【認知的不協和理論】日本型ファシズムの成立【心理的メカニズム】――③「ネトウヨ・カルト」(ピラミッド思考)が生まれる『心理的メカニズム』(防衛機制)
「ネトウヨ・カルト」(ピラミッド思考)が生まれる『心理的メカニズム』
◉その1.『ピラミッド支配構造』の絶対化。••••[規則ルールの絶対化と強制]
受験競争や体育会系、あるいは軍隊や企業や官僚機構などのような『ピラミッド支配構造』の中で、「競争に勝たなければならない。負けたら生きる価値がない」というような社会的・精神的・物理的圧力(ストレス)の中で、ひたすら上を目指し 、「勝った!、負けた⋯」と繰り返していく内に、いつの間にかその『ピラミッド支配構造』を絶対化するようになる。
そこでは、
が生きる目的・喜び・快感となる。
そこでは、権力者の命令は絶対であり、他者との「競争・勝敗・順位・強弱・優劣・上下・⋯」が価値の全てとなり、規則ルールや道徳・習慣・風習・慣例・学歴などの「共同幻想」を絶対化し、それを他者に強要し、異質者を排除し、敗者・弱者・少数者を嘲笑・差別・蔑視し、その構造に対する反対者・批判者を攻撃しようとする。(例;体育会系、軍隊、カルト宗教、ブラック企業など)
そして、そのピラミッド支配構造の中で、上に向かって必死に競争している内に、いつの間にか視野が狭くなり、生きる選択肢がなくなり、自分を客観的・俯瞰的に見れなくなり、他者に対する共感能力がなくなり、相手の立場に立って考えることができなくなってしまっている。
それは、脳が『依存状態』になっているのである。
そこでは、『ピラミッド支配構造』(支配と服従の関係)を絶対化し、規則ルールを絶対化し、反対者を激しく攻撃するようになる。
脳が『依存状態』になる仕組み。
脳が『依存状態』になるメカニズム
そこでは、そのピラミッド支配構造を絶対化し、その構造・組織と同一化してしまい、「自分の行動こそ正義」と思い込み、「反対者・批判者は悪」というような二項対立・善悪二元論に陥ってしまう。そして、「1番でなければ意味がない。反抗してはならない。皆と同じでなければならない」と思い込み、自分の行動を否定する人、批判する人に対して激しく憎悪し、攻撃するようになる。
それは「他者に勝ちたい。権力者に認められたい。否定されたくない」というストレスから生じる不安・恐怖・不全感・劣等感・罪悪感の暴走を軽減しようとする『心理的メカニズ厶』の働きによる。
それは、“ギャンブル・アルコール・薬・いじめ・買い物・SNS・痴漢・万引き・自傷行為・仕事中毒(ワーカホリック)など”と同じで、その根底にはストレスなどによる脳の神経伝達物質のバランスの異常による「前頭葉の機能低下」と、「扁桃体の活性化」に伴う不安・恐怖の暴走がある。
その不安・恐怖・劣等感・罪悪感が増大する中で、快感・優越感(ドーパミン放出)を求めて無意識の内に行動を起こし、1度その『報酬系の回路』が出来上がると、その“快感”を求めて「やめたくても、やめられない」状態になり、自分の行動を制御・抑制できなくなっているのである。
ストレス・寂しさ・不安・恐怖・劣等感・罪悪感などを軽減させるために、快感を求めて行動を起こす。そして、1度『報酬系の回路』ができるとやめたくてもやめられなくなり、行動がエスカレートして行く。
◉その2.『脳の依存状態』と「被害妄想」••••[依存行動の正当化]
“依存症”は『ドーパミン』が大きく関係していることが言われている。
『ドーパミン』は快感・優越感をもたらす神経伝達物質で、ストレスが増大し、不安・恐怖が暴走する中で、依存行動(いじめ・差別・パワハラ・誹謗中傷・万引き・痴漢など)をすることで、快感・優越感(ドーパミン放出)を得ようと、身体が無意識の内に動いてしまうのである。
