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三陽商会さんの事業再生に学ぶべきこと

本日(7/13)の日本経済新聞朝刊の「記者の目 三陽商会、脱「バーバリー」成果 前期3期連続最終黒字 売れ筋集中、粗利益率向上」は、事業再生事例の模範的なケースだなと興味深く読みました。記事を読んだあと、三陽商会さんの「2024年2月期決算説明資料」も確認しています。
 
ご存知の方も多いかもしれませんが、三陽商会さんは2015年に英高級ブランド「バーバリー」の契約が終わったのち、売上が低迷し、過剰在庫をセールで売り切るなどしていたこともあり、16年12月期からは赤字が5期続きでした。19年12月期には売上757億円、営業赤字が29億円になっていたのです。
 
この状況を脱却するため、21年2月期に事業構造改革に着手します。
具体的に売上至上主義で仕入れが膨らみがちだった体質から、売れ筋など商品を絞り込み、売上を約6割まで落としました。この時に不採算店舗の閉鎖や人員削減も行ったと想定され、その構造改革費用もあり、21年2月期には営業赤字が89億円まで膨らみました。
 
しかし、翌年からは売上が反転増加するとともに、利益も急速に改善し、2023年2月期は売上582億円、営業利益22億円となり、前述のように2024年2月期は売上613億円、営業利益30億円まで改善してきたのです。
大きな赤字だった19年12月期よりも売上が少ないのに、黒字化を実現したのです。
 
恐らく、在庫回転が速い売れ筋商品を絞り込むと同時に、店舗、人員を絞り込んだことで、店舗、人員あたりの粗利が増加し、粗利から固定費(店舗費、人件費等)を引いたあとの営業利益が出やすくなっているのです。
私も事業再生計画の作成をご支援させて頂いたこともあるのでイメージはつきますが、ここまでうまく実現するのは素晴らしいと感じます。この実現には2020年からトップを務められている大江社長の強いリーダーシップもあったのでしょう。
 
今後の課題については日経記事にも決算報告資料にもありましたが、更に付加価値を高めるための取組みが重要になるでしょう。
ライセンスビジネス中心から自社ブランドの育成や、オンライン販売の強化などを取り組まれていることが決算資料からも読み取れます。黒字化が実現された今こそ、このような取組みを徹底することが、次への成長につながると思われます。
 
バーバリーのライセンス契約が終了した時は、三陽商会さんの復活は難しいような報道、論調が多かったことを記憶しています。それがここまで回復されたことは、企業経営はいかにトップの戦略、リーダーシップいかんで変わることの学びになり、記憶にとどめるべきだと感じます。

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