Team K part2
【行動力のAshley、先見の明Chammy、記憶力のEmma、そしてリーダーのKayoko。今回もリーダー、Kayokoのおはなし、の続き。】
『レッスン前に車に轢かれた私』
数年前の水曜日。その年は水曜日がもっとも忙しい日でした。
幼児さん60分、低学年100分、高学年100分、中学2年生135分のレッスンを1人でやっていたのです。もちろん好きでやっていましたからね、苦痛などではないのですよ。でもね、さすがに水曜日の私には武器が必要でした。その武器とは・・
「プリン」
レッスンの合間にプリンを食べるのが水曜日の楽しみでした。
あの日も、レッスン準備を全て終わらせてルンルン気分でコンビニまで愛車を走らせました。
あ、愛車っていうのは、電動自転車のことね。私、車の運転できないんで。
お目当てのプリン(とチョコ)を買ってご機嫌で帰る途中・・・
ゴンッ! ガリガリガリッ!!
生まれて初めて車に轢かれました。というか、轢かれたのはほぼ私の愛車の自転車。私もぶつかって倒れたけれど、自転車が身代わりになってくれました。ギリギリ身体は避けられるかな~、あーだめだ避けられない、くらいの感じ。でも自転車は大破しました。赤くてお気に入りだったのに。
降りてきた運転手に初めに放った私の言葉。「私、忙しいので時間かけられません。レッスンがあるんで。とっとと連絡してください!」
周りで心配そうに見ていた人たちも唖然。まあそうですよね。車に轢かれた人が「忙しいから早くしてっ」てブリブリ怒ってるのだから・・・
警察の方もびっくりしてましたよ。
その時、自分で気づきました。私は「レッスンを邪魔されるのが何より嫌い」なのだと。例え車に轢かれたとしても、時間通りにレッスンするという強すぎる気持ちが周りを動かし、なんといつもの水曜日のスケジュールを全てこなしました。
それにしても、異常な光景だったでしょう。ブリブリに怒った(当時)40代女性が、大破した自転車と足を引きずりながら歩いて教室まで帰ったのですから。
そして、なにより大切な私の「プリン」、ぐちゃぐちゃになっちゃった。
その日はプリン無しの水曜日、代わりにあるのは大破した自転車と足のアザ。
そうそう、運転手が私に見せた免許証を見て思わず変な声が出ましたよ。
誕生日が私と一緒。年は違えど、月と日が全く一緒だったんです。
それからというもの、毎年誕生日になるとイヤでも思い出す・・私を轢いた運転手・・おめでとさん。
『その日の幼児クラスのレッスンは・・』
さて、教室に戻った私。時間が経つにつれてだんだん足が痛くなってきました。しかも幼児クラスのレッスンは歌ったり踊ったりするんです。それでも笑顔で踊りました。いや、踊ったつもりでした。
でも、年長さんの女子って凄いですね。気付くんです。
「かよこ先生、足と肩、痛いの?」
あ、事故で痛いのは足だけ、肩は四十肩で痛かったんですよ。それで、
「ちょっとぶつけちゃってね・・」って言ったら、その女の子凄かった!
「分かった。先生は座ってて。私たちで踊るから。歌は大丈夫?歌える?OK。じゃ、先生は歌だけでいいからね。任せて!みんなーっ!かよこ先生足をぶつけちゃったから、私たちだけで踊るよっ!」「OK!先生、立っちゃだめだよ。私たち、踊りは覚えてるから、座っててーー!」
なんかの大会にでも出てるんかっていうくらいの団結力。私がちょっとでも動こうもんなら、全員で全力阻止。こんなに優しくしてもらえるなんて・・
初めてプリンがなくても大丈夫な水曜日でした。あの時のみんな、本当にありがとう。事故はダメだけど、改めて生徒さんに感謝した一日でした。
これだからこの仕事、やめられない。
次回、『膝小僧、終了。』お楽しみに。