それと同時に『ドーパミン』が過剰になると“妄想・幻覚”が酷くなることも知られている。
つまり、不安・恐怖を軽減しようとする心理的メカニズムの中で、何か大きなもの、権力者・強者・教祖に「依存・同一化」するとともに、その依存行動を正当化するために、心の中の不安・恐怖を投影した幻覚・妄想を作り出す。例えば、悪魔や幽霊や妖怪や仮想敵・対立組織を作り出すことで、自分の行動(依存・同一化)を正当化しようとするのである。
例えば、カルト宗教は、たいてい「悪魔が自分達を陥れようとしている」と言って、自分達の行動を正当化し、信者から献金を巻き上げようとする。
同じように、煽り運転を繰り返す人は、「相手が先に煽ってきた。相手に馬鹿にされた」と言う。体罰・虐待する人は、「相手が先に攻撃してきた。相手のためにやった」と言う。また、たいていの差別主義者は、「自分は差別されている。攻撃されている。殺人予告されている」と言って差別・ヘイトを正当化する。
つまり、『依存行動』と『被害妄想』は表裏一体の関係にある。そして、それは「ドーパミン過剰分泌」と関係がある。
◉その3.『脳の依存状態』と「優越の錯覚」••••[ダニング=クルーガー効果。葛藤の低下]
また、『ドーパミン』は「優越の錯覚」とも関係していることが言われている。
そのことは、「脳の依存状態」が進めば進むほど、ドーパミン放出量が増加し、心の葛藤が無くなり、「優越の錯覚」が強くなることを意味している。
つまり、「依存」が強く、神や国家と同一化している人ほど、『優越の錯覚』が強くなると同時に、「自分は攻撃されている。差別されている。誰かが自分を陥れようとしている」という『被害妄想』が強くなる。
そこでは、脳の抑制機能が低下し、不安・恐怖・劣等感・罪悪感が増大すればするほど、“国家・権力者・強者・教祖・神”と同一化し、規則ルールを絶対化し、それを他者に強制することで、快感・優越感を得ようとしているのである。(とんでも校則、経営計画書(BM)、国旗国歌条例(大阪)、マスク警察、自粛警察、PCR抑制論、反ワクチン、ボランティアバッシング、冷笑主義、私人逮捕、マイナ保険証、厳罰化、スパイ防止法など)
◉まとめ.「ネトウヨ・カルト」が生まれる仕組み••••[不安・恐怖・劣等感・罪悪感を軽減しようとする防衛本能]
以上のことから、〘脳の依存状態〙=「集団依存・帰属意識」「被害妄想・他責思考」「優越の錯覚・選民思想」は、相関関係にあると仮定できる。
そしてそれは、「心の中の不安・恐怖・劣等感・罪悪感を払拭し、自分の行動を正当化したい」という防衛本能から来ている。
『ピラミッド支配構造』の管理競争社会の中で、「負けてはいけない、逃げてはいけない。教祖に認められたい。人の上に立ちたい」というようなストレスが強まるとともに神経伝達物質のバランスが崩れ、不安・恐怖・劣等感・罪悪感が高まり、それを軽減しようとすら防衛本能が働き⋯
そうして御用学者・ネトウヨ・カルトが生まれる。
御用学者・ネトウヨ・カルト
【権力志向】と 『御用学者』
そうして脳が『依存状態』になっていくと、客観的・俯瞰的視点が失われ、論理的・体系的・多角的・科学的思考ができなくなる。
『ピラミッド構造社会』の中で「他者に勝ちたい、権力者に認められたい。人の上に立ちたい」という欲望(優越欲求・承認欲求)の中で、その『ピラミッド支配構造』を正当化しようとする『認知バイアス』が働くと同時に、それを壊そうとする者、否定する者たちに対して嫌悪感を示す。
そこでは自分の保身と、権力者・企業・組織を守ることが全てとなる。(例;水俣病における御用学者→「工場排水が原因でない。貧乏人が腐った魚を食べたためだ。批判者は外国に操られている」)
