心と体を健康に保つために
年々重要視される「心身の健康」。40歳以降、優秀な会社員が成功できない理由の一つが健康問題とされる。
「心の健康」と「体の健康」は正反対
「体の健康」は、熱がない、痛くないなど、不足した状態を嫌う。また、中性脂肪が高くないなど、過剰の状態を避ける。
人間は恒温動物(外気温が変化しても体温を一定に保つことができる動物)で、暑すぎず寒すぎず、過不足のない快適な状態を維持することが「体の健康」の秘訣なのだ。
一方で、「心の健康」は新しいことを感じ続け、常に変化することが維持の秘訣だ。スマホゲームなどでは3-4回に1回程度の成功率が最もはまりやすいとされており、人間は想定外の新しいことが起きるランダムフィードバックによって楽しみを感じやすい。
ちなみに、心が喜ぶセロトニンやドーパミンといった脳内物質も、環境変化によって得られ、脳科学の観点からも「心の健康」には変化が大切であるといえる。
板挟みの体。弱点が悲鳴をあげる
必要以上のストレスを抱えて心が不健康になると、「体の健康」にも悪影響を与える。大事な会議の前におなかが痛くなるといったことだ。また、季節の変わり目で急に暑くなる・寒くなると体調を崩しやすい。
体は常に状態を維持したいのに、変化する外部環境と常に変化を求める心に挟まれ、内外で起こり続ける変化に対応しなければならない。
寒くてのどが痛い、ストレスでおなかを壊す。誰しも弱点があり、体が変化に耐えきれなくなると、弱点に症状が現れやすい。
「疲れないマインドセット」で
それでは「心身の健康」を維持するためにはどうすればいいのか?
答えは「疲れないマインドセット」を持つことである。
「疲れないマインドセット」とは、今日の目標を作り、最小限の疲れで行いつつリカバリータイムを設けるということだ。
筋肉と神経の使い過ぎや不具合によって「疲労」は発生し、体の機能に障害が発生する。疲労という負債をため込みすぎると、いつか破産することになり、それを世間ではバーンアウト(燃え尽き症候群)と呼ぶ。
バーンアウト予防にむけ、疲れをため込まないためには、何が大事なのか?それは「睡眠・運動・空腹」である。
良い睡眠に向け、自分の眠気を誘ってみよう
「睡眠」については、暗い・静かといった環境を整えたり、深酒をしない、寝る直前にスマホを見ないといった心がけが大事だ。ただ、ここでは気持ちよく寝るために、いかに自分の眠気を誘うかに注目したい。
人間は体の深部体温(内)と皮膚温度(外)の差が縮まれば眠たくなる。冬の寒い時、歩いて体の深部が温まった後に、暖かい電車で座るとウトウトしてしまった経験は一度は誰しもあるだろう。
この性質を利用して、寝る1-2時時間前にお風呂に入って体の芯まで温めるようにする。
そうすると一時は深部体温(40℃)が皮膚温度(=外気温)より高くなり、次第に深部体温が下がってくる。ここで布団に潜り込めば、今度は皮膚温度が36℃に近づくことで、眠たくなってくるのである。
運動をすることで、ストレス耐性アップ
「運動」も重要である。体の健康にとってはもちろん、最近の脳科学の研究によると、運動によって心拍数や血圧が上昇し、肉体に負荷(ストレス)がかかると、脳から自動的にエンドルフィンやドーパミンが放出されるということが分かっている。
定期的に運動をするようになることで、体のストレス耐性が高まり、運動以外でストレスを抱えたとしても、ストレスを感じにくくなるという効果もあるらしい。
空腹こそ最強のクスリ
青木厚さんに同タイトルの著書によると、「空腹」の時間を作ることで、胃腸や肝臓を休ませる、脂肪を減らせる、血液の状態を改善させる、といった効果があるそうだ。
人間の細胞内にはミトコンドリアという器官があり、細胞の活動に必要なエネルギーを作り出している。ミトコンドリアは古くなると働きが悪くなるので、新しく生まれ変わることで、人間の細胞は元気に働けるようになる。
空腹の時間を使って肝臓の糖分がゼロになる(食後10時間後が目安)と、脂肪の分解が始まる。そこから6時間ぐらい経過すると、「オートファジー」が始まり、ミトコンドリアを含む、細胞内の古いたんぱく質が作り替えられる。
続けることで人生をより豊かなものに
こうした毎日を続けることで、想定していた以上の速さとクオリティで目標に到達させてくれる。これが「疲れないマインドセット」の効果だ。
心と体の健康は自分で作っていくものであり、そうした丁寧な生活は、きっと人生をより豊かなものに導いてくれる。
失って気づいてからでも遅くはないが、この丁寧な生活を積み上げていく喜びを知らずに生きていくことはもったいない。