【キャリア構築】ライフキャリアとライフロール
うつ病や怪我、その他何かしらの突発的な要素で、ずっと想定してきた人生計画を変えざるを得なくなることがあります。
病気が理由だと、元の生活や計画に戻ることだけを目指してしまいがちですが、本当にそれしか道はないのでしょうか。
ライフキャリアとライフロールという概念を元に、人生の再構築を考えてみました。
1.ライフキャリアとは
キャリア、と一口に言うと、大学卒業後の進路とか、会社に就職した後にどんなポストに就くか、等が代表的です。
しかし、人生は仕事だけではありません。色んな事情で収入を得る職業につかない人もいます。
そういう人たちが「キャリア」と無関係ということはありません。
年齢、ステージに合わせて何を重視して生きるか、を、仕事に限定せず生活・人生全体を見渡して作り上げていく、という考え方です。
ずっと職業についていた人が何かしらの理由でそこから離れなければいけなくなった時、「キャリアが終わった」と考えて、その状況に対して二次的にストレスを感じてしまいます。
しかし、生きている限り続くのが「ライフキャリア」です。仕事から離れたら今度は違う「キャリア」と向き合うことになります。
段階が変わった、ということですね。
2.ライフロールとは
キャリア理論の第一人者であるD.E.スーパーの理論で「ライフロール」というものがあります。
キャリアを職業に限定すると、子ども・学生は「準備段階」、市民・配偶者・家庭人・親は「サブカテゴリ」、年金生活は「終わった後」のようなイメージです。メインは「労働者」としての役割の身です。
しかしスーパーは、キャリア発達と個人的な発達は互いに関連し合いながら発達する、と考え、キャリア発達は人生上における人生役割(ライフロール)との密接な相互関係から成る、とし、それぞれの人生役割を重視しました。
スーパーのキャリア理論におけるライフロールは次の9つです。
子ども
学生
余暇人(余暇を楽しむ人)
市民(地域活動など地域への貢献の役割)
労働者
配偶者(妻・夫)
家庭人(自分の過程を維持管理する)
親
年金生活者
自分で選ぶ役割もあれば、受け身的に引き受ける役割もあるでしょう。
大事なのは、「労働者」だけがキャリアではない、ということです。
このライフロールとライフステージを、スーパーは「ライフキャリアレインボー」という考え方で表しています。
3.ライフロールは人それぞれ違う
ライフロールは必ずしも全てを経験するとは限りませんし、子どもの頃から市民として活動する人もいれば、年金生活者だけど労働者でもある人もいるでしょう。
平均寿命が延びているので自分が年金生活者になっても「子ども」としての役割が続いている方もいます。
誰が・いつ・どんな役割と・何と兼任しながら経験するのか、は、人それぞれです。
むしろ自分がいつ・どこで・どんな役割を選択するのか、が、ライフキャリアにおいて重要になってきます。
4.選択の基軸は「自分の価値観」
では、どうやって選択するのでしょうか。
意外とこれが難しい。
分からないことややったことが無いことに挑戦するとき、多くの人はまずは情報を集めるでしょう。
似たような経験をした人の話を参考にしたり、オピニオンリーダーの意見を取り入れたり。
情報は大事です。知らないままでは回り道もするし、知っていればやらなかったような間違いもしてしまう。
ですが今は情報過多社会です。わざわざ探しに行かなくても周り中に情報が溢れています。
特に不安になっているときは他者の意見や情報に左右されがちです。場合によっては不安を煽られてしまいます。
「どうしたらいいか分からない」ときこそ、一番頼りになるのは「自分の価値観」です。
どんな手段があるか、他の人の事例、専門的なスキルなどは「道具」にすぎません。
道具を有効に使うためには「自分がどうしたいか」を自覚することが大事です。
職場の人間関係が理由でうつ病になった場合、職場が余程協力的でない限り元の会社や職場に復帰することは難しいです。戻ればまたストレスを抱えて症状が再燃する危険があります。
苦渋の決断で退職をした場合、この先どうしようか、は重大な問題です。
「どうすべきか」「どうすることが正しいか」を考えると迷子になります。正しいかどうかは誰にも分からないからです。
唯一あるとすれば自分が「どうしたいか」です。
『今までの会社は辞めた。でもいつかまた職業に就きたい』
という価値観が定まっていれば、
『そのためには今は焦らず体調を戻して、病気を再発させずに長く続けられる会社や職業を探そう』
と、この先やることが見えてきます。
そして色んな人からのアドバイスやサポートも、価値観に沿って取り入れたりアレンジしたり依頼することが出来るでしょう。
その結果手に入れるのが、唯一無二の自分だけのライフキャリアなのです。