そこでは、自分の行動を正当化するために、物事を一面的にしか見れなくなっている。
思考が「敵が味方か、善か悪か」の二項対立に陥り、「自分の行動を肯定する者」=『善』、「自分の行動を否定する者」=『悪』となる。「権力・組織・教祖を守ろうとする者」=『善』、「批判・否定する者」=『悪』となる。
そこでは、自分の依存(支配と服従、差別)を正当化しようとするあまり、一面的にしか物事を見ることができなくなる。都合の良いことばかり見て、都合の悪いことは見ない。→『確証バイアス』
そこでは、“権力者に気に入られること”が全てとなり、権力者に“媚を売る”と同時に、反対者・被害者・少数者に対して、より過激に“攻撃・誹謗中傷”することで、仲間に自分の『存在価値』を誇示しようとする。
“強者・権力者・独裁者”を支持し、同一化し、“弱者・少数者・批判者・被害者”を攻撃することで、自分が“強者”になったように錯覚し、気持ちが良くなっている。
しかし、どんなに弱者・少数者・批判者・反対者を攻撃しても、潜在意識の中の不安・恐怖・不全感・劣等感・罪悪感は収まることはない。自分の置かれている状況(抑圧・ストレス・強迫観念)は改善することはない。
どんなにいい大学に入っても、馬車馬のように働き続けてカネを稼いでも、高級車を乗り回しても、たくさんの異性にモテたとしても、決して心は豊かにならない。満足できない。
どんなに薬を飲み続けても、どんなに弱者を“いじめ・虐待・パワハラ・誹謗中傷”しても、どんなに批判者や外国人を追い出しても心の中の不安・恐怖は収まることはない。
それは「脳の病気(依存症)」なのだから、その病気を治さない限り無くならない。
どんなに都市開発しタワマンだらけになっても、地方の隅々まで新幹線が通っても、リニアが開通しても、原発再稼働しても、財政拡大させても、老人が全部いなくなっても決して日本は豊かにならないし、満足することはない。
強迫観念に取り憑かれ、常に自然を破壊し、開発し続け、反対者・少数者を叩き続けなければならない。
それと同じように、例えばロシアや中国・北朝鮮や大日本帝国のように、どんなに軍備増強し、核武装しても決して安心することはない。むしろ心の中の不安・恐怖(被害妄想・猜疑心)は膨張・暴走し続け、常に誰か(仮想敵)を攻撃し、侵略し、批判者を粛清し続けなければならない。
そこでは無意識に『悪い自分』を投影した生贄・仮想敵を作り出し、攻撃することで、心の中の不安・恐怖を軽減し、安心感・優越感を得ようとする心理的メカニズムが働いている。→【防衛機制】
【防衛機制】とは何か?――『善悪二元論』
【防衛機制】とは、「不安・恐怖・劣等感・罪悪感を軽減しようとする『心理的メカニズム』
管理競争社会の中で、体罰・虐待・過干渉などのストレスに晒され続けると脳の抑制機能の成長が抑えられ、「自立」することが困難になる。1つの価値観〔比較・競争・優劣・学歴⋯〕に凝り固まり、生きる選択肢が狭まり、融通が利かなくなる。共感能力が崩壊し、相手の立場に立って考えることができなくなる。
その『ピラミッド支配構造』の檻の中で、『良い(褒められる)自分』と『悪い(怒られる)自分』、あるいは「こうなりたい」という『理想の自分』と、「思うようにならない」という『現実の自分』との不協和が拡大していくと、そこから生じる不安・恐怖・劣等感・罪悪感を軽減しようとる圧力が強まっていく。
その不安・恐怖・劣等感・罪悪感を軽減し、自分の行動を正当化しようとする無意識的な『心理的メカニズム』を【防衛機制】という。
では具体的にどんな防衛機制が働くだろうか?
