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電気のおはなしその52・交流の性質(4)sinとcosは同じもの

「いやいやいや、sinとcosは別物でしょう。だって定義の式も違うし、現にsin60°とcos60°の値も違うし。何言ってんのー!」

図1・sin、cos、tanの定義

と言われてしまいそうですが(確かにそうなのですが)、今回言いたいことはそこではないのです。まぁちょっくら聞いておくんなまし。

前回、sinのグラフというのは、「円周上を反時計回りに回転する点を、円の右側から見たもの」だという話をしましたね。

図2・sin波形の取りかた

では、sinと並んで使われるcosの波形は、一体どうやって取ったものなのでしょうか?
正解は、「円周上を反時計回りに回転する点を、円の上側から見たもの」になります。

図3・cos波形の取りかた

実は、sinもcosも同じものを見ていて、

sinは円周上を反時計回りに回転する点を右から、cosは上から見て、時間の経過に伴ってどのように値が変化していくかをグラフにしたもの

ということになります。座標軸でいえば、sinはy軸、cosはx軸の値を見ています。

xとyは互いに90°の角度で交わっていますが、このような性質を直交と呼びます。つまり、sinとcosは互いに直交関係にあるのですが、実はこの直交関係、きわめて重要な性質を持っています。詳しい話はまた別の機会に書く…ことがあるかもしれません。

NOTEで詳しい話を書くタイミングが来るか分かりませんが、携帯電話の変調方式であるOFDMは、この三角関数の直交性を巧みに利用しています。

以上より、sinとcosを一つのグラフに落とし込むと次のようになります。

図4・円とsin・cosの関係

これを見ると、sinとcosは互いにグラフを時間的にちょっとずらしただけであることが分かります。そういう意味で、「sinとcosは同じものである」と書いたわけでした。

では、具体的にsinとcosを相互に変換するためにはどうしたら良いでしょうか?答えの一例を書いてしまうと、

cosθ=sin(θ+90°)

のような感じです(他にもあります)。

さらには、角度θをマイナスの値にした場合、つまり角度を反時計回りではなく時計回りに取ったときのsinやcosの値も、変換によって求めることができます。ちょっと図を使いまわして手抜きですが、

図5・時計回り(マイナスの角度)を取ったときのsinの波形(黒色)

これを見ると、円周上を回る点が時計回りに回転した場合、sin波形の値は反時計回りの波形をちょうど上下ひっくり返した形になります。したがって、

sin(-θ)=-sinθ

が成立します。
図は描かないので(手抜きしただけという話もある)考えてみていただきたいのですが、cosの場合も同様にして波形を考えると、

cos(-θ)=cosθ

なんて関係も求めることができます。
他にも色々な関係を導くことができるのですが、詳しくはWikipedia先生に投げてしまおう。

高校時代、数学で三角関数が出てきたとき、これらの基本的な関係式を訳も分からず暗記し、それでもう訳わかめになって数学なんて嫌いだー!となってしまった人も多いかと思います。私は三角関数の加法公式を覚えたのは良いのですが、それを証明しろ、証明できるようになれば理解したことになるし証明は簡単だよ!と言われ、どう考えても当時の私には証明できず、

やっぱりすうがくってむずかしいよね・・・

と若干の苦手意識を抱えてしまったのでした。そんな思いを嚙み締めつつ。

次は位相の話だっけ?あ、tanの話してないな。
次はtanの話を軽く扱って、その次に位相の話にしましょうかね。位相の話とくれば、オイラーの公式と複素数(虚数)の関係も、になるなぁ…。

以上。

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