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大事な意思決定ほど、情報の精査、検証を

先週、コリン・パウエル氏の「リーダーを目指す人の心得」を読んでみました。

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コリン・パウエル氏は、ブッシュJr政権で国務長官を務めた他、米国軍トップの統合参謀議長を務められた人物になります。ジャマイカ移民の子供として生まれ、青年の頃から働きつつ、「貧者のハーバード」と言われてたニューヨーク市立大学を卒業し、その後に陸軍に入って出世していきました。統合参謀議長として、いわゆる名門の陸軍士官学校出身でないだけでも異例なのですが、黒人初、最年少での就任という、異例ずくめの出世でした。
 
そういう人物が書いた本だけあり、処世訓やリーダーとしての心得として読み応えがあるものでした。「リーダーとして尊敬されたければ、まずは部下を尊敬しろ」あたりは印象深い一節です。
 
そうした順風満帆だったパウエル氏のキャリアの中で、最大の汚点がイラク戦争(2003年)です。この戦争はイラクが大量破壊兵器を所持しているとして、アメリカがイラクに侵攻、当時のフセイン政権を倒したものでした。この際に、パウエル氏は国務長官として、国連の安全保障理事会にて、「イラクは大量破壊兵器を所持している」と衛星写真等を提示しながら説明しました。私も当時ニュースをみた記憶があります。
 
しかし、実際にはイラクには大量破壊兵器が無かったことが、イラク戦争後に分かります。つまり、アメリカがイラク侵攻の大義として掲げたものは誤りだった訳で、ブッシュ政権、特にパウエル氏への批判は非常に高まりました。
 
パウエル氏は、本書ではこの辺のくだりについて、相当数のページを割いて説明しています。決して大量破壊兵器が無いことが分かりながら、あると説明したものではないものの、CIA等から受領した情報に対して精査、検証が足りなかったことに対しては、非常に深い反省をされていることが伝わってきました。
 
これを読むと、とても大事な局面において、重要な情報を精査、検証するのは当たり前ではないかという声もあるかもしれません。しかし、非常に複雑な行政機構の中で、かつ多岐に渡る問題を抱える立場にいて、ともすると受け取った情報を信じ、そのまま利用することはないとは言えません。ましてや信用ある行政機関からのものであればなおさらでしょう。
 
レベルや程度は違いますが、私達もビジネスの中で受け取った情報をそのまま正として判断材料としてしまうことは多々あるものです。もちろん限度はあるものの、それが重要な意思決定であればあるほど、その情報の正しさ、確かさについては自分自身で精査、検証が必要だと感じます。

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