【認知的不協和理論】日本型ファシズムの成立【心理的メカニズム】ーー④「陰謀論」「歴史修正主義」が生まれる『心理的メカニズム』(防衛機制)
【投影性同一視】「劣等感・罪悪感」を軽減しようとする防衛機制
【投影性同一視】とは?
ピラミッド支配構造の中で社会的ストレスが強まると、自我が『良い自分』と『悪い自分』に【分裂】してしまう。
そして、どうしても受け入れ難い『悪い自分』(失敗・敗北・不正・間違い・嘘・過ち・弱さなど)を【否認】すると同時に、潜在意識に【抑圧】した『悪い自分』を他者に投影し、攻撃・罵倒・誹謗中傷することで、あたかも相手に“欠点・落ち度”があるように誘導し、責任転嫁しようとする。
そうすることによって自分の心の中の劣等感や罪悪感を払拭しようとする。その防衛機制を【投影性同一視】という。
そこでは、『良い自分』を国家・権力者・強者・教祖・神と同一化させ、「自分は正しい。優れている。強い。正義。美しい。スゴイ。愛国者」と主張すると同時に、『悪い自分』を弱者・少数者・批判者に投影し、「相手が間違っている。劣っている。弱い。嘘つき。醜い。汚い。反日。左翼。共産主義者」と思い込む(周りに思い込ませる)ことで、自分の中にある劣等感や罪悪感を払拭しようとする。
そこでは、客観的・俯瞰的視点が失われ、「自分が間違っていたのではないだろうか」どういう葛藤・反省や、他者・弱者・少数者・批判者・被害者に対する共感能力が失われてしまう。
自分の失敗・ミス・不正を認め、反省し、謝罪することができず、常に他者に責任転嫁しようとする。自分の行動を正当化しようとする。
そして、その『心理的メカニズム』が『歴史修正主義』に繋がってくる。
【投影性同一視】とは?ーー「鏡に映った自分の姿」(錯覚・幻覚・妄想)
【投影性同一視】は、分裂した『悪い自分(本当の自分)』(醜い行動・欲望・後ろめたさ・劣等感・罪悪感)を映す鏡と言える。相手が「そう見える」ということは、実は「自分がそういう行動をしている」ということでもある。
よく、相手を激しく攻撃・誹謗中傷している人を見て、「それは自分自身のことだろう」と言うことがある。
「あいつは金の為にやっている」「ズルしている」「嫉妬している」「甘えている」「我儘だ」「我慢が足りない」「攻撃的だ」「人を差別している」「あいつは感情的だ。すぐ発狂する」「あいつは人をバカにしている、見下している」「上に媚びている」など⋯
それは、自分の中の劣等感や罪悪感を解消しようとする依存行動なのである。
それは自分がやっている行動・感情・欲望を、相手に投影し、攻撃することによって、自分の行動を正当化しようとしているのである。
【分裂】(善悪二元論)と【投影性同一視】ーー[自分の行動の正当化]
例えば、カルト宗教に洗脳され、教祖に“服従・隷属”しているカルト信者は、「批判者は悪魔に洗脳され、悪魔に操られている」ように見える。つまり、批判者が悪魔・共産主義に“服従・隷属”しているように見える。
それは、鏡に映った自分の姿。自分の行動を他者に投影しているのである。
同じように、国家・権力者・独裁者に“服従・隷属”しているネトウヨは 、「自分は正しい。中立。普通の日本人。愛国者」と言うとともに、「マスコミは偏向している。批判者は在日だ、共産主義者だ、外国に操られている。外国に服従し、忠誠を誓っている」と攻撃する。
⋯それは鏡に映った自分の姿(錯覚・幻覚・妄想)。それは、心の中の劣等感・罪悪感の表れであり、自分に自信がないからに他ならない。
自信がないから、唯一の拠り所の『日本人』(国籍)とか『男』とか『女』というものに異常に拘り、国家と同一化し、規則ルール(決まりごと)を絶対化し、権力に依存・服従・隷属し、「国家のために死ぬ」ことに存在意義を見い出し、それを美化しようとする。そうすることで優越感・万能感・安心感を得ようとしているのである。
そこでは、「日本は神の国。日本スゴイ。日本人は優れている。日本人は選ばれた民族」と思い込むとともに、「日本は絶対に悪いことはしない。虐殺はなかった。侵略ではなかった。被害者は嘘をついている。日本を弱体化するための捏造だ」と『悪い日本』を否認する。
そこでは
となる
その善悪二元論に囚われ、客観的視点が失われ、「日本の過去を反省し戦争責任を認めたり、権力の不正を追求する者達は自虐だ。日本を貶めようとしている。在日で、中国のスパイ工作員である。他国に忠誠を誓っている」というように認知を変更し、思い込み、誹謗中傷し、「日本人ヘイトだ!」と怒りだす。
【投影性同一視】と「陰謀論」「歴史修正主義」
ピラミッド支配構造の管理競争社会の中で、「人に勝ちたい。権力者に認められたい。否定されたくない。仲間外れにされたくない。皆と同じでなければならない。⋯」というような同調圧力・強迫観念のストレスが掛かり続けていると、脳内神経伝達物質のバランスが崩れ、抑制機能が低下し、不安・恐怖・不全感・劣等感・罪悪感が増大していく。
