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岡山県高等学校教育体制整備実施計画

E議員から資料を頂戴した。

「岡山県高等学校教育体制整備実施計画」なるもの。読めってことだよね。ありがたく参考にさせていただくことにします。

たくさんの方が様々な角度からいろいろと研究し、提言されているんだなと興味深く読んでみた。一つ一つの内容について、業界の方ならその文脈を読み取ることができるのだろうなと、現時点での限界を感じながら、今後の検討事項などを整理してみよう。

全体的に感じたことは、あまり具体的な計画が記載されていないこと。何を目指すか、現状の問題認識、そのための施策のキーワードは書かれているので、各学校の裁量のためそのレベルにとどめているのならありだなと思う。そのほうが様々な可能性を検討できるので、好都合。実は、ここには書かれていない、いろんなしがらみや条例、法律があるんだろうな。また誰かに教えていただこう。

批判的なことを書いてしまうと、せっかくのいいところがかすんでしまうので、本来はすべきではないが、ここだけは明らかに恣意的な部分だったのであえて、あえて言いたい。

それは学区について。現在の学区を維持し、学区外の入学者は5%以内にとどめるというもの。まず自分の立場を明確にしておくと、学区制は反対。正義としては、子供たちの選択肢を狭めてはいけないため。計画の中でも、明確に個性的な特色のある学校づくりを推進するとは記載されていないものの、全体のトーンとして各校特色を出すことを求めている。例えば以下の下り。

生徒の多様な興味・関心、進路希望等に対応した学びを可能とするた
め、将来の職業を見通した特色あるコースや類型の設置について検討
し、教育内容の改善・充実を図る。 (P22)

自己の利益としては、子供たちの選択肢が制限され、5%の枠に入れなかった場合(何しろ、学外の倍率は概して高くなり、リスクを冒せるだけの優秀な子たちが受験するのだから同じ競争の下で入れるわけではない。)は、私学などへの通わなければならないなどの経済的負担の増大などの損失を回避したいというもの。

一方で、学区制を反対している人たちの意見としては、例えば岡山市の方などは、学区外からの受験者が増えることで、希望の学校へ入れなくなる可能性が上がる損失の回避や、計画の中にも触れられていたように、郊外ではより入学希望者が減ることによる高校の再編という損失を回避したいというもの。

結果的には計画では学区維持を決めた。

・学区や調整区域の変更は、地域や高等学校に与える影響が大きいことか
ら、慎重に検討する。
・本県の公共交通機関や人口集積の状況などの地理的条件を勘案すると、
学区の拡大や学区外からの受入枠の拡大は、都市部の高等学校に生
徒の志願が集まり、周辺部の高等学校の活力の低下が想定されるため、
慎重な検討が必要である。

都市部以外の高校の継続を個々人の選択の自由よりも社会的価値が高いとして高い優先順位を付けたということだ。個人の優先順位とは異なるが、この結論は尊重しなければならないし、嫌なら影響を出す方法を考えればよい話。(ただし、郊外の高校の統合は考慮しなければならないこととして、統合の判断基準を示していることから、郊外の高校の存続の正義は全体として必ずしも高くなと推察される。または、正義よりも多数を占める都市部の住民の利益を優先させたということかもしれない。)

ただ、とても、とても残念なのが、とても恣意的なデータを使って、受益者も提案が妥当と考えていることを印象付けようとしたこと。

・「高校教育に関する調査」における中学生の回答では、約4割弱が
「分からない」で最も多く、「現在の6学区のままがよい」と「学区を
なくし、どの地域からでも入学できるようにするのがよい(全県学区)」
が同程度である。保護者の回答では、「学区をなくし、どの地域からで
も入学できるようにするのがよい(全県学区)」が最も多く、中学校長
の回答では、「現在の6学区のままがよい」が最も多い。

このアンケートの問題をいくつか挙げる。

まず受益者の特定が適切ではないこと。上の文章では、どちらでもよいが1、学区をなくすべきが1、現状のままがよいが1と、意見が拮抗しているように読める。しかし、中学校長は直接的な受益者ではなく、保護者、生徒のみがこの中では受益者であると考えられる。したがって、このアンケートの結果は、どちらでもよいが1、学区をやめるべきが1で、学区をやめるべきという結論になるはずである。また、中学校長の意見を最後に(表では一番最初にあるのにも関わらず)持ってくるあたり、心理学の応用で直近バイアス(直前に起こったことに強く影響を受ける傾向)を利用し、学区を維持するべきという意見を印象付けようとしたと勘ぐってしまう。

下記がサンプリングの計画の概要である。一応広く人口にある程度合わせてサンプリングをしている。生徒と保護者の数と比べ中学校校長のN数が圧倒的に少なく、この点においても中学校校長の意見を1として紹介するのはミスリード。また、結果では都市部と郊外など意見が対立しそうな水準間での分析がなく、アンケートの結果を受益者の立場から分析しているとはやはりいいがたい。

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中学生(2年生)がわからないという回答が多かったというのも検証が必要な項目。2年生にとってまだまだ切羽詰まった状態ではなく、知識レベルに差があると考えられる。事前にそれぞれの選択肢のメリット・デメリットをしっかり説明したうえでの回答であればよいが、そうでないのであればこのアンケートの意味合いはだいぶ変わってくる。

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統計は結論に至るサポートになるものであり、大所からどんな結論を出してもいい。ただ、もう少し上手にデーターは使ってほしいなとおもう。行政に対する信頼に関わる。

愚痴でした。。。。

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