認知バイヤスを補正せよ!
「私、そんなに怒りん坊じゃないよ?」
何度ツムギに言ったことか。
それでもツムギから見る私は、本当によく怒って見えるのだそうです。
大人みたいに、怒ると叱るの違いとか、怒りが二次感情であるとかいう知識は、こどもにはなかなか理解できないだろうから仕方がないものの、それでも私は、実際に怒るとはこんな感じと実演してみせたり、怒っているんじゃなくて伝わらないことが悲しいんだよと一次感情を示してみたりするのだけれど、祖母に怒られ続けて育ってきたツムギは、その延長線上で、いつもツムギは怒られると思ってしまうようなのです。
にこにこ優しいお母さんを期待しているのかも知れません。
それは私にとっても理想だし、そこそこ社会経験を積んでいる50代の私は、気の短かった昔に比べて、ずいぶんと穏やかになったと自覚しています。
友達も多い方だと思いますし、はじめましての方とも積極的に会話をするスキルはありますけれど、反面、実は人見知りであったり、大勢の輪の中で均等に会話をするのが苦手だったり、妙に冷めているところもあるので、それが冷ややかに映ってしまうのかも知れません。
血液型で語るほど信憑性のない話もありませんが、AB型なんですと告白して、意外だと言われたこともありませんので、たぶん、そんなようなところが、人と違って見えるのでしょう。
決して、最初からAB型と言い当てられることもないので、普通にしていると、そんな二面性が前面に出ていることはないのだと自己分析しています。
先日も、ツムギが夕方サッカーから帰って来て、ちょっとした間にボタンの掛け違いが起きてしまいました。
【ツムギの行動】
①部屋に入って、グチャグチャに突っ込んでいたクローゼットの洋服が部屋に出されていたのを見た
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②リビングのテーブルの脇に立って、携帯のメールをいじっていた
↓
③イスに腰掛けて、携帯のメールの返信をした
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④無言で部屋に戻った
↓
⑤洋服を片付けようとした
【私の行動と気持ち】
①ツムギの留守中に、こども部屋のクローゼットを開けると、相も変わらずグッチャグャに突っ込んであったので、一旦全部部屋に出した
週明けはお天気悪そうだし、帰って来たら一緒に片付けて、今日のうちに洗濯してあげるか
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②ツムギの帰宅に合わせて、夫にお風呂を沸かしてもらう
一緒に片付けたら、ちょうどお風呂も沸くころだろう
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③ツムギがメールを見ていたので隣で待つ(その間に、夫が「手洗いうがいして」「ドーナツあるから食べな」と声がけをしたように感じた)
順番は、手洗いうがい⇨片付け⇨お風呂⇨ドーナツだな
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④イスに腰掛けたツムギに「食べるの?」と声をかける(ツムギは「おばあちゃんが心配するから先に返信するんだよ」と反論)
危ない危ない、手も洗わずにドーナツを食べるもんだと思い込んでたわ
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⑤干してあった洗濯物を取り込んで、夫と黙々と畳む
メールに時間かかりそうだし、ツムギの部屋からはまた大量の洗濯物が出そうだから、今のうちに畳んでおこう
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⑥「急いでね」と声をかける
時間がかかるなら、メール読んだけど、返信は後でするねって返せばいいんだよ、と教えようか?でも、またうるさいなって思うかな?ま、もうちょっと待ってみるか
↓
⑦無言で部屋に行こうとしたツムギに「無言で行かないで」と声をかける
ちょっと不機嫌なんだろうな
↓
⑧畳んだ洗濯物を持ってツムギの部屋へ行き、「何回片付けてもクローゼットの中がグチャグチャになっちゃうみたいだから、収納方法を見直してみる?」と声をかける
一緒に片付けを手伝ってあげよう
口が尖っているツムギ。
「なんで口が尖っているの?」
「尖ってないもん!」
「いやいや、尖っているよ?」
「ケイトが怒っているからだよ」
こうして改めて書き出してみると、以前よりずいぶんと抑えてはいるものの、いちいち口出してうるさいと思われても仕方ないかな?とは思ったけれど、よくよく聞いてみたら、①の時点で既にツムギは、『ケイトに怒られる』と感じていたようなのです。
しかも、側にいた夫も、同じように感じていたと。
「確かに貴女はピリピリしていたよ」
夫はここのところ、こういう状況に陥ると、必ずツムギの味方をします。
「ツムギだって成長しているんだよ」とか、「ツムギの脳では貴女が言っていることが理解できないんだよ」とか言って。
「私、ひとつも怒ってないよ?」と言っても、「いいや、自覚がないだけだ。周りから見るとピリついているよ」と畳み掛ける。
あのねぇ、今日はまったくイラっともしていないし、怒ってもいません。
もしどうしても、イラッとした瞬間があったとしたら、貴方が「ドーナツあるから食べな」って、このタイミングかよ!って思ったくらいだわ!
この人たち、本当の私を知らないんだなぁ、と思いました。
ツムギは仕方ないにしても、長年付き合って結婚した夫にまで誤認されているとは。
でも、それも仕方がないことなんだと思いました。
付き合っていたころの私たちは、ほぼ、二人でしか会ったことがなく、二人で過ごす時間はいつも楽しかったし、少しでも好かれたいと思うから、できるだけ自分のいいところを見せるようにしていたはず。
日常生活の中で、職場や友達の輪の中でも、数人で話している場面で一歩引いて、些か冷めた表情で(とは言え、周りが不愉快にならない程度の真顔で)人と時間を共有しているいつもの私を、きっと見る機会がなかったのでしょうね。
夫はなんとか私が言わんとしていることを理解してくれたようで、不貞腐れて布団を被っているツムギに説明をしに行きました。
「ケイトは本当に怒っていなかったんだってよ。
お父さんも、クローゼットの服を全部出しているのを見て、帰って来たらツムギのことを怒るつもりなんだと思っていたけど違ったんだって。
もう、ツムギの部屋が汚いのには見慣れてしまっていて、怒る気もしないんだって」
それを聞いたツムギが、意外なひと言を発しました。
「それって、諦めちゃったってこと?」
「諦めてなんかいないよ。どうしたらできるか一緒に考えようと思ってる。
思い出してみて。私、収納方法見直してみる?って言いに来たんだよ?」
そう返すと、嬉しそうな、恥ずかしそうな、なんとも言えない表情でまた布団に潜って行きました。
私だって、この三年間、ツムギに対しても夫に対しても、誤った認知を重ねてきてしまったことが多々あり反省して、修正しようと努力しています。
少しでも早く、ケイトは怒りん坊という認知バイヤスを補正してもらえるように、客観的に自分のことも見ていかなくてはいけませんね。
今日の話とは少しズレるけれど、ちょうどこの記事を書いていたときに、子育て論を参考にさせていただいているあぴママさんが、私がツムギに対して持っていた認知ギャップのことをわかりやすいマンガで表現してくださっているのを見つけたので、ここにご紹介しておきます。
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これ、ステップマザーはやりがちだと思いますので、私も反省中です。
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