すると、それを軽減しようとする防衛機制が働く。
そこでは脳が依存状態になり、客観的・俯瞰的視点が失われ、「陰謀論」や「歴史修正主義」か生まれ、「ネトウヨ・カルト」が生まれる。
「自分は善、愛国者。優れている」と思い込むと同時に、「反対者は悪、反日、共産主義者、在日、外国のスパイ。悪いことをする。劣っている」と思い込む。
そこでは、日本の戦争責任や、権力の不正や犯罪を指摘し追求する人に対して、「外国に操られている。洗脳されている。日本を貶めようとしている。日本人ヘイトだ」と思い込み、誹謗中傷する。
それは自分の中にある劣等感・罪悪感を軽減しようとする防衛機制から来ている。
【投影性同一視】と「プロパガンダ」ーー[自分の行動(独裁体制)の正当化]
他国を侵略する攻撃的な国家は、たいてい「相手が攻撃してきた。これは自衛のための戦争だ。敵国はナチスだ」と言う。
そして、独裁者は国家と同一化し、「自分の行動は正しい、愛国者。国のために命を捧げろ」と主張すると同時に、「反対者は外国に操られ、自国を貶めようとしている。売国奴。敵国のスパイだ。ナチスだ。ポル・ポトと同じだ」と言って粛清・排除する。
そうすることで、自分の権力支配(独裁体制・全体主義・軍国主義・ファシズム)を正当化し、絶対化しようとする。それは自分の心の中の不安・恐怖・劣等感・罪悪感を軽減しようとする防衛機制【投影性同一視】から来ている。
それは、『悪い自分』=自分の中の「ナチズム」(支配欲・攻撃欲・優越欲)を相手に投影しているのである。それ故に独裁者ほど、「批判者はナチスだ」と誹謗中傷する。それは、差別主義者が「自分は差別されている。批判者は差別主義者だ。多様性を認めない全体主義者だ」と言うのと同じ。
独裁者は、自分の中の「不安・恐怖・劣等感・罪悪感」を軽減するためには、常に『良い自分』を投影した“神・教祖・国家”と同一化するとともに、『悪い自分』を“投影同一視”した“仮想敵・少数者・弱者・反対者”を攻撃し続ける必要がある。
そこでは無意識の内に、国民の不安・恐怖・憎悪を煽ることで、『ピラミッド支配構造(規則ルール・道徳・慣例・秩序・差別・搾取・既得権益)』を絶対化し、自分の権力支配・独裁体制を正当化しようとしているのである。
そして、それと同じような手法(プロパガンダ)として【ウイグル話法】がある。
【ウイグル話法】
これも【投影性同一視】と見ることができる。
ピラミッド支配構造の競争社会の中で、不安・恐怖・不全感・劣等感・罪悪感が増大し、自我が分裂し、『良い自分』を国家・権力者・多数派と同一化し、反対者・弱者・少数者を攻撃することで自分の行動(服従・忠誠)を正当化しようとしているのである。
「日本スゴイ、日本は優れている、悪いことはしない」と思い込み、「虐殺はなかった。侵略ではなかった。植民地ではなかった。強制連行・強制労働はなかった。従軍慰安婦はただの売春婦」と歴史否認し、同時に、その否認した『悪い日本』を他国に投影し、「敵国が日本を侵略しようとしている。批判者は外国に操られている。マスコミは在日に支配されている」と認知を変更する。
それは自分の行動(支配と服従、差別)を正当化しようとする心理的メカニズム。
【沖縄話法】【LGBT話法】
同じように、沖縄で辺野古埋立・新基地建設反対運動に対して、「反対者は在日。野党は中国のスパイ。野党が勝つと中国が攻めてくるぞ!」というデマ、陰謀論を広めることで自分の権力支配構造・既得権益を絶対化しようとする。
また最近では、保守派を中心に「“LGBT法”が通ると、女性トイレや女性風呂に男が入ってくるぞ!」というような言説が盛んに拡散され、人の不安・恐怖を煽ることで、自分の(少数者)差別を正当化しようとする。
それらも、1つの【投影性同一視】だと言える。つまり、自分が普段からやっている行動(支配欲・攻撃欲・優越欲)を批判者・少数者に投影し、批判・攻撃することで、自分の中の不安・劣等感・罪悪感を軽減し、自分の行動(依存・服従・隷属・差別)を正当化しようとしているのである。
そこでは権力者・強者に媚びへつらうと同時に、敵・批判者・弱者・少数者に対しての不安・恐怖・憎悪を煽ることで自分達の既得権益・権力支配・独裁体制を正当化しようとする。
それは、『自己肯定感=自立心=尊厳』の低さ、精神の未熟さ、奴隷根性からきている。
そこでは、心の中の「不安・恐怖・劣等感・罪悪感」を国家と同一化することで軽減しようとしているのである。権力者・強者・教祖・親分に服従・隷属し、規則ルールを絶対化すると同時に、反対者・少数者・弱者にそれを強制することで、自分がまるで強くなったかのような気分になり、そこで安心感・満足感・優越感・万能感を得ようとしているのである。
そして、それが現在の日本型ファシズム=自民党独裁体制を支えている。