マンディ
私が娘ぐらいの歳の頃は、少女名作シリーズが好きでよく読んでいました。
特に好きで記憶に残っているのは、『母のいのり』や『悲しみの王妃』など。
『母のいのり』は『ステラ』となって今でも手元にありますし、『悲しみの王妃』にいたっては、『王妃マリー・アントワネット』だけでなく『ベルサイユのばら』としても愛蔵書に並んでいます。
当時読んでいた本で、未だに捨てられずに引っ越しの度に段ボールに詰めては本棚に戻したのが『マンディ』たった一冊。
もともとは姉の本だったので、表紙の裏には鉛筆で姉の名前が書いてあります。
夏休みに、姉のところでゆっくり読書でもしようとスーツケースに入れた本の中から一番最初に読みました。
何年ぶりに読んだのかは定かではありませんが、何度か繰り返し読んでいた本だけあって、だいたいは記憶していた通りのストーリーでした。
私はやっぱり、孤児院で生活するマンディが、自分の居場所を見つけてせっせと掃除や庭のお手入れをするところがワクワクして好きです。
読み終わったので、娘に読むか聞いてみました。
本好きの娘は少し迷った後、私の手から受け取ると、私より速いスピードで一気に読み終えてしまいました。
娘は、最後がよかった。と。
マンディが新しい家族に迎え入れられるところがすごく気に入ったと話してくれました。
マンディの新しいお母さんのアンはとても優しい声の持ち主です。
ここに来てから一週間もの間、期待していたお隣さんのお友達は不在で、半分くらい雨に降られ、思ったように楽しめなかったことと思います。
娘も春には、マンディのように喜びに胸を弾ませながら私の家に来たのでしょう。
なんとなく、うまく噛み合わない私たち。
明日には久しぶりに我が家に戻り、また日常生活が始まります。
『マンディ、私たちは、ほんとうに、あなたが好きなのよ。ーーーきっと、あなたをしあわせにするわ。』
マンディは、ずっと探し求めて来たものを、みつけたのでした。
アンと同じように、愛情たっぷりの言葉をかけてあげられたら、どんなによいことでしょう。