派手!な子ども視点に立ったデザインにもほっこりするようになり、場面にあうものを選ぶようになった。大切なのは、選択肢があることなんだと思う。


8,シナぷしゅという神コンテンツに出会えた

7と同じ、といえば同じですが……

子どもにも親にも大人気の、民放初の赤ちゃん向け番組「シナぷしゅ」。育児中のご家庭で、知らない人はいないのではないだろうか。

子がほのかにイヤイヤ期の兆しを見せている今の我が家で、ぷしゅぷしゅ(シナぷしゅのメインキャラクター)は家族の一員といっても過言ではない。

うちはYouTubeでシナぷしゅchを観ることが多いのだけれど、毎月更新される公式ソング「つきうた」を初めて聴いたときは衝撃だった。

流行りのメロディーをとらえていながら、子どもがノリやすい歌詞、テンポ、映像……これまでの童謡とも、子ども向けアニメソングとも違う、唯一無二の魅力と強さがある。そして制作陣も、豪華。
リアル音楽イベント「ぷしゅソングフェス」のチケットが争奪戦だったこともうなずけるくらい、とにかく本気でかっこいい・素敵な曲が揃っているのだ。

ちなみに私は、ゆるくてキュートでどこか切ないボーカル・歌詞に病みつきになる「かぞえうた」、K-POPや90年代のJ-POPを彷彿とさせるダンスナンバー「push the button」が大好き。push the button、"ぷしゅ"との掛詞になっている面白さに加え、全親が悩まされるであろう「ボタン押したい期」をとらえたタイトルがもう優勝。

子ども視点を失わずに、そっと親の心をほぐしてくれるシナぷしゅ。
YouTubeの公式chには、つきうたの制作秘話や制作陣のトークを流す「おとなぷしゅ」というコンテンツもあり、こちらも、ゆるくもアツい内容となっているのでぜひおすすめしたい。

シナぷしゅ制作スタッフの皆様、あたたかくてかっこいい、元気の出るコンテンツを本当にありがとうございます。

※シナぷしゅの過去のnote記事で、赤ちゃん向けラップ曲の制作秘話がありました。ゆるくて面白かったので共有。


9,仲間が増える

親になるということは、人生の主人公を一旦おりること。そう思っていた時期もあった。

もともと人と話すこと・遊ぶことが大好きで、休みの日は外で誰かと遊んでいたい!という私にとって、出産後不安だったのは「友人付き合いがなくなってこのまま孤立してしまうこと」だった。
特に育休取得中は、仕事で人と関わることもないので、会話する相手は98%が夫、残りの2%が小児科医か役所の方だ。

これは私にとってはなかなかきついもので、別に育児の話をしたいわけではなく、ただ「このファンデよかった」「あそこのパティスリー最高だった」「最近推しが……」そんなたわいもない話が恋しくて仕方なかった。


新生児期が過ぎ去り、少しずつ子どもと外に出られるようになった頃。
私は、Twitterのママアカでの交流と、近くの支援センター通いをはじめた。

「ママアカ」という界隈があることもよく知らなかったのだが、始めてみると本当に楽しい。誰に話しかけるわけでもない、独り言のようなつぶやきを拾ってもらえて慰められたり、おすすめのおもちゃや便利グッズを教えてもらったり、時には子連れでランチをしたり遊びに出かけたり。もはや子どもは関係なしに飲みに行ったり、趣味につきあってもらって出かけることもあった。

母親としての自分と、ただのありのままの私。そのふたつの「私」が自由に出入りできるSNSだからこそつながれた彼女たちとのやり取りは本当に楽しくて、おかげで私の育休期間・初めての育児はあたたかくて幸せなものになった。

また、支援センターや保育園で出会ったママたちとの交流にも助けられた。
近所に住んでいること以外、年齢も仕事も家族構成もばらばらなのだけど、近くの公園でのお祭りやイベントだったり、不審者情報だったり……いまだに紙でしか貼りだされない情報もあるなか、LINEグループでお互いに情報を共有できる関係性のご近所ママさんがいるというのは、本当に心強い。
特に、専業主婦のママさんに「復帰したらお仕事大変だと思いますが、しんどいことがあったらよければ頼ってくださいね。ご近所だし」と(社交辞令かもしれないけど)声をかけていただいたときには泣きそうになった。

専業主婦・ワーママの対立を煽る、しょうもない記事や発信も見かけるけど、お互い違う形で社会・家族を支えているだけ。地域で育児をする仲間として、私も相手を助けられるように、出来ることを考えていきたいなと思った。


10,想像力がひろがる

育児は、想像することの連続だ。まだ満足に話せない子どもの気持ちを想像する……ことだけではない。

街を歩いているだけでも、あぁこの位置に段差があるとベビーカーや車いすは大変だな、とか、こんなところに駐車しちゃいけないな、とか、このお店はキッズメニューが豊富!オーナーが育児中なのかな?とか。色々な人の苦労や心配りに気づく機会が増える。それはたぶん、自分の中に未知の育児での苦労、周りの方々から受け取った心配りのストックが増えたからだと思う。大人になって、仕事でどんなに想像力を鍛えているつもりでも、特にハンディキャップを感じる部分については、なかなか実体験にはかなわない。


無知の知、ではないけれど、自分の想像力には限界がある。と知ったのも育児をはじめてからだ。子どもの泣き声に規則性を見出して最適解を速攻繰り出せるようにしてやる!と意気込んでいたこともあったけど、泣いている子にドヤ顔で与えたバナナは床に叩きつけられる。相手の感情を完璧に理解することなんて絶対に不可能だし、相手が子どもなら出来ると思っていた自分はあまりにも浅はかだった。


「相手の立場になって考えましょう」
自分が親から言われてきたことだし、たぶんこの先自分の子どもにも繰り返し言うんだろう。
だけどこの先その言葉を口にするときには、「分かった気にならない」ということも言い添えたい。

こんな記事を書いておいて矛盾するようだが、育児ほど「人それぞれ」を体感できるものはない。どんなに体験談を読んでも、どんなに信頼できそうな発信をチェックしても、ただ目の前の子を笑顔にするだけのことに苦労する日もある。
私にとって良いもの、子にとって良いもの、隣のママさんにとって良いものは違うし、厄介なことに、タイミングによって変化することすらある。だからその日その日で想像力を働かせながらベストを尽くすしかない。

それはなかなかにしんどいけれど、そうして鍛えられた想像力は自分を思いがけない場所に連れて行ってくれる。
あのとき友人はこんな気持ちだったのかな。
あの人はきっと困っている。
もしこうすることができれば、スムーズかもしれない。

小さなことばかりだけれど、そういう思い付きや気付きは、もしかしたら自分の人生のドアを開くことにつながるんじゃないかな、と、今は少し前向きに、どきどきしている。



以上、個人的・育児、思ってたんと違う10選でした。
ネガティブ編も、書こうと思えばいくらでも書けそうだけど、あんまり楽しくないので(笑)、他の人の「思ってたんと違う!楽しい!」をたくさん知りたいなぁ。

これから育児をするなかで、こういうポジティブな発見が少しずつ増えることを願って。

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