デザインの理解を深めるために歴史から見てみると、これがまた面白い(多分No.1)
この記事は、上記Advent Calendarの25日目でトリなんです。こんなのがトリでいいのかってなりますが、ご容赦ください。歴史をしっかり調べて語っているととんでもない時間がかかりますので、私の理解+ざっくりで進めていきます。気になる方はご自身で調べてみてください。
時間がない方はまとめだけみればいいかもです。
産業革命
「デザイン」という言葉は元々「設計」という言葉でした。これは近年ではすごくよく用いられる意味だと思います。「設計」というのは物の作り方を考えることです。設計図として、設計を記録することで誰でも同じものを作れるようになります。素晴らしい。。。
デザインの歴史ってそもそも150年ちょっとくらいしかないです。
「え?じゃあ平安とか鎌倉、江戸時代はどうしていたんだい?」
って話になると思うんですよ。道具とかあるじゃん!って話ですが、昔は必要なものがあれば基本自分たちで作っていたぜ!という感じでした。ただ当時には一般家庭のお父さんが作るより立派な道具を作れる「職人」と呼ばれる人たちがいました。
この「職人」たちは高度な技術力を持っており、複雑な道具作成をしていました。よく「見て盗め」ということを職人気質の方は言いますが、それは高度な技術を職人自ら言語化というより感覚でやっている部分があるため見ることで自分で覚えていけということですね。すごく大変です。そうやって高度な技術をもってしても道具を作るのには手間暇がとてもかかりました。
こういった時代を何千年も過ごしていましたが、18世紀ごろのイギリスでヤバいことが起こります。「産業革命」です。
人ではなく、機械でモノを作れるようになった革命です。今では当たり前ですが、これは本当にとんでもないことです。この産業革命により今まで比にならないくらいモノを生産できるようになりました。
アーツ&クラフツ運動
このおかげでモノを安く売れてみんなハッピー!ってなっていましたが、大量生産されていた量産品は、当時の機械では質があまり良くない粗悪品も多く、不満を持って異を唱えたのが「ウィリアム・モリス」です。
「いいものを作ってみんなに使ってほしいなぁ~」というおもいから「モリス商会」というものを立ち上げます。
モリスは機械と共演NGを出しており、職人万歳!という産業革命を否定するような動きをしていました。これを「アーツ&クラフツ運動」と言いました。
モリスの機械嫌いはすごく、当時は既に製品に対して人工の着色料を主に使うことが多かったのですが、自然由来のオーガニックな着色料しか使わないという変人っぷりでした。しかしこだわりにこだわりぬいたものづくりへの情熱は半端ではありませんでした。
モリスはインテリアや家具を作っていったのですが、やはり職人が作ったものです。手間暇かけて素晴らしいものが出来上がりましたが、売るにはかなり高額なものになってしまいました。
「いいものを作ってみんなに使ってほしいなぁ~」という想いは頓挫してしまいます。
アール・ヌーボー
モリスが一生懸命職人に作らせて、モリス商会で取引していたモノはイギリスからフランスにわたります。
フランスではこのアーツ&クラフツ運動で作られたモノがめちゃくちゃバズります。
これは塗り絵ですが、こんなイメージのものを作っていました。
機械嫌いなので植物のような自然物の装飾を施したモノを作りました。
これがフランスでガチ大うけ。「なんて新しいんだ!」とバズりました。
このモリスの製品のバスりを受けて、「新しい芸術」という意味のアール・ヌーボーという様式が誕生します。様式はブームみたいなことです。
デザインを理解しようと歴史を振り返っていますが、このアール・ヌーボー、アール・デコは、アートに近い概念で、植物をモチーフにアートするようなものでした。つまり、一般大衆が買うものではなく一部の富裕層がステータスとして所有するインテリア、美術品でした。
アール・デコ
まぁこんな状況をいつまでも傍観する大衆ではありません。
「もっと作りやすくて、きれいなものをよこせ!」
という派閥が現れ、その人たちが「アール・デコ」といったものを作り上げました。アール・ヌーボーが植物など生命を思わせるものだとすると、アール・デコは「直線」や「幾何学的な形」をモチーフにモノを作ることでした。
見た目も美しい、まぁまぁ作りやすい、まぁまぁ安いというアール・デコ、これはこれでめちゃくちゃ流行ります。ここで、美しいものというのが富裕層しか持てなかったのに対して、大衆でも買えるようなものになりました。