【分裂(防衛機制)】と「善悪二元論」の関係
物事にはすべて『良い側面』と『悪い側面』があるが、ピラミッド支配構造の管理競争社会の中でストレスが増大するに伴って脳の抑制機能が低下し、分裂が起こると、多角的に物事を見ることができなくなる。
そこでは「善か、悪か」、「敵か、味方か」の二分割思考(善悪二元論・白黒思考・0か100思考)になる。
それは「親から認められたい。否定されたくない。怒られたくない」という不安・恐怖の中で、『良い(褒められる・認められる)自分』と『悪い(怒られる・否定される)自分』に分裂させ、自分の『良い側面』しか見えなくすることによって、『悪い側面』によって自分が否定される不安・恐怖・劣等感・罪悪感を軽減しようとする『心理的メカニズム』から来ている。
【分裂】のメカニズム
そこで、まず《良い自分》と《悪い自分》を分裂させる。そして、分裂させた《悪い自分》を、潜在意識の奥深くに閉じ込める。
そして、《良い自分》を権力者・教祖・強者と同一化するとともに、その潜在意識の奥に閉じ込めた《悪い自分》を他者に投影同一視し、責任転嫁し、差別・攻撃・虐待・誹謗中傷することで、不安・恐怖・劣等感・罪悪感を軽減しようとする。
そうしてピラミッド支配構造の中で「自分こそ善、優れている、強い、美しい、尊い」と思い込むとともに、「反対者は悪、劣っている、弱い、醜い、汚い」と思い込む。
そこで、自分の行動・価値観こそ『善』であり、それを否定するものは『悪』となる。「ピラミッド支配構造に服従する」=『善』であり、「ピラミッド支配構造を批判する」=『悪』となる。
そうして、【善悪二元論】が生まれる。
【善悪二元論】「自分の行動は善、愛国者」「反対者は悪、反日」
例えば学歴社会の中で、いい学校に入る為に必死に受験競争に打ち込んできた人にとって、学歴社会や受験競争を否定することは、自分がやってきた行動=自分の存在そのものを否定することになる。そうなると「学歴社会・受験競争・格差社会」=『善(勝ち組)』であり、それを否定する「平等・ゆとり教育・個性・自主性尊重」=『悪(負け組)』となる。
体育会系で、“オリンピック”や“甲子園”を目指し必死にやってきた人にとって、それを否定されることは、自分の行動を否定されることと同義であり、その人達は『悪(敗者)』となる。
そのピラミッド支配構造の中で、「権力者に服従する」=『善(勝者)』であり、「反抗・批判する」=『悪(敗者)』となる。「国旗国歌・靖国神社・教育勅語」=『善・愛国者・美しい・強い・勝者・日本人』であり、「反対者」=『悪・反日・共産主義者・醜い・汚い・弱い・敗者・日本人ではない』となる。
それは、『カルト宗教』についても同じことが言える。
心の中の不安・恐怖・不全感・劣等感・罪悪感が増大する中で、それを軽減するために、神・教祖を崇拝し、服従・同一化することに自分の存在意義・安心感を見つけようとする。そして忠誠心を示すために、布教活動や多額のお布施を熱心にやろうとする。
そこでは、「自分達は正義。神に選ばれた人間。美しい」=『善』と思いこむと同時に、「批判者は悪魔。共産主義に操られている。自分達を貶めようとしている。嘘つき。醜い」=『悪』に見える(妄想・幻覚)。
それは官僚組織でも、独裁国家でも、ブラック企業でも同じ。そのピラミッド支配構造の中で権力者に認められようと必死にやっているうちに、その行動を正当化するために、否定的な意見に対して、「自分達を陥れようとしている。外国に操られている。スパイだ。共産主義者だ」というような被害妄想に取り憑かれ、防衛本能から口汚く相手を攻撃しようとする。
それらは、自分の依存行動を正当化し、不安・恐怖・劣等感・罪悪感を軽減しようとする『防衛機制』から来ている。「国の為、子供達の為にやっている。自分こそ正義・愛国者。反対者は悪・反日・共産主義者」と主張することによって、自分の『既得権益(ピラミッド支配構造)』を守ろうとしているのである。