キャリアカウンセリングを受けた話
最近、転職をしました。
転職を決断するに至るまでの1ステップとしてキャリアカウンセリング、というものを受けてみたので、経緯と、その感想です。
きっかけ
きっかけは、多くの人が変化に直面したであろうコロナ禍でした。
当時コロナ渦中に転勤が決まったものの、物理的な移動ができず、業務の異動だけは予定通り進められたために、リモートでの業務となりました。
海外勤務中でなんとロックダウンでろくに外出も出来ないベトナムの地で、行ったことも無いシンガポールの、見たことも無い建設プロジェクト担当になりました。業務は会ったことも無い海外の人たちと、もちろん英語で。
会社の配慮で、一応はリモートで出来る(出来そうな)業務ではあったのと、前任者の先輩が手厚くサポートしてくれた事で何とかなりましたが、「現場行ってなんぼ」の建設業でこの業務、自分は一体何の役に立ってんだろうという思いが膨らみました。
最近よく聞く、自己肯定感が低い、エンゲージメントが低いっていうやつに、私もなったわけです。
それもこれも自分が考えもせず二つ返事で受けたのが悪い。
会社のせいにしてしまうのは簡単です。
でもこれは、盲目的に、流されるままに動いた結果が招いた苦労だったとも言えます。
そんな体たらくで、ふと、今後のあり方とちゃんと向き合おうと思ったわけです。自分はこのスタンスのままでよいのだろうかと。どう自分の性格と仕事の折り合いをつけていこうかと。
キャリアカウンセリングを選んだ理由
そんなことから、今後のキャリア形成、はては人生設計とも言える事について考えだしたものの、一向にイメージが沸かず悶々としていました。
10年間流されるままに動いていて、会社も滅多なことでは潰れない安心感があったし、完全に会社の決定に身を任せていました。
およそキャリアというものに対しては、思考停止していました。
別に、それが絶対に悪いとも思えません。食っていけるならそれも一つの正解だと思います。それだけの安定性があるという事は、世間からしても大変に恵まれていることで、むざむざ捨てることでもありません。
(余談ですが、転職決定の後、上の方々とちょくちょくお話させて頂きましたが、割と多くの方が「俺はそんなこと考える余裕もなくがむしゃらにやってきた」と仰います。きっと、こんなキャリアパスなんて考えて、選んで、というのができるのは環境が恵まれているからだ、という意味なのかなと思いますが、これも時代の流れというものでしょうか。。。)
でも、幸か不幸か、私の場合それでは納得出来ませんでした。流されれば先のように会社に振り回されて苦労に直面する事もあるでしょう。そんな状態で、がむしゃらになんて出来る気がしなかった。
何より、会社の安定性は信じられても、
「そこでずっと(上手いこと)やっていける自分」
というビジョンが信じられませんでした。どの選択肢を考えても「どこかで潰れてしまう」という予感や不安がありました。それもあって、キャリアパスのイメージが全然描けなくなってしまっていました。
かと言って、その時は転職も別に考えていませんでした。選択肢として持ってはいましたが、「やりたいことも無いのにネガティブな理由で転職はしない」と入社時から心に決めていました。「逃げ」だけの転職はしたくないと思っていたからです。(ただ心を病むくらいならいっそちゃんと逃げたほうがいいとも思ってはいた)。
それで結局、どうしようかと思いました。
会社に相談しても、職種で行く先は限らてくるし、希望が叶う保証もないし、確実に行く根回しも転職よりむしろ大変そうだし、そもそもどの行き先もピンと来なくなっていました。
かといって、転職エージェントに話せば転職ありきの話になってしまうだろうと思いました。
そういった思考の結果、バイアスのない所に相談したいと思い、行き着いたのがキャリアカウンセリングだったということになります。
転職サービスと紐づいていない分、料金は多かれ少なかれ発生します。
ただフラットに相談するなら最適ではないかと思い、いくつかあるうちの一つに申し込みました。
やったこと
前フリが長くなりましたが、端的に言えば以下の事をやったに尽きます。
・過去の棚卸し
・現状の整理
・将来の展望
・自身の長所と短所の整理
言ってしまえば、就活生がよくやる自己分析みたいなものです。
ただ、一人でウンウン唸っていた時はほとんど将来の展望しか考えてなかったし考えも浅かったので、聞いてくれる人がいる中でやる、という点がカウンセリングたる意義かと思います。
パーソナルトレーナーのついたスポーツジムのようなもんです。
自宅で自重トレでもムキムキな人は居るでしょうが、自分一人じゃ上手くできないので、人に見てもらう。
実際は、世間に出回っている自己分析ツールなり本なりサイトなりを利用すれば出来ない事もなく、やった内容はそれらとも似通っていたように思います。
過去の良い体験、悪い体験を噛み砕いて、深掘りして
→考え方や感じ方の癖、得意不得意を洗い出し
→今置かれている状況を整理して、課題を洗い出し
→将来は何を大事にしたいか、どんなロードマップを描いていくか
→それに向けて直近では具体的にどんなアクションをまず起こすか。
そういう感じの流れです。
受けてみた感想
そういう感じ。ですが、受けてみて、受ける側もいくつかの心構えが必要だと感じました。
料金を払うので、ちゃんとやらないともったいない気持ちになる。逆に言えばちゃんとやるモチベーションでありプレッシャーでもあります。
しかし料金を払ったからと言って、明確な答えがカウンセラーからもらえるわけではないです。過度な期待は禁物、というのが正直な感想です。
(考えれば当然とも言えますが、「あなたはこの道を歩むべし」とかカウンセリング側がハッキリと他人の未来を指し示すなら、それはもはや神様か教祖様です。カウンセリングというより、宗教でしょう。。。)
正直なところ、最初は私も、目からウロコのアドバイスで霧がパーっと晴れるように未来が見える事を期待していました。
でも結局、自分で答えを出そうという気概がなければ無駄足になる可能性が高いと分かりました。
でもあくまで自分の人生なので、少ししか会ったことのない他者に決めてもらうものでもないよな、と後になって(ようやく)気づきました。
それも分かった上で、分析の助言が欲しいとか、とにかく話を聞いて欲しいとか思える人には適しているのではないかと思います。
私の場合も、結論は自分で見つけて、自分で納得しました。「人は一人で勝手に助かるだけ」という事なのでしょう。
でも決して無駄だったとは思っていません。結論は自分で出しますが、一人では出来なかったことだとも思うからです。
ただ、そもそもメンターとなる人が居るなら、それが一番なのかもしれないです。お金もかからないし、理解もあるし。
さいごに
今回のキャリアカウンセリングでは幾分お金をかけましたが、その場では、かけただけのペイがあったかというと、それはなんとも言えません。
でも、それが今後のキャリア形成に影響してきて、長い目で見て収入が増えるとか、暮らしが充実したとかなれば、費用対効果は十分すぎるくらいなんだと思います。
というよりむしろ、ペイできた!と思えるように自分で頑張らなければならない、という気概が大事なのかもしれません。
キャリアカウンセリングの本領発揮は、受けた後にあります。
決して、その場で納得して終わらせてはいけないものだと思います。