林業経済学会の欺瞞性:合意形成への参加をめぐって
スウェーデンで開催されている、国際森林研究機関連合 IUFRO の世界大会に参加している。
森林の分野では参加型アプローチの重要性が、少なくとも2000年代から認識されてきた。参加や熟議の重要性は、持続可能な社会への移行の文脈でもよく論じられる。
林業経済学会(員)は、長きにわたり、学会シンポジウム等において、国有林経営のあり方を、資本や官僚による私物化を招く構造だと批判し、市民参加の必要性を訴えてきた。
最近では、学会主催の研究会において、森林・林業基本計画の改定をめぐって、より民主的にせよという意見が国立研究機関の研究者から林野庁の現役官僚に投げかけられた。今回の基本計画は、驚くほど量の補足資料が付いていて、これにより民主的にせよという意見が投げかけられるのは意外であった。
私は、こういった背景も踏まえて、2022年の林業経済学会大会自由集会において、学会70周年記念事業の進め方について、主体的な問題意識を持つ人が参加できるよう、民主的に進めてほしいと発言した。そうすると、脱成長や持続可能な社会への移行について業績のある壇上の会員から、「私たちが無料(ボランタリー)でやっているのだからそんな発言をするな」という趣旨の発言があった。
これは、そもそも問題意識を持つものが議論に参加すること自体を否定し、あるいは参加は特権的な地位を持つものの「恩恵」の下にしか認められないことを宣言し、彼らの特権意識をこれ以上なく明らかにする発言である。
フロアには市民参加やボランティアの研究者がいたにも関わらず、誰からも当該の発言を制する意見は述べられなかった。
林業経済学会は、欺瞞的な人間たちの集まりである。