詩|決して損をしたくない君へ
”誰かが得をすれば 他の誰かが損をする”
”誰も得をしないかけひきに 価値はない”
”なるべく最小の努力で 得をしたい”
――君がそう考えているのは わかりました
きっと君は
並んだスーパーのレジで 隣の列の進みが速かったら
舌打ちをすることでしょう
空いている右車線を選んだら 右折待ちの車がいて
左車線よりも時間がかかったら イラッとするでしょう
新人の職員に同じことを何度も教えるのは
時間の無駄だと思うでしょう
でも そういう思考自体が
自分に大きな損を与えていると 気づいていますか
自分で自分の人生を つまらなくしているのです
そんなことをしている間に
雨は上がって 太陽が地面を乾かし始めました
君の足もとも 私の足もとも
© Keith Young