中村 佳太|エッセイスト,コーヒー焙煎家

資本主義/ジェンダー/科学リテラシーについて執筆。コーヒー焙煎家→大山崎 COFFEE…

中村 佳太|エッセイスト,コーヒー焙煎家

資本主義/ジェンダー/科学リテラシーについて執筆。コーヒー焙煎家→大山崎 COFFEE ROASTERS。ニュースレター→ http://keitanakamura.substack.com | サイト→ http://keitanakamura.mystrikingly.com

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最近の記事

noteを休止して、Substackでのエッセイ配信をはじめます

タイトルの通り、noteを一旦休止してSubstackでのニュースレター配信(メール配信)の形でエッセイを書いていくことにしました。(noteから完全移行するか、並行利用するかはおいおい考えたいと思います) 初回のエッセイを明日2月1日(月)に配信予定ですので、noteの文章を読んでくださった方で、これからも僕のエッセイを読んでやってもいいよ、と思ってくださる方はぜひ登録をお願いします。詳細と登録は↓↓から。 なぜnoteからSubstack(ニュースレター配信プラットフ

    • エッセンシャルでない仕事がエッセンシャルな世界で

      「エッセンシャルワーカーにもっと高い賃金を!」という主張が大きな共感を呼んでいる。 未知の新型ウイルスの危険が迫る中でも社会機能を維持するために必死に働く人々の姿を目にする中で、これまで見過ごされてきた「本当に必要な仕事」の価値が見直された結果なのだろう。 僕はこの主張に完全に同意する。今すぐに医療や介護、町の清掃、インフラの管理など、「エッセンシャルな」仕事をする人々に貨幣が行き渡るようにするべきだ。 ◆ と同時に、「『エッセンシャルでない仕事』とは何だろう?」との

      • 男性の僕がフェミニズムTweetをしたらバズったので反応をまとめて分析し反論もします

        フェミニズムTweetをしたらバズった 先日ツイッターにフェミニズム的なツイートをしたら、たくさん拡散されました。いわゆる「バズる」という現象だと思います。バズったのはこちらのツイートです、少し長いです。

        • 大学教育は「買い物」か?

          新型コロナウイルスの影響で大学でも休校やオンライン授業化といった対応が行われている。それに伴って一部の学生(や保護者)から次のような声が上がっているそうだ。 通常の授業が受けられなかったり、キャンパスを使用できないのだから、その分のお金を返してほしい この主張、気持ちはとても理解できるのだけれど、僕にはどうにも釈然としない思いがあった。「返金」ってなんだか買い物みたいで、大学という高等教育にはなじまない、という感覚だ。 「教育の等価交換」意識への違和感そんな中、この問題

        noteを休止して、Substackでのエッセイ配信をはじめます

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        • ポスト資本主義研究室
          12本
        • 観光を考える
          3本

        記事

          新型コロナでお店を休業すべきかどうかについてひたすら考えたことを書きます

          新型コロナウイルスの感染が拡大する中、僕はここ数日の間ずっとひとつの問いについて考え続けていた。 その問いとは、「お店を開け続けるべきか、一時的に休業すべきか」だ。これはいま店舗を経営している多くの事業主や経営者が共通して抱えている悩みだろう。 実際、ここ数日間で京都の知り合いのお店でも臨時休業の発表を多く目にした。その投稿文には切実な言葉が並んでいて、断腸の想いが伝わってくる。一方で営業を続ける決断をした経営者たちの言葉には、自身やお客さんへの感染拡大の不安が滲んでいる

          新型コロナでお店を休業すべきかどうかについてひたすら考えたことを書きます

          2020年の顔認証と1974年の自動車

          先日配信された『Lobsterr Letter vol.52』で岡橋惇さん(Twitter: @AOkahashi)が書いていたことと、僕がいま読んでいる本で紹介されていた経済学者・宇沢弘文の言葉が、時代を超えて共鳴していた。そのことについて少し考察しておこうと思う。 岡橋さんは、保育施設で広がっている顔認証システムから監視資本主義社会へと話を展開しつつ、次のように書いている。 保護者たちは気に入った写真があれば有料で購入できるようになっている。このアプリには画像認証技術

          「生物なんだから子どもは産むべきだ」の声に潰されないために

          生物なんだから子どもは産むべき? 心に響くnoteを読んだ。 子どもを産むべきかどうかを思い悩む気持ちが切実に、リアルに伝わってくる文章だった。ひとりの人間として、社会に生きる人間として、生物である人間として、多面的で複雑な感情と思考が綴られている。 この問いはとても深く、重い。当然、答えを出すことはとてつもなく難しい。ただ、僕はこのnoteを読んでひとつだけ大きな声で言いたくなったことがある。それはこの部分に関してだ。 ヒトという種の保存のためには、結婚とかはどうでも

          「生物なんだから子どもは産むべきだ」の声に潰されないために

          「個人がつくる新しい経済圏」に飛び込んで泥沼にはまらないために必要なこと

          「新しい働き方」が生む希望と失望「働き方改革」や「副業・複業・兼業」、「シェアリングエコノミー」といったバズワードとともに、「個人がつくる新しい経済圏」という概念が広がっている。 エアビーにメルカリにウーバーイーツ、様々なクラウドファンディングなどを活用することで、企業に縛られず、個人が自由に稼いだり、資金を得たりできるようになった。このことは、企業を中心としたこれまでの経済圏とは別に、個人を中心とした新たな経済圏が生まれつつあることを意味していて、人々がそこに大きな希望を

