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Fate/Zero「雨生龍之介」の人格を精神分析的観点から見る ※執筆中

Fate/Zeroにおいて一際キャラが濃いであろう雨生龍之介。
彼の行為はしばしばただのサイコパスの突飛な衝動行為として片付けられがちだが、彼の行動は精神分析的な知識があればそこまで突飛ではないし、理解に難くない。
まず、雨生龍之介の行動をラカンの「精神分析の四基本概念」になぞらえて分析してみる。
ラカンの四基本概念というのは、「無意識」「反復」「転移」「欲動」に分けられる。

1.「無意識」

ラカンは、無意識を「言語のように構造化されている」と述べた。
言語の構造化いうのは、言語は言語は単なる音や文字の集合ではなく、言語の指し示すもの(シンフィニアン)、指し示されるもの(シンフィニエ)という記号を通して、意味のある体系的な構造を持つものだとするものだ。
無意識は言語の構造化のように、無意識が言語の構造に似た規則やパターンを持っている。
無意識の思考や感情が言語のように体系的であり、無意識の内容が象徴やメタファーを通じて表現されるのである。

龍之介は幼少期から異常な興味を持ち、成長するにつれてそれがエスカレートしていった。
龍之介の行動は、無意識にある「死」への執着、探究心を反映している。
彼の行動は無意識下で抑圧された欲望が表面化した結果で、それが彼の異常な行動パターンを形成している。

2.反復

1の無意識に通ずる話だが、反復は、トラウマや未解決な問題を無意識に再現する行動を指す。
これにより、同じパターンの行動や感情を繰り返し、無意識の内容を表出しようとする。
龍之介に関しては「幼少期のトラウマは無い」と明言されている。
反復する過去のエピソードがあるとしたら、やはり姉の殺害の件だろう。
「死」に関しての理解が進んでいないことが未解決な問題だとして、姉の殺害のような行動を反復すれば、それが解決すると無意識の内に思っているのだ。
彼にとって殺人は治療的な役割を果たしているのである。
彼が無意識に過去の経験を再体験し、死を理解しようとしているのが、彼の殺人の行動規則だろう。

 3.転移

龍之介の行動を「転移」に照らし合わせて話していく。
「転移」は、精神分析において患者が精神分析家に対して過去の重要な人物に向けた感情や態度を投影する現象である。
彼にとって殺人が治療的な行為であるなら、彼が投影する先は彼の殺人の被害者であり、投影するのはやはり姉であろう。
龍之介に関して「幼少期」のトラウマはない、「幼少期」の人格形成に問題はないと明言されているが、「人格形成」が終わってからはどうだろうか。
彼は殺人がマンネリ化した際に実家に行き、両親に会い、ミイラ化した姉の居る蔵へ訪れているのだ。
それは彼にとって最初に殺害した姉は過去の重要な人物となっている事が推察できる。

4.欲動

欲動が

ここで途切れる(執筆中)

彼が20歳の時に姉を殺害した件は、彼にとって表面的にはプラスに見えるが、無意識下で彼の「トラウマ」になっている、という説を唱えたい。
龍之介の苦手なものに「家族愛」があるが、それに関しての描写はない。
彼が殺人を反復し続けているのは、姉を殺したことが彼にとって「トラウマ」を再現しようとしているからではないか?
彼は家族という概念に関して何の価値も見出していなかったと言われがちだが、彼は家族という枠組みに価値を見出していないだけで、姉に対して何か思いはあったのではないだろうか?
むしろ家族愛を否定することによって自身の無意識のトラウマを回避しようとしている。
家族愛を拒絶することで、姉を殺したことに対する潜在的な葛藤を回避しようとしているのではないか。
姉を殺したことが彼の最初の殺人行為であったために、その経験が彼の無意識に強く影響を与え、その後の連続殺人のパターンを形成している。
私には、龍之介が姉に対してなんの感情ももっていなかった、というふうには思えない。
倫理観の欠如や価値観の歪みが生まれ持ったものだとしても、何かしらの葛藤を抱いて、殺人に至っているはずなのだから、その葛藤の始まりが姉であるのなら、何かしらの執着はあるはずだ。
彼の本当の人格形成が始まったのは、殺人を始めてからなのではないだろうか。

姉を殺していなかったとしても、彼は殺人者にはなっただろうが、家族愛が嫌いになった要因はそこにあるのではないだろうか。

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