転職を決意するまで考えたこと
キャリアカウンセリングを受けてから、転職を決意するまで。
キャリアカウンセリングを受けてみた感想は、別でまとめてみました。
キャリアカウンセリングを受けた話|keith_k|note
カウンセリングを始める前からキャリア形成については悩んでいたわけで、という事は必然、転職も一つの道だと頭をよぎっていました。
ただ「なんか嫌になったから転職しよ」じゃ無計画なので、じっくり思考しながら決めようと思いました。
その当時シンガポールへ異動したばかりという事もあって、せっかく来たのにすぐ移っちゃもったいないという事で妻とも話し、1年は少なくともシンガポールに居ようという事だけ、最初に決めました。そして、1年を経て結論が変わらなければ転職、その間に何らかの解決があれば残留、というルールを課して、まずはちゃんと働く事に。
結果転職志向は変わらず、転職に至るわけですが、悶々と当時思ったことを以下に書き連ねる事にします。
まず、ポジティブな理由も、ネガティブな理由も、どちらも自分に正直になろうと思いました。
「心に秘めた正直な思い(だと思っているもの)」も、意外と「自分はこうでなくてはならない」という縛り(バイアス)がかかってしまうことに気づいたためです。例えば家族、世間体やプライドや、漠然とした不安、といったものによって、「やらない理由を作っている」状態にある事がよくあります。
これは以前少し読んだ「嫌われる勇気」で気づいたような気がします。
曰く、「○○だからできない」という原因論での思考は、実のところ、それが原因ではなくて、それを原因することで、やらない(できない)状態のままでいたいと実は自分が思っているからだ、というようなことでした。
要はやらない理由を作って正当化してしまうということだと思います。
これは私は生存本能なんだと思うのですが、安全が確保されている状態から離れるのは、簡単ではないということなのでしょう。
しかも、どんなにブラックな状況でも、「不確定な未来」よりは「状況が分かっている今」のほうが(どんなに表面上「しんどい」と思っていようが)本能的には安全だから、世の中心を病んでしまう人が多いのかなと思います。考える暇もなく馬車馬のように働かされているという場合も多いでしょうが。。。
少し話がそれましたが、そう思って次に、思いの洗い出しをしました。
これには先述のキャリアカウンセリングも一役買っています。
端的に言えば、以下のような事が分かりました。
・これまで言われるままに生きてきた傾向が強い、それは幼少期からの育ち方も関係があったようで、人間形成の上で幼少期の育ち方というのは本当に影響が大きい。
・そのため言われたことはこなせるものの、周りに合わせることが多く主張が弱いため、自己決定がなかなかできないという所に実は苦しんでいた。一歩自分の足で踏み出したいと薄々感じていた。
等々。
自身の子育てに対する教訓にもなりました。
そして一方、現状を整理すると、私の居た会社はいわゆる大企業で、福利厚生は充実していました。給与もとても良く、身近な人も尊敬できる人ばかりです。海外での勤務も、ストレスはあるが日本のような異常に空気読むような堅苦しさもないし、私生活は刺激的で楽しいとすら思っていました。
(退職の報告をした際、多くの知り合いからは海外が嫌になったの?と言われましたが、そうではなかったです。苦笑)
蛇足ですが、海外現場勤務で得た感想は以下にまとめてみました。
海外で現場監督して感じたことと、逆に日本が変だと思ったこと|keith_k|note
ただ、結果として転職を決意したことになります。
なぜなのか。
一言、流行り言葉で言えば、「エンゲージメントが低かった」ということだと思います。
前の会社は嫌いではないし、これからも応援したいと思えます。だけど「自分がここでうまくやっていけると思えない」ということでした。自信がなくなっていたとも言えます。
大きなプロジェクトも任せてもらえましたし、それらをやり切りはしたものの、成果が認められていたのか、どう扱われていたのかが良く分かりませんでした。先達や同僚・後輩の輝かしい活躍の話や、もっとこれからこうしたほうが良い、という話はよく聞きましたが。。
会社のせいでも自分のせいでもなく、相性の問題なのだと思います。そんな事は気にせずバリバリ情熱をもって働いている人もいっぱいいますので。
ただもし、何らかのポジティブなフィードバックやアドバイスがもらえていたら、私の決断は変わっていたのかもしれません。そういう意味では形式的な人事評定というのには疑問を覚えるところがあります。私自身がちゃんとフィードバックを求めなかった、ということでもあります。
(これは私としては上司のせいではなく、会社が仕組みとして考えていくものだと思っています。マネジメント個人の意識に任せるのは小規模な組織ならできても、大きくなればどうしても個人差が出てしまいます)
であるならば、収入や福利厚生はさておいても、自分で、自分の責任でもって行く道を決めたほうが良いのではないかと。
付け加えるなら、社内で根回しして希望部署に行く努力をするよりは、転職活動のほうが、むしろ希望に対して調整が効くのではないかと思いました。
(社内の希望部署が思い違いだった場合、無理を言って聞いてもらった以上次の行先は難しくなるのでは、という気もします。)
以上が転職に至るまで考えたこと(の大枠)でした。
<追伸>
転職を決めた身としては、前の会社に限らずこんなのがあったらいいな~思います。(実現可能かはさておき)
・ちゃんと社員に対しフィードバックを行うこと(成果を認めることと、次のアクションに共通のビジョンを持つこと)
・転職者が増えることを嘆くなら、社内でも転職と同じくらいキャリア設計が本当にできる(考えられる)仕組みと文化
・あるいは、いったん出ていかれるのは割り切り、そのうえで戻ってきたいと思わせる社内文化(実際にわだかまりなく戻ってこれるというのが前提ですが)
このご時世、転職サイトにとりあえず登録する人は増えています。転職というカードを社員が持った上で、それでも居たいと思える会社であってほしいと切に願います。
ちなみに自己決定できる方が年収や学歴より幸福度が高いらしいです。
所得や学歴より「自己決定」が幸福度を上げる 2万人を調査 | Research at Kobe (kobe-u.ac.jp)