このアール・デコの登場で、直線などを使って装飾をするのですから、「シンプル」かつ「機能的」というモノが世の中に受け入れられ始めます。
ドイツ工作連盟
なんだかんだ言って、アール・デコも今までより安いだけで、ホイホイと買えるものではありませんでした。
そこで、アール・デコと同時期くらいに、「作りやすくてキレイなモノ作ればいいじゃん!」という思想でヘルマンが率いるある連盟が誕生します。余談ですが、作りやすいと提供価格はやすく出来ますからね。
この連盟はドイツで誕生しました。当時ドイツは産業においてイギリスに遅れを取っており、ドイツ国内では「とにかく作れ!作って作って作りまくれ!」みたいな数打てばあたる&経験値いっぱい獲得だ!という風潮が流れていました。
たくさん作って試行錯誤したいわけです。そのため新技術や機械化に積極的でした。この過程で生まれたのが「規格化」という概念です。
今までは作る人によって使う部品、作る部品がそれぞれでした。例えばネジなどもAという職人が使うものとBという職人が使うものが全く違います。しかもそのネジを生産する企業も別ということがありました。
この規格化の登場で「部品」を統一するという概念が生まれ、製品に統一感が出てききました。統一感が出ると美しく見え、さらに規格化のおかげで同じ部品をたくさん作ることができるようになったため大量生産しやすいという質の高い工業製品がつくられます。
素晴らしい世の中になろうとしていますが、そこに待ったをかける人物が出てきます。「アール・ヌーボー」の巨匠、ヴァン・デ・ヴェルデです。
「おいおいwww、規格化とかいう概念終わってるだろwww、職人の創造性とか、モノを作る喜びとかなくなるだろwwwそんなのもわからんのかwww」と言いました。
バウハウス
ドイツ工作連盟のヘルマンはその意見に納得し、今までの考え方では機械生産社会についていけない!ついていけるように学べるところを作ろう!とできたのが、バウハウスです。
元々職人学校みたいなものはありましたが、バウハウスでは職人学校のような学びに加えて「美」についても教える学校でした。今までは伝統性を重んじることが多かった世の中ですが、伝統性を一度0にして新しいものを作り上げよう!という主旨で進めようとしました。
さらに職人のきめ細やかな技術と機械工業の効率、これらを活かせないかと考えるため、形状、色、材料などをゼロから考え直しました。
結果、派手な装飾をしないシンプルで形状より機能に重きを置いた「機能的」なモノたちが出来ました。
モダニズム
ドイツ工作連盟やバウハウスを中心に「伝統芸術からの脱却」をモダニズム(近代主義)と言います。
「合理的」「機能的」なデザインはこの後いろんな人に影響を与えます。
モダニズムは建築に多く使われており、代表的なものとして「サヴォア邸」があります。
建築の見た目として、非常にシンプルなデザインです。中は空間を大きく使ったものでした。詳細は調べてほしいですが、大きい神殿みたいなもの以外で、空間を大きく使う手法はいろんな人に影響を与えました(らしい)。
こうしていろんな方面に影響を残したバウハウスが1933年に解散してしまいます。15年弱しか開校していませんでした。(閉校理由は戦争 そしてバウハウスはドイツの学校。察せ。)
ただバウハウスの卒業生や教員はこれからドイツを飛び出して世界に影響を与えていきます。
まとめ
①「産業革命」が起きて大量生産が可能に
②「モリスが「アーツ&クラフツ運動」を起こす
③フランスで「アール・ヌーボー」がバズる
④そのあと「アール・デコ」が流行りデザインが大衆化した。
⑤機械生産に力を入れていたドイツで「ドイツ工作連盟」が現れる
⑥「規格化」をすることで良質な製品を大量生産した
⑦機械生産に合った新しい美が必要であると考え「バウハウス」を開校
⑧バウハウスに影響され「モダニズム」が起こり、「伝統芸術からの脱却」を果たす
今のデザインになるまでにはまだ先ですが、「規格化」という概念が出てきて少しだけ今となじみがある雰囲気なってきました。もう2,3記事くらいかかってしまいそうです。
Advent Calendarのトリにふさわしくない感じもしますし、歴史の話も収束しきれていないのがモヤポイントですが、また記事を上げるモチベに変えてまた投稿出来ればと思います。
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