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家出常習犯

そう言えば、家出をしたのは二回目だな。と思って、自分のnoteを遡ってみたら、一回目の家出も四月、ちょうど一年前と言ってもいいくらいに近しい、四月の下旬のことでした。

読んでみたら、状況も心境もほぼ変わらず、私は相変わらず、娘発信のトリガーを攻略できずにいます。

「ケイトと三人で楽しい家族になりたい」としおらしく謝った舌の根が乾かないうちに、「楽しくしなきゃいけない意味がわからない!」と父親に食ってかかる娘。

「楽しくする気がないなら出て行け!」
トリガーに従い、娘を追い出す私。

「いいから、家に入りなさい」
救済に入る夫。

「ケイトが出て行けって言ったんだよ!」とすぐには言う事を聞かないくせに、しばらくするとしれっと部屋に入って絵を描いている娘。

「勝手に入らないでよ!」と再び追い出しにかかると「勝手じゃないよ。お父さんが入れっていったんだよ!」と今度はお父さんのせい。

「ああ、いいですよ。じゃあ、私が出て行きますよ」大人げのない私に「そうやって感情的にならないでよ」と、相変わらず神経を逆撫でする夫。

もう、支離滅裂。
もはや、我が家の恒例行事にもなりつつある家出。

九連休の初日、私は怒りに任せて、深夜の住宅街をひたすら歩き二時間かけて、眠らない街歌舞伎町へひとり繰り出したのでした。


淡い期待をするからでしょうか。
学年が上がった娘が、著しく成長すると幻想を抱いてしまうのかもしれません。

それとも、怒涛の年度末をなんとか駆け抜け、今年度こそは仕事と家庭を両立させたいと、自分自身のハードルを上げて、頑張り過ぎてしまうのでしょうか。


去年は24時間営業しているお店はなかったけれど、今年は温泉施設で横になることができました。

とにかく寝て、起きて温泉とサウナに入って、昼間っからビールを飲んで、何年かぶりにジェルネイルをしました。

キラキラしたネイルを見ていたら、ようやく心が笑顔になりました。

そのままウキウキH&Mでオフホワイトのジーンズを買い、ゴールデンウィークのお出かけに備えました。

アロマ&足裏マッサージもたっぷり受けたけれど、リクライニングシートで寝てしまったツケは解消されず、今も全身痛いまま。しかもまだ眠い。

たっぷり一日、気の向くままに過ごし、夜はまた別のサウナ施設に行こうと調べてみたら、そちらはまだ26時までしか営業再開していないことに気づき、終電間際の電車に乗り込み、とりあえず最寄駅まで戻りました。


携帯の位置情報も丸一日オフにしていたので、さすがにもう夫も諦めたかな?と、一か八かでオンにして、いつも二人で深夜に話すコンビニの駐車場でレモンサワーを飲んでいたら、速攻夫に捕獲されました。

いつもはこんな距離を?と思う道のりを自転車に乗る夫が、走って。

夫が走って来るのを見たのは初めてかも知れません。

「昨日はどこに行っていたの?」から始まって、ポツリポツリと話し、「俺はまだ父親になり切れていなかったんだと思う」と、家出して悪いのは私なのに、反省していると夫が謝るのです。

「寒くなってきた?そろそろ家に帰る?」

そう聞かれて私が首を横に振ると、「どうするの?」「家に帰らないでどうするつもり?」と聞き続ける。

「どうして?」って聞かないんだね。
「どうして感情的になっちゃったの?」とも、「どうして家出をしたの?」とも、「どうして家に帰りたくないの?」とも。

そう言うと夫は、素直に聞いてきました。

「どうして家に帰りたくないの?」

「ツムギの顔を見たくないから。ツムギに会わないようにしてくれるなら帰ってもいいよ」

これは本心でした。
今はまだ、向き合えない。

いつまでこれが続くのだろうかと思うけれど、この葛藤に苦しんでいるステップマザーは案外多いのではないかと思います。

心から嫌いなわけではないのに、嫌悪感を併せ持っていて、どうにもならないこの感情。

「なんとかするよ。だから一緒に帰ろう」

妻からの非道な条件を、なんとかしようとしてくれるだけ、私は夫に恵まれているのかも知れません。


二年って、長いようで短いのですね。
ステップマザーの悩みなんて、そう簡単には解消されないのだと思いました。

娘のことは実父に任せて、私は私の心を回復させようと思います。

反射的に娘に対して拒絶反応を起こすようになってしまった自分を、二年前のフラットな自分に戻せるように。

ゴールデンウィークに、予め娘を祖父母の家に連れて行ってあげるよう、夫に提案しておいてよかった。

少し距離が取れれば、また娘を可愛いと思える自分が帰ってくるような気がします。

ただいま。

おかえり。


追記:
そうそう、去年項垂れて雨宿りした公園の木は、ある日突然伐採されて、代わりに若い木が植えらました。
もう、雨を凌げる場所がなくて、雨の日には気をつけて家出をしないといけなくなってしまいました。

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