          「個人がつくる新しい経済圏」に飛び込んで泥沼にはまらないために必要なこと

          「消費者」という幻想

          先日、代官山蔦屋書店で開催されたこちらのトークイベントに登壇しました。 雑誌『STANDART』日本版に僕が寄稿した2つのエッセイ「人工知能の時代にコーヒー焙煎家は必要か?」「京都が未来である理由—ポスト資本主義への道標」をメイントピックに、室本寿和さん(『STANDART』日本版ディレクター)と岡橋惇さん(『Lobsterr』共同創始者・編集者)とトークしました。 オープンディカッションという形を取り、来場者のみなさんにも積極的に参加していただいた結果、議論は大変に盛り

          京都カルチャーとポスト資本主義

          雑誌『Standart Japan』の最新号(Issue 10)にエッセイを寄稿しました。 タイトルは『京都が未来である理由ーポスト資本主義への道標』。 このエッセイを書いたきっかけについて、少しだけ書いておこうと思います。 ◇ 京都には独特なカルチャーがあります。 たとえば、「一見さんお断り」はその象徴でしょう。 常連のお客さんなどからの紹介がない人は入店をお断りするというものです。 イメージするほどそんなに「一見さんお断り」の店が存在するかは疑問ですが、京都に

          京都カルチャーとポスト資本主義

          「あなたのお店は入りにくい」

          先日、「五条喫茶室 -コーヒーショップから考えるコミュニティ論-」というイベントに参加してきた。コーヒーショップやコワーキングスペースの運営、そして学者の立場から三者三様の話が聞けて、とても楽しく有意義な時間だった。 イベントの終盤で参加者から「知らない町のカフェなどは、なんとなく入りにくい」という声があり、それに返答する形で登壇者の小松尚さん(名古屋大学大学院環境学研究科)から「コミュニティに参加したい人がカフェにやってくるようにするためには、建築的に入りやすいデザインに

          「あなたのお店は入りにくい」

          『人工知能の時代にコーヒー焙煎家は必要か?』について

          コーヒーカルチャー誌『Standart Japan - Issue 9』にエッセイを寄稿しました。 タイトルは、『人工知能の時代にコーヒー焙煎家は必要か?』。 デジタル化の流れの中で、コーヒー焙煎の世界にもプロファイル主義(温度などの各種データによる焙煎レシピを重視する立場)が目立つようになってきて、それはそのまま自動焙煎機・スマート焙煎機が多用される流れにつながっているように思います。 家庭用の焙煎機も進化して、アプリ経由で「プロの焙煎家のプロファイルを再現できる」と

          『人工知能の時代にコーヒー焙煎家は必要か?』について

          「エコである」ことについて

          『エコ(エコロジー)』って難しい。本当に難しい。  ここのところそんなことをよく考えるので、考えたことを書いておこうと思う。 ◇◇◇ 先日、コーヒーカルチャーマガジン『STANDART』の開催したトークイベントに参加してきた。 トークのテーマは“コーヒーのアップサイクル”。コーヒーを淹れたあとに残るカス(出がらし)を有機肥料に転換する活動を行っている『manu coffee』(福岡)の福田雅守さんと『STANDART』編集長・室本寿和さんによる対談だった。 日々コー

          君が芸術家である理由

          芸術について考えたい。 地球惑星科学科を出て、その後ビジネスの世界に入った僕は、芸術には人並み以下にしか、いや、全くと言っていいほど触れてこなかった。それはもはや「別の世界の存在」だった。 でも、結婚相手がかつて芸術論を学んでいたこと、その後京都に来てコーヒー焙煎家になって様々な職業の人と知り合うようになると、その中に少なからず「芸術家」と呼ばれる人たちがいたことで少しずつ芸術について意識するようになった。(ちなみに京都は芸大や美大が多く、お店をしたり、何かしら活動したり

          「体験する観光」から「関与する観光」へ

          そろそろ誰かから与えられるだけの「おもてなし」に飽きてきてないかな? 数日前、僕はこんなことを思った。 この日、僕は地域の観光振興に関するヒアリングを受けたのだけれど、その中でのことだ。 2年半ほど前から僕は、京都府の主催する僕の暮らす地域(乙訓地域)の観光について考えるワークショップに参加していて、今回のヒアリングもそれに関連したものだった。ちなみに、このワークショップに関しては過去に2つの文章をnoteに書いている。 今回のヒアリングは、いよいよ具体的な観光プログ

          「体験する観光」から「関与する観光」へ

          「僕は資本主義からできるだけ遠いところに行きたいんだ」

          思えば素朴な青年だった。 中学時代から数学が得意で、そのまま数学科を目指して大学に入ったけれど、途中から物理学とコンピュータシミュレーションの方が面白くなって地球惑星科学科で修士課程まで進んだ。 そのまま博士課程に行こうと思っていたけれど、その前に少しだけ外の世界も見てみようと思って就職活動をはじめてみたら、面白そうな人がたくさんいるし、全然知らなかった「社会の仕組み」というものに俄然興味が出てしまって、進学するのはやめてビジネスコンサルティングの会社に入った。色んな企業

          「僕は資本主義からできるだけ遠いところに行きたいんだ」