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ノンデザイナーがデザイン組織にJoinしたら驚きと学びだらけだった話

Money Forward Design Advent Calendar 2024、いよいよ20日目です☃️


はじめに

みなさんこんにちは!マネーフォワード デザイン戦略室でHRBPを担当している田中です。
タイトルからお察しのとおり、私は生粋の(?)ノンデザイナー。2016年に代表辻の秘書としてマネーフォワードに入社後4年ほど秘書業務に従事した後、新卒採用部を経て昨年の6月からデザイナーの横断組織であるデザイン戦略室にHRBP(Human Resource Business Partner)として異動してきました。
今日は、そんなノンデザイナーである私が、デザイン組織にジョインして感じたカルチャーショックと、そこから得た学びを元に「デザイナーの仕事の進め方をマネすると起きる3つのいいこと」についてお話ししたいと思います。

こんな人におすすめ
■新しい施策やチャレンジを進めたいけれど、その進め方に迷っているビジネス職の方
■他の職種から自分たちってどう見えているんだろう?が気になるデザイナー職の方

デザイン組織で感じたカルチャーショック

昨年6月に人事組織からデザイン組織に異動しました。それまでのデザイナーとの関わりは、新卒デザイナー採用における面接官と採用担当としてのみ。彼らが普段どんな仕事の進め方をしているかなんて知る由もありませんでした。ところが、異動してくると最初は驚きの連続。その印象的なエピソードを紹介します。

カルチャーショック① ミーティングで…、決まらない?!

私がデザイン戦略室にジョインして間もなかった頃。各組織のデザインマネージャーと、私の元上司であり当時DPM(Design Program Manager)を担当していたIさんとのミーティングの場でした。その日は、Iさんからデザインマネージャーのみなさんにデザイナーの英語学習の方針やルールについて相談する時間がありました。Iさんが準備してきた資料を共有し、「こういう方針でどうだろう」と問いかけます。すると、周囲のデザインマネージャーから「これはそもそも定義が曖昧では?」「もっとこうしたほうがいいのでは?」などの質問や意見が飛び交います。それにひとつひとつ丁寧にコメントをしたIさんは最後にしょんぼりした顔をして(というふうに当時の私には見えた)「わかりました。一度持ち帰ります」と。そしてそのミーティングはそのまま終わってしまいました。

私「え…、ミーティング中になにも決まらなかったぞ…?なんだかみんな意見を発散するばかりでぜんぜん収束するように見えないし、このままでは次回も全然決まる予感がしない。しかもなんだか雰囲気悪い…?(というふうに当時の私には見えた)一体、このアジェンダはこの先どうなってしまうんだろう…?」そんな不安が頭をよぎりました。

カルチャーショック② と思ったら次のミーティングで一瞬で決まる

翌週、また同じミーティングがありました。私は「またあの雰囲気になるのかな…?」とドキドキしながら出席します。
そこでIさんが「デザイナーの英語学習の件ですが、先週のディスカッションを受けて◯◯の方針でいきたいと思います」と告げると、デザインマネージャーたちは「OKです!」と一言。

え…????????先週あんなに喧々諤々の雰囲気だったのに、拍子抜けするくらいあっさりと決まってしまいました。
「一体全体先週の雰囲気はなんだったんだろう…?」不思議でいっぱいになりました。

カルチャーショック③ なんでも付箋にする

別の日。とあるミーティングにインバイトされた私は、参加者のデザイナーが議事録をMiroで取っているのを見て驚きました。

私「普段みんなが情報整理やワークショップにMiroを使っているのは知っていたけれど、ミーティングメモも付箋にするんだ…?このくらいの分量のメモであればなんとなく、普通のドキュメントに残すほうが楽そうだけどな…?」今思うと本当に失礼な話なんですが(ごめん!)、そんなことを考えていました。

とあるミーティングのメモ

ノンデザイナーがデザイナーの仕事の進め方をマネすると起きる3つのいいこと

そんなわけで異動当初は数々のカルチャーショックを感じていた私ですが、今ならわかります。なぜ彼らがそうしていたのかが。ここからはその背景と、私たちのようなノンデザイナーがそのやり方を取り入れると起きるいいことについてお話しします。

いいこと① 「進め方がわからない」が激減する

デザイナーは、早い段階でたたきを共有する

ビジネス職のメンバーは、ある程度方向性が見えたり、骨子を作ってからミーティングの場で「意思決定」しようとしがちです。少なくとも私自身はそうで、体感として6〜7割の完成度まで作り込んでから共有し、Go or Not Goを決定することが多くありました。しかし、このやり方では「やりたいけれども自分では6〜7割まで持っていけない、進め方がわからないもの」に対して、どうすることもできません。「どうしたらいいんだろう…」と途方に暮れたまま、時間が過ぎていくのをただ眺めることになってしまいます。

一方で、デザイナーの方々は、これも体感ですが、3割、場合によっては1割程度の状態でまず共有します。
1割がどのくらいかと言うと、
「〇〇というゴールを達成するにあたって、〇〇という課題があります。これを解決するためにこういう施策を検討しています」
このくらい。とってもラフです。

