第24話:心理学とマーケティングの結びつき
前回のおさらい
前回までは社会学をお話してきました。
マーケティングとの関わりとしては社会を見る目を養うことでマーケティングの活動に活かすということをお伝えしました。
さて、今日は心理学についてお伝えしていきます!
消費者行動の歴史と心理学
マーケティングの中でもとりわけ心理学との結びつきが強いのが「消費者行動研究」です。この消費者行動研究が始まったのが1930年頃と言われています。
それまでは経済学の消費者理論に基づいて行なわれていました。
昔の消費者行動研究は、経済学の理論に基づいていたということで、主には消費者選好理論が使われていました。
何を表すかというと、「経済的合理性のみに基づいて個人主義的に行動する」と言う“ホモ・エコノミクス”や、完全な情報仮定などが条件とされ、効用の最大化のためにはどうするのかを数的に捉えていたものでした。
戦後、安定した財の供給が可能になった当たりから、消費者行動の変化が見られてきました。
“ホモ・エコノミクス”で捉えるのではなく、個々人の人間行動を研究しなければならない。その分野を心理学から援用する形でマーケティングに導入されたのです。
マーケティングと心理学の交わるポイント
人間は物を購入する時に、何かしらの刺激を受けそれに呼応する形で購買につなげます。
例えば、
人間の行動を、刺激(stimulus)、それを受ける有機体(organism)=消費者、そして反応(response)で説明しようとするモデルのことです。これを消費者行動論では「刺激-反応モデル」と言います。
ハワード=シェスモデル
ハワード=シェスモデルというのが有名です。
このモデルでは消費者は商品、広告、口コミなどの刺激を受けます。そうした情報は近く構成体に伝達され、処理されます。そして処理された情報は学習構成体に伝達され、そこで意思決定がされます。
この場合、知覚構成体は情報処理を、学習構成体はそれらの情報をもとに意思決定する、と考えられています。このようなプロセスを得てなされた意思決定の結果として、購買がなされます。
そして購買した商品の満足・不満足の結果はフィードバックされ、ブランドに関する知識が強化・修正されます。このモデルは、消費者の内面における反応過程を説明したものといえます。
「頭の中」を解明する役割を心理学が担う
マーケターたちは、気になるのです、「なぜ、消費者はこれを購入したのだろう?」と。
つまり、消費者の心の奥底に潜んだ消費動機を探り出したくなったのです。
これを「モチベーションリサーチ」と言い、ディヒターと言う研究者によって始められたのです。
ディヒターは、オーストリアのウィーンで精神分析の創始者の「フロイト」の診療室の前に住んでいたからか、フロイトの精神分析法に影響を受け、フロイトの「無意識」によって引き起こす行動を分析に活かしました。
ディヒターは深層面接を行い商品購入における表面的な動機の背後に隠された消費動機を分析しました。
ディヒターの功績として有名なものはこんなものがあります。P&G「アイボリー」の広告スローガン“Wash your troubles away.”は彼のアドバイスから生まれました。
ディヒターの行った消費者分析の方法は今もなおマーケティングの影響を与えています。みなさんはマーケティングリサーチの中でグループインタビューがありますが、フォーカスグループインタビューの方法は彼が考案したものだと言われています。
まとめ
心理学の中でマーケティングとの結び付きが強いのが「消費者行動研究」です。なぜこの消費者行動研究が始まったかと言うと、これまで経済学の分野として「ホモ・エコノミクス」という考え方を使われていましたが、こうした発想ではものが売れなくなった。そういうところから、心理学から援用する形でマーケティングに導入されました。
特に、消費者行動研究で有名なのは、「刺激反応モデル」と「ハワードシェスモデル」です。消費者がどういう思考で購入に至ったのかのモデルを見ていくことでマーケティングに活用します。
また、ディヒターの研究から「モチベーションリサーチ」というものが生まれて今までマーケティングに活用されました。
次回からは、頭の癖を利用したマーケティングテクニックを紹介します。
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