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歴史の中のクーデターとワグネルの反乱

歴史を振り返ると、非正規軍によるクーデターは難しいものです。逆の言い方をすると、正規軍が中心となったクーデターは成功確率が比較的高いのではないでしょうか。
 
特に20世紀以降のクーデターでは正規軍によるクーデターで成功したものが多いのです。思いつく限りでも、スペイン内戦(1936-39年)、韓国の軍事クーデター(1961年、79年)、チリ・クーデター(1973年)、タイ軍事クーデター(2014年)、ミャンマークーデター(2021年)。いずれも、正規軍が主体となったクーデターです。
 
20世紀、独立した開発途上国において、政権が不安定、また政権と軍部が対立した場合にクーデターが起こっていました。不安定や軍部と対立している政権は軍部をコントロールできず、本来政治に従属すべき軍部が、政治の主体となっていたのです。
 
さて、今回のロシアにおける民間軍事会社ワグネルの反乱。元々からしてワグネル代表プリゴジン氏の目的がプーチン氏から身の安全を守る為の反乱だったのかもしれません。なので、モスクワに向かおうとしたことも、実はパフォーマンスだった可能性もあります。
 
しかし、本気でモスクワに向かおうとしていたら、プーチン大統領にとって脅威だったのでしょうか。多分、ワグネル単体であれば、それほどの脅威ではなかったと感じます。
では、全く脅威がなかったかと言われたら、そうではなかったと思います。ワグネルの反乱が引き金となって、正規軍であるロシア軍の中でクーデターが起こることが最も脅威だったのではないでしょうか。
 
その為、プーチン大統領はプリゴジン氏を反乱罪に問わないとし、ベラルーシに亡命することも黙認しているのではと考えます。ワグネルの反乱が長期化によりロシア軍内部でクーデターが発生するくらいであれば、罪を問わず、亡命を黙認する方がよい選択となるからです。
 
今後はどのように推移していくのでしょうか。プーチン政権はロシア軍内での締め付けを強化するでしょうが、反乱という選択肢が浮上した意味も大きい気がします。現在進行形の事象の為、不透明なことも多々ありますが、今後の動向は目が離せません。

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