ここで確認するべきことは、以下です。

  • 方向性のすり合わせ: このアイディアの方向性が良さそうか否か

 方向性が違っているのであればやり直せばいいですし、良ければ進めていけばいいわけですね。

そして方向性が良ければ、次は3割くらいの状態で再度共有します。
3割がどのくらいかと言うと、
「〇〇という課題を解決するためのアプローチについてですが、Aパターン/Bパターン/Cパターンのプロコンを検討中です。他に検討すべき事項がありそうか、みなさんのご意見をください。」
このくらい。まだ(少なくとも過去の私の提案の粒度からすると)ラフ。

ここで確認するべきことは、以下です。

  • 観点の洗い出し: もっと良くする方法や改善できるポイントがあるか、懸念点があるか

周囲からの意見をもらいながら、自分では考慮しきれていない点を洗い出すことができます。

私はこの観点の洗い出しのタイミングで周囲からの意見をもらうことで新たなアイディアが生まれ、「あ、じゃあ次はここまで進めてみよう」となることがしばしばありました。
実際に「ここまで進めて」みると、気がついたときにはこれまでの自分だったら6〜7割まで持っていけなかったような事柄が形になり、「じゃあもっとよくしてみよう」「ここを工夫してみよう」となっていくのです。

6割〜7割作り込むことができれば、あとはこれまでと同様「意思決定」のフェーズに入っていきます。ここまでの過程で大筋や考慮点について合意ができているので、「じゃあこれでいきましょう」となるわけです。

あの何も決まらなかった(というふうに当時の私には見えた)ミーティングはまさに「観点の洗い出し」の場であり(雰囲気が悪かったわけではなかった(笑))、Iさんはそこでもらった意見を元に6〜7割の作り込みをした。そこですでに擦り合っているのでその後はすんなりと意思決定がされたわけですね。

いいこと② わかりやすく話せるようになる

デザイナーは、可視化する

手前味噌ですが、私は自分自身のことを「比較的論理的な人間」だと思っています(私をご存知の方の異論は認めます。(笑))新卒採用部時代の採用面接や何かアイディアを考えるとき、頭の中で聞きたいことや考えたいことを図式化しながら整理するクセがありました。
でも、「誰かに何かを説明する」段になると、うまくいくときとうまくいかないときがある。「会社のMission/Vision/Values/Cultureを説明します!」だったら流暢に話せるけれど、「今考えている企画の共有」はうまくいかない。

でも最近、ふと気が付きました。「あれ?これまでは何度かラリーをしないと伝わりづらかったような内容が、すんなりと伝わることが増えてない?」

その理由のひとつが「付箋」にあります。
「普通のドキュメントに残すほうが楽そうだけどな…?」と思ったあのミーティングはその後数回に渡って実施され、そのたびにデザイナーは同じボードにまた付箋を貼っていきました。
ドキュメントでなく付箋を使うと、

  • そのアイディアに至った背景

  • アイディアに至るまでの思考の経緯

  • そこから更に発散させていくときの思考の変遷

を可視化することができます。可視化することができると、他者と共有することができる
これは、1割の段階でアイディアを共有するのにも大変役立ちますし、誰かのフィードバックをもらったり、新たなアイディアを得るときにもものすごく有効です。

そして何より、この思考の変遷をサマって説明すると、めちゃくちゃわかりやすく話ができるようになる!これは本当に驚きの変化です。

とあるミーティングのメモのその後。どんどん思考の変遷が記されていく

いいこと③ 「自分もデザインしている!」という気持ちになれてテンションが上がる

これは完全にオマケの理由ですが(笑)。
「あなたはデザインをしていますね!」と言われたら、嬉しくないですか?私は嬉しいです(笑)。

デザイン組織に異動してきてから「ケイさん(私のファーストネームです)は、組織をデザインしてるね!」と言っていただくことが何度もありました。「DSAH」というイベントを企画した際に参加者の体験を考えているという話をしたら「それはまさに、UXデザインですね!」とか。

みなさんが普段何気なくしている仕事も「これは、誰の、どんな体験をデザインする仕事なんだろう?」と考えてみると、少し違った角度からご自身の仕事を捉えることができるかもしれません。

デザイン組織にジョインしたら、最初は驚くことばかりだったけど、学びがいっぱいだった!

ノンデザイナーである私がデザイン組織にジョインして感じたカルチャーショックと、そこから得た気づきを元に「デザイナーの仕事の進め方をマネすると起きる3つのいいこと」についてご紹介してきましたが、いかがでしたか?

私自身は、デザイン組織にジョインしてこれまでとは違う仕事の進め方を知ることで、「できること」の幅が大きく広がったように感じています。今では相談に来てくださるデザイナーのメンバーに「悩みに悩んでから相談しに来たらそれまでが辛いから。悩みも叩きの段階で共有していいんだよ!」とか言っている始末です(笑)。

これは私がデザイン組織にジョインしたからこそ得ることのできた学びですが、エンジニア組織とかに行ってみたらまた全然違った学びを得ることができるんだろうな(もちろんまだまだデザイン組織にいさせていただきたいのですが(笑))。

というわけで最後にこのnoteのサマリを付箋で可視化して終えたいと思います(笑)

デザイン組織にジョインしたら、最初は驚くことばかりだったけど、学びがいっぱいだった!

Money Forward Design Advent Calendar 2024、21日目は坂上さんです!お楽しみに!


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