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【読書記録】チキン!/いとうみく
2022年8月26日〜27日
せっかく小学生の母になったので、小学生の母になっていなかったら経験しないまま人生が終わってしまっただろう。と思うことは、極力やってみようと思っています。
小学生のころ、まったく本を読まないこどもではありませんでしたが、好みに偏りがあったと思うので、小学校高学年が読む本に、改めて触れてみたいと、オススメの本を調べたりしていました。
その日は仕事が早く終わり、ちょうど古本屋さんの近くを通って帰宅していたので、フラッと寄ってみることにしました。
自分の本は去年からさんざん買っていたので、背表紙を見るのはもっぱら児童向けの棚ばかり。
娘が好きで集めている『四つ子ぐらし』があったら買っていってあげようと考えていましたが、残念ながら既に持っているであろう②巻しかありませんでした。
タイトルだけ知っていて読んでいなかった文学書とオススメで紹介されていた児童書を、合わせて7冊購入しました。
最初に読んだのが、この『チキン!』
主人公の女の子が転校生だと言うので、娘の置かれている状況と似ているところがあるかしら?と思いながら読みました。
6年生のあるクラス。似たり寄ったりの日常が、5年生の娘のクラスでも展開されているのだろうな。と、教室を覗き見るような気持ちで読みました。
それぞれの登場人物が、いるいるこう言う子!とイメージしやすく描かれています。
転校生の真中凛ちゃんと、もうひとりの主人公、対照的な性格の日色拓くん。
お互いと接する中で、気持ちの変化に気づいていくふたり。
他者との関わりを学んでいく時期だからこその成長をたった数ヶ月の短い間に成し遂げていくのでした。
昨晩、楽しい雰囲気の中、家族三人でツムギの夏休みを写真で振り返った後のことです。
夫は娘に感謝の気持ちを持つこと、また、その気持ちを言葉にして伝えることを教えたくて、娘にこう言いました。
「こんなに楽しい海の思い出ができてよかったね。お母さんが見つけて申し込んで行かせてくれたんだろ?お礼を言ったらどうかな?」
「違うよ!ツムギが学校からチラシをもらって来たんだよ!ケイトに言われる前にツムギが行きたいと思っていたんだよ!」
確かに、私がこのイベントを知ったのは娘が学校から持って帰ったお便りからでした。
「そう言うことを言ってるんじゃないんだよ。もっと謙虚になりなさいよ」
夫は、話の本質が伝わらないことにがっかりしながら言いました。
「事実を言っているのに、どうしてツムギが怒られるんだよ!」
さっきまでの和やかな空気が一瞬にして変わってしまいました。
これも発達障害の傾向のひとつなのでしょうか。
『事実』や『言葉』に拘るあまり、話の本質がまったく無視されてしまうことは、娘との会話ではよくあることでした。
『チキン!』の中の凛ちゃんは、正直であることに拘り過ぎて、周りのこどもたちとうまく関係を築くことができません。
そのことを本人なりに悩んでいる姿を見て、通ずるものを感じてはもらえないだろうか?
「ねぇ、ツムギ、この本読んでみない?ツムギの疑問に対する答えがあるかも知れないよ?」
これも説教の一環と思ったのか、あまのじゃくな娘は本を受け取ろうとはしませんでした。
「お母さんがせっかく薦めてくれているんだから、読んでみたら?」
お父さんに言われてようやく「うん」と言いましたが、押しつけた感じになるのも嫌だったので、「ここに置いておくからね」と、他の6冊に重ねておきました。
本好きの娘のこと。そのうち気が向いたら読んでくれるでしょう。
娘が部屋に戻った後、私からあらすじを聞いた夫が最後に言いました。
「ツムギが読んだら、どう感じたのかを聞いてみたいな」と。