カラヴァッジョというあまりにも危険な天才のお話(巨匠の波乱万丈伝①)
目の前の絵をただ見つめるだけでなく、作品の歴史的ないきさつを知ると絵画鑑賞って楽しくなりますよね😄
というわけで、芸術家や作品をひたすら勝手な視点で紹介していくコーナーをやってみます🎨
1回目はバロック期の天才画家、カラヴァッジョをば(めっちゃ適当な似顔絵で存命なら襲われそう。)
◎そもそも「バロック様式」とは?
1600~1700年頃の西洋美術の風潮を指す。「歪んだ真珠」とか「グロテスク」という意味🧱
酷い言い草ですが、「〇〇様式」ってそれを否定して台頭する次の世代から名付けられることが多いので、こういう蔑称がつくのはお約束なのです……しゃあない
(もう少しだけ)
古代ギリシャやローマの文化を理想とし、その復活を目指したルネサンス時代、レオナルド・ダ・ヴィンチらの輝かしい活躍でひとつの「美」が完成しました✨
ならば今度は、それを手本にするだけのマンネリから抜け出すべく芸術家たちが挑戦したーそんな時代なのです👏
というわけで、
・強烈なコントラスト(明暗法)
・大げさで芝居的な場面描写、躍動感
・深く鮮やかな色彩
…などが特徴🐈
これはレンブラントの「夜警」ですね。
すごく好きな作品なのでそのうち書きます🖊
前置きが長くなってしまったけれど、ここから本題のカラヴァッジョの話。バロック期を切り開いた巨匠なのですが、何やら危ないエピソードばかりです笑
①決闘に明け暮れ、人殺しも🗡
ミラノ出身のカラヴァッジョは20代前半で芸術の都ローマへ。1600年、コンタレッリ礼拝堂に描いた「聖マタイ」の3部作でデビューし、一気に名を上げます。このとき30歳手前でした。
一方プライベートは不良ここに極まれり。
ローマにいた約6年間、剣の違法携帯、レストランの給仕にイラつき皿を投げつけた傷害事件、警官への暴言……などなど警察のお世話になった経験は数知れず。
決定的だったのが1606年。
かねて敵対していたトマッソーニという男性を相手に、仲間を巻き込んだ4対4での決闘に挑んだ挙げ句、剣でトマッソーニを刺して殺してしまったのです😱
原因は親しい関係だった女性を巡るいさかい?とも。
死刑は免れたものの、それを機にローマを離れることになり、4年後にこの世を去りました…
②ライバルへの下品な中傷ビラ?📋
ジョバンニ・バリオーネという同世代の画家も厄介な目に遭わされた1人。カラヴァッジョとはもともと犬猿の関係でした。
ある日、バリオーネは自分についての下品な中傷ビラが街にまかれていると知人から知らされます。
その内容はというと…
「てめえのデッサンは一文にもならねぇクソくらえ」
「尻拭きにでも使ってろ」
「金玉野郎」
「寝取られ男」
など悪口の限りを数枚の紙に書き連ねた「詩」でした笑
(子どものケンカかよ🦉)
これを見たバリオーネは激昂🔥(当たり前)
カラヴァッジョらのグループの仕業に違いないと告発し、裁判沙汰に。祭壇画の仕事を自分に奪われた恨みに違いないと訴えるバリオーネ。判決がどうなったのかは定かでないのですが、出廷したカラヴァッジョ本人は悪びれず自分の主張をしたそうな👨
このバリオーネはこの憎きカラヴァッジョについて初めての伝記を残した人でもあります(ええやつやないか…😶)
③人間のありのままを鮮烈・克明に描く
……と、こんな人と同じ時代に生きてたら絶対に関わりたくないわけですが、
絵画にかける情熱は真摯そのもの。決して長くない活動期間にいくつもの傑作を残し、あとに続く画家たちに大きな影響を与えました🐍
ルネサンス期のような理想化した美を追求するのではなく、良いも悪いもありのまま克明に描く自然主義の作風。まさにカラヴァッジョの生き様を示しているように思えます💡
《作品紹介》
〈ホロフェルネスの首を斬るユディト〉1599年頃
旧約聖書外典・ユディト記の一場面。首を切り落とす瞬間を生々しく描く斬新な場面選択と、暗闇の中に登場人物の表情が克明に浮かび上がる明暗表現。カラヴァッジョ派の女性画家ジェンティレスキによる同じテーマの絵も有名です。
〈聖マタイの召命〉1600年
コンタレッリ礼拝堂に収められている3部作のひとつ。もともとユダヤ人を支配するローマ帝国の徴税人だったマタイ。そんな彼の元にイエスが訪れて指差し弟子として迎えるシーン。これもまた強烈なコントラストが劇的な雰囲気を演出しています。
〈聖トマスの不信〉1603頃
キリストの復活を知らされ、疑い深い性格だった弟子のトマスがその傷を確認している場面。聖なる使徒を普通の労働者のような服装、皺だらけの顔といった特徴で描くのがカラヴァッジョのスタンスであり、物議を醸しました。
いくつか作品も並べ今回はここまで。
ありがとうございました。