国債の利回り

発行される国債の殆どは固定金利であり、その金利のことを表面利率などと呼びます。一方で、国債の取引では利回りと呼ばれる金利もあります。金利に2種類あってややこしそうですが、仕組みを知ってしまえば単純な話です。この記事では、国債の利回りについて平易に解説していきます。


国債は、自由取引市場で売買されます。株や投資信託などの市場取引と同じで、オークションのようなものです。

先の記事では、国債は利息付きの金券あるいは定期預金のようなものだと説明しました。つまり、国債は未来のお金なのです。それをいくらで購入できるかによって、満期までの損益が変わりますよね。その平均年利を利回りといいます。

例えば、元本10万円/10年もの/表面利率1%の国債があるとします。10年後までに11万円になる定期預金です。

  • 9万円で購入 → 平均利回りは年2.22%

    • 元手9万円で、10年後までに2万円の利益になるので、
      (2 / 9) ÷ 10 ≒ 2.22% となります。

  • 10万円で購入 → 平均利回りは年1%

    • 元手10万円で、10年後までに1万円の利益になるので、
      (1 / 10) ÷ 10 = 1% となります。

  • 11万円で購入 → 平均利回りは年0%

    • 元手11万円で、10年後までに損益ゼロになるので、
      (0 / 11) ÷ 10 = 0% となります。

  • 12万円で購入 → 平均利回りは年▲0.83%

    • 元手12万円で、10年後でも1万円の損失になるので、
      (-1 / 12) ÷ 10 ≒ -0.83% となります。

いかがでしょう。いくらで入手しようが、実際には毎年千円の利息と、最後には元本10万円になる金券あるいは定期預金みたいなものです。これを安値で買えば利回りは高く、高値で買えば利回りは低くなる、ということです。

国債に関して、次のような話を時々見ます:国債価格が暴落する=国債金利が暴騰する。ここでいう金利とは、利回りのことです。これはまさしく、上で述べたことを意味しているのです。もし先に例で示した国債を1万円で買えたら、利回りはなんと年100%です!(1万円で売る人がいれば、ですが…誰がそんなに安く売るんですかね?)

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