【認知的不協和理論】「ネトウヨ」と「リベラル」を分けるもの【脳の構造】/「歴史否認」「陰謀論」はどこから生まれるのか?――②「保守派」と「リベラル」の『脳の構造』の違い

【認知的不協和理論】「保守派」と「リベラル派」の違いはどこから生まれてくるのか?

人は生まれたときから、“ピラミッド構造”の競争社会のストレスの中で生きていかなければならない。その中で様々な《認知的不協和》が生じてくる。

それはどんな国家・地域・政治体制・組織・企業でも、また、今も昔も、いつの時代でも同じ。

【認知的不協和】『古い認知』と『新しい認知』 

その抑圧(ストレス)の中で、いろいろな軋轢、対立、抗争、戦争、犯罪が発生し、それを解消するために、様々な思想・哲学・宗教・制度・・・が生まれてきた。

◉『古い認知』
「競争に勝たなければならない」「負けたら生きる価値がない」「規則ルールを守らなければならない」「親や先生の言うことは絶対。反抗してはならない」「皆と同じでなければならない。レールを外れたら負け」「国に忠誠を誓うのは当然」「甘やかすと犯罪者になる。体罰で我慢強い人間になる」など

その『古い認知(価値観)』の中で、「理想の(褒められる)自分」と「現実の(叩かれる)自分」、「自分の価値観(やりたいこと)」と「親の価値観(やらせたいこと)」、その不協和の中で様々な問題が生まれてくる。

その負の連鎖の中で『古い認知』に疑問を持った者の中から、暴力の連鎖を断ち切るために『新しい認知』が生まれてくる。

◉『新しい認知』
「“競争”より“ゆとり”」「1番でなくても、失敗しても良い」「自分の意見を言っても良い。反抗しても、逃げても良い」「甘やかしても良い。個性・自主性の尊重」「自由・平等。格差是正。所得の再分配」「経済成長・開発より人権尊重・自然保護」「性教育推進。体罰禁止。死刑廃止⋯」など

その『古い認知』と『新しい認知』の【認知的不協和】の中で、自分の“行動”を正当化するために『古い認知』を絶対化しようとする「保守派」と、その『古い認知』を懐疑し、『新しい認知』を取り入れ、改革していこうとする「リベラル派」に分かれていく。

“ピラミッド支配構造=権力者・組織・既得権益”を守ろうとする「保守派・御用学者・ネトウヨ・改憲派」”に対して、その構造を改革し、権力者の責任を追及し、“人権尊重・格差是正・差別反対・自然との共生”を目指そうとする「リベラル派・護憲派」”に分かれる。

国家と自分を同一化しようとする「保守派」と、国家から自立しようとする「リベラル派」に分かれる。

『ピラミッド構造社会』(権威主義社会)⋯国家と同一化
     →「支配」と「服従」の関係、上下関係・規律を重視する社会
      強者優遇。格差拡大。排外主義。軍国主義。大艦巨砲主義
    ↕
『フラット構造社会』(民主主義社会)⋯国家からの自立
     →「個性」や「自主性」を尊重し、反対意見を取り入れる社会
      弱者救済。格差是正。差別反対。平和主義。自律分散社会

自分の行動(「国の為に死ぬ」=暴力・軍国主義・大日本帝国・靖国神社)を正当化し、侵略を正当化しようとする保守派(改憲派)と、侵略戦争の反省から、暴力(戦争)の連鎖を断ち切り、持続可能社会を目指すリベラル派(護憲派)に分かれる。

そして保守派は、その自分の行動(暴力・侵略)を正当化しようとする「認知バイアス」がかかり、認知を改変する。

●認知の改変(行動の正当化・認知の歪み)
「外国が攻めてくる。スパイが潜んでいる」「マスコミは嘘を言っている。日本を貶めようとしている」「自分は愛国者、批判者は反日で、外国に忠誠を誓っている」「国・企業は悪くない。被害者は嘘を言っている(水俣病)」「アベノマスクは意味があった」など

そう主張することによって、自分の行動(支配↔服従)を正当化しようとする。

権力者・独裁者・教祖・企業
(支配)↓↑(服従)
自分「愛国心」

規則ルール、権力(独裁)体制の絶対化、競争·管理·体罰·差別·格差の正当化。『男尊女卑・家父長制・家制度』の絶対化。異質者·少数者·弱者·反対者への攻撃·排除·誹謗中傷

その主張の裏には、無意識のうちに『ピラミッド支配構造(権威主義・軍国主義・全体主義=大日本帝国)』を正当化しようとするバイアスがかかっている。

その「保守派」と「リベラル派」に分かれる原因はどこから来るのか?

