スポーツバー物語⑥ースポーツバーから見たサッカーW杯(大会前)ー
今回は、スポーツバー4大スポーツの代表格、「サッカー」!
「日韓共催サッカーW杯」、大会前の様子をお伝えします。
関西スポーツバー協会の発足
2002年初春、あれはまだ大会数ヶ月前のことです。
お店に日韓W杯についての問い合わせや、大会スポンサーの飲料業者から、W杯にちなんだキャンペーンの売り込み電話が、頻繁に入るようになりました。
こちらは、まだ「心の準備」ができていません。
今思えば、その段階では、まさかあんな社会現象になるとは夢にも思っていなかったからだと思います。
実は当時、「スポーツバー」と言われるスポーツを専門に放映するお店は大阪に4軒、神戸に1軒しかありませんでした。
(なぜかW杯直前にわくように増えましたが)
そこで、この5軒の店長が集まり〝関西スポーツバー協会〟を設立。
サッカーW杯においての情報交換と、協力協定を結ぶことになりました。
主な内容は
・TV放映権は、W杯実行委員会と交渉(肖像権問題)
・HP全店舗のバナーを貼り、お互いを宣伝する
・特定店舗に不利益が出ないよう価格を合わせる
・フーリガン(暴徒と化す可能性がある客)対策
などです。
新参者であった私にとって、このコミュニティーは非常に心強い仲間となってくれました。
なぜなら、ほとんどのお店がサッカー中心であったので、サッカーファンの特徴や盛り上がりの様子などを細かく教えてくれたからです。
そんな時、このコミュニティーに最高の風が吹きました。
W杯組織委員会から「どんどん宣伝して、どんどん人を集めてください」と連絡が来たのです。
各店、がぜんモチベーションが上がりました!
◯HK全国ニュースの影響力
さらに大会が迫ってくると、ニュースの取材依頼が入るようになりました。
ほぼ全局きました。
某◯HKは、W杯に備えて「店内を飾り付けているところを撮りたい」と、開店前の明るい時間から大部隊でやってきました。
店内を世界の国旗で飾り付けているところをわざとらしく撮影して、「W杯を前にお気持ちは?」などとインタビューされました。
その様子は、その日の夕方のニュースで全国に放送されました。
驚いたことに、高校以来会っていない、正直あまり交流のなかった同級生から「ニュース見たよ!」と連絡がありました。
(◯HKの影響力すげえ!)と思いました。
いよいよ時はきた!
こうして、日韓ワールドカップの準備は整いました。
もちろん!大会中は予約でパンパン!
日本戦がある日は、警察の指導により、消防法ギリギリまで、全席立ち見で詰めこむことにしました。
入場料は、スポーツバー協会統一料金のワンドリンク制。(かなり良心的な値段です)
ニュースでは朝から晩まで、日本代表の一挙手一投足が報道され、街には代表レプリカユニフォームを着た観衆が溢れました。
あれほど規制されていた放映権問題も、今やどこ吹く風で、居酒屋、レストラン、駅の待合室、家電売り場、ホテルのカフェからカラオケボックスまでW杯一色!
日本中のありとあらゆるテレビモニターは、サムライブルーを映し出していました。
世界中がサッカーで染まったように思えました。
この時はまだ〝希望〟しかなく、まさか〝あんなこと〟が待ち受けているとは、誰も予想できませんでした。
今回はここまでです。
次回は、いよいよ日韓W杯の開幕です。そこには、サッカーの凄さだけではなく、「スポーツの可能性」がありました。その様子をお伝えしようと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました。また、次回もお願いします。
※トップの写真はW杯日本戦にご来店された4人組〝GOALs〟です。どこからきたのか、お名前も知りませんが、「写真撮って!」と向こうからやってきてくれました。日韓W杯を象徴する写真の1枚として気に入っています。