7年前に上京した時に買った自転車が、人の暖かさによって、生まれ変わった。
田舎育ちでおじいちゃんおばあちゃんっ子だったわたしは、おじいちゃん、おばあちゃんと仲良くなるのが結構好き。
誰も知り合いがいない土地で、話せたり頼れたりできる人ができるのも嬉しい。
そういうことを気軽にできるのが、街でこじんまりと営んでいるお店の人たちの存在なのだ。
帰り道に通りがかりで挨拶してくれたり、話を聞いてくれたり、近所のことを教えてくれたり。知らない土地だと知るのに時間がかかるけど、そういう存在の人がいると、一気にめちゃくちゃ街のことを知れるし、住んでてほんわかする。
昨夜自転車をパンクさせてしまい、今日は買い出し前に自転車を修理しなきゃいけなくなった。
自転車屋さんを検索しても、近所に自転車屋さんのチェーンて店はなく、個人経営のお店が引っかかった。
今までは、近所に自転車チェーン店がいつもあったから、個人経営の自転車屋さんに行くのは地元の住んでたとき以来。実に7年ぶりだった。
やってるのか半信半疑だったけど、行ってみることにした。
今思えば、近くにイオンやイトーヨーカドーがあるから、みんなショッピングモールで修理してもらってるのかな? そんな発想はなく、近くの個人経営のお店に行こうとするわたしは、やはり田舎育ちだなって思った。
10分くらい歩いたところにあって、まだまだ現役世代のおじさんみたいな人が営んでいた。「修理してほしいんです」というと、その場ですぐに作業を始めてくれた。
自転車屋さんにはよくお世話になってるけど、パンクの修理直してるところは見たことなかったし、天気も良くて、なんとなくボーッと眺めていたかったからそのまま居座っていた。
多分、「何分でできますか」って聞いてたら、その場から立ち去って後で取りに来たかもしれない。でも、コンビニやお店がない場所だから聞いても行くところもないからいっか、という具合である。
わたしが「話したい」と顔に出ていたのか、おじさんは「パンクしたのに随分と乗ったね。みるだけでわかるよ。」って話しかけてくれた。
そこからわたしが「2週間前に引っ越して来て...」と話し出す。
祖父母の家の縁側で、よくおじいちゃんと喋ってたな、なんて思い出して話が弾んだ。
パンクの修理が終わっても、7年乗り続けているわたしの自転車のガタついてるところを、「お姉ちゃん、せっかく来てくれたから」とさらに2ヶ所直してくれた。
ボロボロだったサドルを替えてくれて、外れかけてたカゴの全部のネジを締めて固定してくれた。
気がつけば30分くらい居たし、お代もパンク代のみだった。
しまいには「また来ますね〜!」なんて手を振って帰った。
帰り道では、空気入れを口実にして買い出しのときは立ち寄ろうって寄る口実を考えるほどだった。
上京して4年くらいは、こういう高齢者とのご近所づきあい避けてたけど、前の前の家のときからめちゃくちゃご近所さんに助けれられて来たから、こういう関係を大切にしていきたい。
都内や関東でも、こういう方々がいることに暖かさを感じる。
今日、7年前に上京して買った自転車が人の暖かさによって、生まれ変わった。