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「コモンズ」定義考

私は、コモンズ論が何となく苦手だった。
その理由は、コモンズ論では公有地や自然資源が「みんなのもの」であることを前提するからだ。
コモンズはみんなのもの、という定義がいかに普及しているかは、「コモンズ みんなのもの」で検索するとわかる。

コモンズ論の中で、多辺田の議論は違和感なく読めた。『コモンズの経済学』を友人に借りて、初めて読んだ時は感動して泣いたくらい。
多辺田によるコモンズの定義を見直したら、

「英語のコモンズ(commons)という言葉には,『共有地』『入会権』『共同の食事』といった意味が込められている。ここでは,それらの意味を含めながらも,より広い意味で使おうと思っている。すなわち,商品化という形で私的所有や私的管理に分割されない,また同時に,国や都道府県といった広域行政の公的管理に包括されない,地域住民の共的管理(自治)による地域空間とその利用関係(社会関係)を,コモンズとよぶことにしたい。   
 地域内の水(河川・湖沼・湧水)や森林原野,海浜,海を含む土地空間,相互扶助システムとしての労働力,サービス,信用などを含む地域の『共同の力』と言ってもよい。
 もちろん,コモンズを共同体的諸関係ととらえてもかまわないのであるが,より多義的な豊かな内容をもつ概念として,将来に向けて積極的に提示したい。したがって,あえて曖昧さを含んだ(ファジーな)概念として使いたいのである」

とある。多辺田は、コモンズを「みんなのもの」と前提してはいない。

僕は自治は勝ち取っていくものだと思っている。入会林野論による入会林野、地域と自然資源の関係の捉え方はそれに近い。
英語のcommonsには「共通の食事」という意味もあるというのも興味深い。これは今後の課題にする。

(画像は多辺田『コモンズの経済学』の表紙。「日本の古本屋」からお借りした。)

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