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「人頼み」と「自分頼み」


人間は生まれた瞬間から他者依存の性質を持っています。赤ん坊は親や保護者に全てを頼り、成長の過程で徐々に自立していきます。しかし、この「人頼み」は成人になっても続くことがあり、時には依存症などの問題を引き起こす原因となることもあります。

例えば、カッコウの託卵は、他者依存の興味深い例です。

カッコウは自分の卵を他の鳥の巣に置き、育児を他の鳥に任せます。この行動は、自然界における他者依存の極端な形と言えるでしょう。

人間社会においても、他者依存は多くの形で現れます。

例えば、仕事での成功を他人の助けに頼ること、感情的な支えを常に周囲から求めることなどが挙げられます。

これらは時には協力や共感として肯定的に捉えられますが、過度になると自己決定能力の低下や依存症につながる恐れがあります。

一方で、「自分頼み」は自己信頼と自立の象徴です。

自分の力で問題を解決し、自分の人生を切り開く力は、精神的な成熟と密接に関連しています。しかし、過度な自己依存もまた問題を引き起こすことがあります。完全な独立は孤立を招き、時には支援を必要とする状況でさえも助けを求めることを拒むことになりかねません。

60代の方々にとって、人生の多くの段階を経験されてきたことでしょう。

若い頃は他者の支援を受け、中年期には自立を目指し、そして高齢になるにつれて再び他者の手を借りることが増えるかもしれません。このサイクルは、人間が社会的な存在であることを示しています。

他者とのバランスを取りながら、自分自身の力を信じ、時には他者を頼り、時には自分自身を頼る。それが人生の豊かさを形作るのです。

このエッセイが、人間関係のバランスについて考える一助となれば幸いです。人は誰しもが支え合いながら、また自分自身の力を信じて生きていく生き物です。そのバランスを見つけることが、幸せな人生を送る鍵となるでしょう。


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