リビングの番犬ブラウニー
ひとりで留守番させることに、親側も慣れてきたとは言え、まだ自分のことさえきちんとできない小学五年生の娘。いろいろな側面から考えても、心配は尽きません。
リビングには防犯用のカメラが設置してあるので、ある程度の様子は掴めるのですけれど、玄関側にあるこども部屋に引きこもってしまうと、どうにも娘の様子を知ることができないのです。
できるだけリビングで過ごしてね。と言い置いても、それができるなら、そもそももっと自分を律することができるはず。
それに、リビングに来たら来たで、テレビやキッチンの食べ物の誘惑から、どうやって興味を散らすか頭を悩ませなくてはいけません。
あの手この手を尽くしても、家にいてコミニケーションをとってあげられるお母さんには敵わないので、なかなか娘の悪習慣を正してあげることができずにいるのですけれど、それでもひとつひとつできることからコツコツ直していくしか手立てはないのでしょう。
お盆休み、久しぶりに私ひとりでノンビリさせてもらいながら、やっぱり娘との生活のことを考えていました。
そうだ!家具のレイアウトを変えれば、今よりもうちょっとだけテレビとの距離を取ることができる!
義実家のように、テレビの前に大きなソファがあればいいのでしょうけれど、元々テレビ視聴に重きを置いていなかった我が家は、整った環境ではないのです。
家具を増やすことには消極的な私ですが、ここは娘のため。思い切って、座り心地の良さそうな座椅子を導入することにしました。
ちょっと工夫することで、狭い部屋ながら、今までよりもテレビとの間に距離を作ることができました。
作戦は概ね成功しているようで、フカフカの座椅子を娘は気に入ってくれて(予想通り夫も!)、寝転がったり座椅子で遊んだりはするものの、以前のようにちょっとずつ前進して、最後はテレビの目の前に座り込んで視聴すると言うことが格段に減ったような気がします。
すると、今度は別のことが気になり始めました。
ずっと爪を噛んでいるのです。
調べたところによると、爪を噛む癖と言うのは、ストレスや不安、退屈感、あるいは、発達障害による影響も考えられると言うではありませんか。
親の留守をいいことに、好きなだけテレビを見続けていても、潜在的には満たされていないことの表れなのだろうと思いました。
そんなことを考えながら、買い物をしていた帰宅途中、ふと、犬のぬいぐるみが目に止まりました。
ぬいぐるみには目がなく、すでに部屋には置き場もないほどにぬいぐるみがいると言うのに、それでもまだまだ欲しがる娘。
ふだんおねだりされても首を縦には振らない私ですが、この子を買って帰ってみることにしました。
案の定、娘は大喜び。
早速名前をつけてもらうことにして、夕飯を食べながら、あれこれ案を出し合いました。
決まった名前は『ブラウニー』
ツムギ、いい?ブラウニーは他のぬいぐるみと違って役割があるの。
ブラウニーはツムギの留守番の相棒、そして、リビングの番犬よ。だから、お部屋には連れて行かず、遊ぶならリビングで遊んでね。
えー、部屋に持って行っちゃダメなの?
どこまで?廊下は?玄関は?
そうねぇ。番犬だから、玄関にお迎えに行くまではいいかな。その後リビングに帰ってくるならね。
そんなこどもじみたやり方でしたが、娘はすんなりと承知しました。
ブラウニーは前脚を握ると、可愛く尻尾を振る仕組みになっています。
モフモフのブラウニーは、抱きしめたり、尻尾を振ったりすることで、娘のストレスや不安、退屈感、多動性をうまく吸収してくれるでしょうか。
昨晩は、帰宅しながらメールでやりとりをし、定刻にベッドに入らせることに成功しました。
ブラウニーを抱っこしながら自分の部屋に向かっているところまでは映像で確認ができたので、やっぱりベッドに持ち込んだかな?と思いながら帰りました。
玄関を開けたら…、
ブラウニーが玄関まで、お迎えに来てくれていました。
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