ネガティブな感情を伝える方法
悲しい、苦しい、辛い、腹が立つ。
ネガティブな気持ちはどこかで必ず抱えてしまうものですが、それをどう対処するか、扱うか、というと、ほとんどの人が別の何かと入れ替えたり、発散させて忘れようとしていると思います。
忘れた気になっても、また同じ気持ちに囚われれば、いつまでも追いかけっこが続きます。
ネガティブな感情は一人で処理しなければ、という考えに、縛られ過ぎていないでしょうか。
1.感じ方・苦しみ方は人それぞれ
ネガティブな感情、と一口で言っても、種類も内容も様々で、人によって耐えられるものとそうでないものが違います。
自分がどんな感情が苦手なのか、を、理解するところがスタートになります。
不安感情はほんの少しでも気になって仕方がないけれど、誰かに多少きついことを言われてもあまり気にならない、という人もいます。常に自分の内側を見ている人は外からの刺激に左右されづらいです。
逆に外からの刺激に意識が向きやすい人は、自分の内側に集中しすぎません。外の良い刺激にも反応が良いです。
2.感情を伝える派?隠す派?
思っていることを何でも外へ出すか、というと、そう言う人も多くはないでしょう。
外に出さなくていいことまで出してしまうことで、周囲から反発を招いたり、良くない評価を受けるリスクもあります。
感情を伝えるための言葉は、聞いた側の感情も刺激します。ネガティブな意味合いが強い言葉が歓迎されないのは仕方のないことです。
では全部飲み込んで一人で対処しなければいけないか? と考えると、抱え込み過ぎは余裕のなさを招いてしまいます。
雪が積もり過ぎて屋根がひしゃげてくるように、今すぐどうにかしなければ、と焦ってしまいます。
何でもいいから楽になりたい、と考えて、酒やギャンブルなどの依存症につながりかねません。
3.どの感情を伝えるか、を選択する
たくさんあるネガティブ感情のうち、「外へ出すべきもの」を選ぶ必要があります。
例えばいじめやハラスメントを受けている人が、辛さを一人で我慢し続けるのは百害あって一利なしです。
でも5分電車が遅れたことに腹を立てて駅員さんに怒鳴り散らしたところで全く意味がない上に、周囲から白い目で見られるでしょう。
「外に出すべき」かどうか、の判断基準は、自分が対処したいと思っている感情を軽減するために、他者の協力が効果的かどうか、で考えると分かりやすいでしょう。
いじめやハラスメントなら、加害者に行為を止めさせることが最も効果的です。
電車の遅れに対しては、駅員に怒鳴るよりも、迂回経路を検索するほうが近道です。
4.感情を伝える方法は「DESC法」
「アサーション」という言葉を聞いたことがあると思います。
アサーション・スキルの一つが「DESC法」です。
言い換えれば、
『今の状況を客観的視点から相手に説明し、自分がこの状況に対してどう感じているかを伝える。その上で問題解決のための提案をして、相手からの反応(提案を受けるか、拒否するか)によって、次の道を選択する』
ということです。
事例で考えてみましょう。
【事例】うつ病の家族から「寂しいから仕事に行かないでほしい」と言われた
↓
D=今、我が家では私しか働いていなくて、他に収入源は無いよね。あなたはいつ復職できるか分からない。それは仕方ないし、むしろゆっくり休んでほしいと思っている。でも収入が無いと生活が出来なくなる。節約する、と言っても限界があるよね。
E=うつ病の症状で不安定になって寂しい気持ちは分かる。でも私が仕事にいかなければ収入が無くなってしまう。私は家族のために仕事を頑張りたい。行かないで、と言うあなたの気持ちが分かるから言われると辛い。
S=会社には家族が病気だということは伝えてある。だから極力残業や休日出勤にならないよう配慮してくれているよ。私も仕事が終わったら真っすぐ帰ってきている。その間だけは我慢してくれるかな。
C=じゃあ、私が違う仕事に変わるよ。でもその分収入が落ちるかもしれない。その時、まだあなたが働けない状態だったら、障害年金の申請をしよう。もちろん手伝うから。
これで解決するか、は分かりません。
ただ、家族の言い分と自分の仕事の狭間で自分だけが苦しむ、という状況からは幾分解放されるのではないでしょうか。
5.まとめ
ネガティブな感情は、それが心地よいものではないことは、感じている本人が一番よく分かっていると思います。
だからこそ誰にも言わないで抱え込もうとしてしまいます。
しかし反面、感情を伝えることで気持ちが楽になる、という特徴があることも事実です。
いつでも何でも聞いてくれる人がいるならとても幸せなことです。忖度せず聞いてもら居ましょう。
ただ、誰もがそんなに恵まれているわけではありません。
ならばせめて、「感情を伝えることで解決・軽減が望める」ものを選択し、DESCの流れで必要な相手に伝えましょう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?