呆気にとられた話
ペンネーム Mr.K
この話は事実である。
もしや、この話を書くことで、
私が京都の女性に偏見をもったと思われるかもしれないし、
すべての女性に当てはまる話ではないと反発をくらうことも予測される。
しかし、ここに記そうと思う。
起こったことは、なにせ事実なのだから。
京都のbarで、その女とは隣り合わせた。
聞くと老舗のひとり娘だという。
女はグラスが空になる頃に囁いてきた。
「じつは、今日、お金を使い果たしちゃって、
もう、持ち合わせが全然ないんです。
ご馳走してくれませんか...シャンパンを 」
会って間もなくで、自分からご馳走してくれと、しかもシャンパンだという。
ちょっとというか、かなり厚かましいなと思ったが、
バーテンダーが聞きつけて、スパークリングなら手頃なのがあると言う。
少し懐に余裕もあったので、イイ格好もしたい私はそれを取ることにした。
ほどなく、
けっこうな男前が現れ、女の向こう隣に腰をおろした。
すると女は目を輝かせ、
「マスター、こちらにグラスを。.....これ、どうぞ☆」とボトルを男に注いだ。
ん?
いささか呆気にとられた。
いい気がするはずもない。
私に取らせた酒を、断りもなく、他の男に飲ませているのだから。
そして、
本当に呆気にとられたのはその後である。
ボトルを空けて陽気になった女は、上機嫌でその男に言った。
「 なんでも好きなの飲んで!
私がご馳走するから 」
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