国債
国債が実際どういうものなのか、よく知らない人が案外多いのではないでしょうか。この記事では、国債についてわかりやすく説明していきます。
なお、以降の記事では日本の国債について説明しますが、主要国の自国国債も基本的には同じようなものです。
国債とは
国債は、国庫債券の略です。債券とは「債(借り)を約束した券(チケット)」つまり負債証明書=お金です。政府が政府預金(日銀当座預金)を調達するために、政府が発行するお金です。
国債は有価証券でもあるので、国債そのものを「国債証券」と表現することもあります。
国債証券の構造
下の図は、財務省のホームページから拾った、国債証券の見本画像です。国債が紙の時代のものです。今は電子化されて現物を見ることがないため構造を認識しにくいですが、基本的には変わっていません。
上部の大きな部分、日本銀行券ほど精緻なデザインではありませんが、現金紙幣のようにも見えないでしょうか。この部分は国債の元本です。メインのお金だと思ってください。
下部には小さな紙切れがたくさんぶら下がっています。それぞれが、国債の利息です。クーポン券とも呼ばれます。一枚一枚がお金なのです。
国債は単に「お金の束」なのでしょうか? 実は国債には、発行時からの償還期間、つまりいつから換金できるかが定められています。例えば10年もの国債の場合、元本の償還は10年後で、それぞれの利息も定期的に償還日が定められています。(もっとも主流な固定金利ものを想定)
国債証券のイメージ図を下に示しました。一般的には利息は半年ごとなのですが、下図では単純化して1年ごとにしています。利息は3年分が償還済み(支払い済み)としてマークしています。
みなさん、こういうものをご存じないでしょうか? 将来元本が返ってきて、それまで利息が支払われるもの。定期預金ってこういうものではありませんか? そう、国債とは、政府が発行する定期預金みたいなものなのです。
国債の利率
上で説明したように、国債というのは利息付きの金券あるいは定期預金なのです。その利息の金利が、国債の利率です。表面利率、クーポンレートとも呼びます。
変動金利もありますが、ほとんどが固定金利です。イメージ図の国債が分かりやすいですよね。専門的には、複利ではなく単利の定期預金です。
イメージ図は、額面10万円・償還期間10年・表面利率1%の国債です。10年間、毎年千円の利息が入る、10年後までに11万円になる金券です。
国債の表面利率はどうやって決まるのでしょうか? これは新規国債発行時に市場の利回りによって決まるのですが、これを理解するにはまず国債の利回りを理解する必要があります。