【脳の構造】「保守派」と「リベラル」の違い

英ロンドン大の研究によると

“リベラル派であるほど『前帯状皮質』の灰白質の容積が大きく、保守派であるほど『右扁桃体』の容積が大きい傾向があることがわかった”

“前帯状皮質は複雑性の理解に関連しており、大きい人ほど不確実性や対立への認容性が高く、目新しいものや不確定さを追求する”(→リベラル)

それに対し
“扁桃体は恐怖心の処理に関連しており、これが大きい人ほど、反感や脅すような表情に敏感で、危機的状況・悪いことが起きそうな状況に対して身体が攻撃的に反応する傾向がある”(→保守派)

それを図で表してみると、↓のような傾向があると言える。

不快なグロ画像を見た時の脳の反応を見ることで、その人の政治的傾向が保守的(右寄り・コンサバティブ)なのか、革新的(左寄り、リベラル)なのかがわかるという面白い研究結果が報告された。

総じて右寄りの人の脳の方が、グロ画像に対して強く反応し、特に保守的な傾向にある人は嫌な画像をみると、その対象を理解するために必要なものでも、強い拒絶反応を示すようだ。

脳の認知スタイルの生理学的な違いが、リベラル/保守といった政治思想や信条に影響している可能性があるとの研究が発表された。

実被験者にリスクを取らせるタスクを行わせ、その様子を脳機能イメージングで測定したところ、リベラル派では社会認識および自己認識に関わるとされる『左島皮質』が活発に活動していたが、保守派では闘争・逃走本能に関わるとされる『右扁桃体』の活動が示されたという。この実験はその判断を行う際の脳の活動に違いがあることを明らかにした。

ほかにもリベラル派と保守派では恐怖を処理する扁桃体の構造が違うという研究もあり、リベラル派は目新しいものや不確定さを探求するが、保守派は悪い事が起きそうな状況に対し身体的に大きく反応する。


つまり、「保守派」は周囲の脅威に敏感で、自分の存在を守ろうとする防衛本能から『古い認知』(規則ルール)を絶対化し、権威主義・全体主義・排外主義的行動をとりやすい。

縁故主義・友達優遇・利権拡大・地位保身に走り、規則の絶対化・家父長制・男尊女卑・夫婦同姓・スパイ防止法・厳罰化・軍備増強などを主張し、他者に強制し、異質者を攻撃・排除することで仲間意識を高め安心しようとする。

それはつまり、「『問題』が生じたとき、あるいは『脅威(不安・恐怖)』に襲われたときの脳の反応と、それにどう対応し、どう行動するかによって、“保守派”と“リベラル派”に分かれる」と言える。

『前頭葉』と『扁桃体』との関係(抑制機能)において、

①強・自立抑制行動:原因の追求、懐疑的・客観的・科学的思考(リベラル派)
 ↕《抑制機能》←不安・脅威・ストレス(不況・災害・戦争⋯)
②弱・依存強迫行動:組織の強化・保身、異質者の排除・攻撃(保守派)

という傾向があると言えるだろう。

つまり、不協和(不安)が増大したとき、

例えば
『古い認知』と『新しい認知』
『信じてきた認知』と『否定する認知』
『自分の常識』と『他者の常識』
『自分の行動・信念』と『他者の行動・潮流』
『理想の自分』と『現実の自分』
『成功・勝利』と『失敗・敗北』

など、自分の思い通りに行かないとき、どのようにして、その不協和を解消しようとするか⋯

①「自分は間違っていない。他者が悪い。誰かの陰謀だ」と思うのか
②「自分は間違っていた。行動を改めよう」と考えるのか

それはその人の《脳の構造》によって決定されると言っていい。

例えば、地球温暖化に対して

①「地球温暖化なんて嘘だ、経済成長を優先すべきだ」とするか
②「行動を改めて、CO2を削減すべきだ」とするかに分かれる

それは公共事業や五輪万博リニアなどにしても

①「過去の決定(既得権益・成功体験)に拘り、予算を無秩序に膨張させる」か
②「新しい時代の変化に対応し、行動を変えよう」とするか

海が埋め立てられ、木が切られるのを見てどう感じるのか?

①「経済(カネ)のため、国のためには必要だ」とするか
②「自然環境を守るべきだ。このままでは日本が戦前のようになってしまう」とするか

また“LGBT法”や“夫婦別姓”にしても

①「秩序や規則を強調し、皆に強制する」のか
②「人権や自由を尊重し、制度を変革しよう」とするのか

そして、それが「保守派」と「リベラル派」に分かれる原因となる、

つまり、それは言い換えると、人間は昔から、どの時代も、どの地域・国でも、どの宗教・政治体制でも、「保守派」と「リベラル派」に分かれている(分けることができる)ということになる。そして、それは『脳の構造』に依存している。

例えば『宗教』は、常に「支配者による支配の正当化。権威主義。差別排除」の側面と、「支配者の抑圧からの解放。改革。弱者救済。平等」の側面を持つ。

それは“統一教会問題”でも、“ジャニーズ問題”でも、弱者・被害者側に立って考えるか、権力者側に立って、《権力構造(既得権益)》を守ろうとするかに分かれる。

それは『共産主義』も『明治維新』も同じ。

そしてそれは、往々にして《後者》から生まれ、戦い(革命)の後に、やがて《前者》へ移行していく。

権力抗争の中で、

強者・権力者·独裁者・親分・教祖
  (依存)ⅼⅼ(同一化)
自分[愛国心]
(支配)⬇(攻撃)
弱者·少数者

強者・権力者・独裁者に同一化し、弱者・少数者・反対者を支配・服従させることで不安を解消しようとする“認知バイアス”がかかっていく。

その中で“とんでも校則·規則·道徳・風習·愛国心·国旗国歌”などを強制し、反対者・弱者・少数者を攻撃することで、優越感・万能感を得ようとする。


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