興味が尽きない安田善次郎の生き方、姿勢
最近、みずほの前身の一つの富士銀行や、損保ジャパン(安田火災)、明治安田生命などの金融グループだった安田財閥を設立した安田善次郎に強い興味をもっています。
もっと安田善次郎を知りたいと思い、「銀行王 安田善次郎」(北康利著)を読んでみました。
本書を読み進めると、安田善次郎が鉄道、港湾や工業などの社会基盤整備に金融面から積極的に貢献したことを知るとともに、そんな大業を成し遂げながらも、生涯に渡っての地道な勤勉さ、質素さ、謙虚さが印象的です。
そうした安田善次郎の生き方はどこから来たのかな、というのは、まだちょっとモヤモヤしています。
勤勉さ、質素さ、謙虚さは、陰徳を重視した父親や実家の風土から来ているように感じます。
しかし、元々が大阪の豪商に頭をさげる武士をみて商人をめざしたという原点から、どのような内的変化があって、金融を通じた社会の基盤つくりという志をもつにいたったのか。
一つには、富国強兵、産業振興を目指すという国家のビジョンが、安田善次郎をその方向に導いたようにも感じます。しかし、それだけなら、安田善次郎以外の人も同じような志をもっていたでしょう。現実はそうではありませんでした。
もう一つには、勤勉さ、質素さ、謙虚さという生き方、姿勢が、富を得たときに大きな私利・私欲を充足する方向に向かわず、富の使い道として社会基盤つくりという大きな志に向かわせた可能性があります。
もしそうであるならば、冒頭のように「大業」と「勤勉さ、質素さ、謙虚さ」というのは一見相反したもののようにみえながら、実は強くリンクしているものなのでは、という気さえしてきます。
安田善次郎は興味が尽きない人物であり、これからも深めていこうと思います。