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第25話:頭の癖を利用したマーケティングテクニック

前回のおさらい

マーケティングと心理学の結び付きが強い学問として、消費者行動研究をあげました。そこには、人間がなにかの刺激を受けたときにどう反応するのかということを研究しています。
初期のマーケティングは依然として経済学の考え方から影響を受けていてホモ・エコノミクスとして消費者を捉えていたのですが、その考え方を取っ払って考えていこうとしたわけです。

今回は、合理的には動かない人間の頭の癖を利用したマーケティングについて紹介していきたいと思います。

人間の頭の癖を利用する

頭の中の部分には、癖があります。人間は、外部からの刺激をインプットをしてその結果をアウトプットします。この頭を経由することで、頭の癖がアウトプットに影響を与えます。その癖を利用してマーケティングにいくつか利用されているものが存在します。

例1:単純接触効果

マーケティングに心理学が適応されているもっとも有名な例ですね!
繰り返し接触すると、好印象や印象が高まる効果。例えば、ラジオで頻繁に流れる曲(ヘビーローテーション)は必然と好きになる。広告でリーチ数にこだわるのもこれの効果を期待しているものです。
恋愛にも活用できるらしいので是非活用してもらえればと思います笑

例2:バーナム効果

実際には誰でも当てはまるような、どうとでも取れるような内容を自分だけに適応される“極めて正確な”内容だと思いこんでしまう現象のこと。
占い師や詐欺師がよく使いますよね。

詐欺師:「ねえ?今お金に困ってるでしょ~?」
騙される人:「えっ!?なんでわかったの!?」
詐欺師:「ウヒヒヒヒ(こいつ騙せる)」
占い師:「あなた人間関係に重大な悩みを抱えてますね?」
騙される人:「えっ!?なんでわかったの!?」
占い師:「あなたの心を読めるからですよ(こいつ騙せる)」

騙される方が悪いのではなくて、頭の癖なので仕方がないことなのです!

例3:ロー・ボール・テクニック

相手が認めやすい提案をして、それに承諾したら次々とオプションを要求していく方法。
格安商品を買わせて、オプション品を月額で請求するやり方が多いです。例えば、ネスカフェバリスタの定期購入はこれに当たりますね。あとは、最近のサブスクリプションサービスは、クレジットカード情報を入力させた上で3ヶ月無料キャンペーンで加入させるのもこのテクニックを利用しています。
また、返品無料というのもこのテクニックを使われています。もっぱら、返品無料と言われて購入して返品する人はほとんどいないようです。(試着便は別ですけどね!)

例4:バンドワゴン効果

大人数の人が“良い”、“賛成”と評価しているものは、自分にとってもいいものだろうと思い込んでしまうこと。
サクラを使って「すごいすごい」と言わせれば、そこに一緒にいるお客さんも「これってすごいのかも?!」と思ってしまいます。日本人は付和雷同だと言われることはありますが、これは頭の癖であって日本人だからと言うわけではないんですね〜。
バンドワゴンとは、パレードなどの行列の先頭を行く楽隊車のことを指し、「バンドワゴンに乗る」というと、時流に乗る・多勢に与する・勝ち馬に乗るといった意味になります。

例5:ネガティブフレーム・ポジティブフレーム

これについて考えてみてください。

・禁煙しないと寿命が縮まる
・禁煙したら、長生きできる

前者がネガティブフレーム、後者がポジティブフレームと言われています。

・ネガティブ・フレームの例
■100%の確率で1000円失うくじ
■10%の確率で1万円失うくじ
ネガティブフレームがワークしている例だと、後者を選ぶ人が多いのです。でも、期待値は一緒なんですけどね。

・ボジティブ・フレームの例
■100%の確率で1000円当たるくじ
■10%の確率で1万円当たるくじ
この場合は、前者を選ぶ人が多いのです。

つまり、期待値が同じでも、説明の仕方によって、人の行動は変わってしまうのです。

例6:部分強化

ある行動に毎回ご褒美を与えるよりも、たまに与えたほうが何度もその行動を続けるようになるという心理法則のことです。
スマホゲームの「ガチャ」はこれに当たります。スマホゲームが今流行っているのもこの部分強化をうまく利用したアルゴリズムがあるからです。スマホゲームも飽きちゃってログイン率が下がってきたところで、無料ガチャを引かせたときにレアが出てくる気がするのは、気のせいではなく、この部分強化の仕組みが使われているのです!知らないうちにもう一度ゲーム再開しちゃってませんか?

まとめ

身の回りで使われているマーケティングのテクニックはこうした心理学を利用したものが溢れています。これを機会に身の回りのマーケティングのテクニックを見抜けるようになったら、きっとマーケティングレベルが上がるのではと思っています!
さて、次回は最新の経済学の1つである行動経済学をご紹介します。有名ビジネスパーソンも行動経済学を触れておくべき!と言っているようですが、本質とずれて認識している人も中にはいると思うのでなるべく理論をお伝えできるようにしたなと思っています。

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