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やりたい企画は新海誠でも3回かかる〜情シス目線のプロジェクトマネージメントTips#14

世の中にプロジェクトマネジメントに関するコンテンツは非常にたくさんあるのですが、よく見てみるとどうしてもSIer目線のものが多いように思えます。SIer目線の場合だと、どうしても利害が一致しないせいか事業会社というか情報システム部門目線から見るとピンとこないものも多く、ちょっと腹落ちしないことが多くあります。
というわけで無いなら作ろうということで「情シス目線のプロジェクトマネジメント」なるものを書いてみようかと思い不定期だとは思いますがシリーズ的に書いていこうと思います。

今回のテーマはせっかくなので11月11日に公開された新海誠監督の新作「すずめの戸締まり」からヒントを得た話を書きます。

11年かかった「震災テーマ」

今回の新海誠監督の最新作「すすめの戸締まり」は震災がテーマになっていいるということで話題になっています。今までの「君の名は。」「天気の子」という作品も「災害」がストーリーの舞台として描かれていましたが、落下する彗星にせよ、雨が降り続ける異常気象にせよ、それらはあくまで「架空の災害」でした。
しかし今回の「すずめの戸締まり」ははっきりとは明言されてはいませんが明らかに東日本大震災とその12年後が描かれています。

そのため論評では「震災描写に賛否」とか「問題作」とかいろいろと話題になっています。

新海誠監督はこれらメジャー作品三作を「災害」をテーマにすると公言していたそうです。他の話では最初から作りたいのは東日本大震災の話だったなどとも言われています。しかしながら、世のたくさんある評論を見ていると「君の名は。」が公開された2016年の時点ではまだ世の中の震災に対するショックが癒えていないから、その当時はそういったテーマの作品を作ることはできず、今回ついに11年の時を経たので本作でついにこのテーマに挑むことができた・・・・という話が多くされています。

3作かかった「震災テーマ」

確かにそういった視点もあるのですが、それよりも大きい壁が有ったはずです。
それはこのテーマを扱うのには3回・・・・前作に2作必要だったというのが大きいと思います。しかも興行的に成功した2作が必要であるということです。

なぜなら「君の名は。」の制作に入った時点での新海誠監督は「いい作品は作るらしいけど商業的にはなんの実績もないアニメ監督」でしかないからです。

日本の保守的な映画供給会社とか製作委員会に参加したスポンサー企業というのは「問題作」を嫌います。とんがっていない、万人受けする、無難なものを求めます。なんかざわざわするのは嫌います。
「勝つこと」よりも「負けないこと」を最も大事にします。

世の中の大企業なんてそんなもんですし、そうでなくても自社の名前を使用した作品が「変なこと」で話題になってしまうことは会社の広報としては絶対に避けたいことだというのは容易に想像できるでしょう。

次の「天気の子」の制作時期だってアニメを知らないスポンサー企業の重役たちから見れば新海誠監督の評価は「一発屋かも?」「ぽっと出の監督」程度でしかないのです。

とんがった企画でも考えようものなら

「困るよー君ィ」
「誤解を招くようなことしないでくれたまえ」

みたいな感じの事を言い出すのです。

記録的な大ヒットになった「君の名は。」と大ヒットの「天気の子」という実績があるから、今回になって初めて新海誠監督はそんなスポンサーや配給会社に自分の我を通すことができるようになったのです。

今回、超問題になったところでそれは「新海誠監督」であることのほうが注目されるし、スポンサーの名前も出ないのである。

それよりも「大ヒットを出した実績があるのだから口を出さない」という暗黙のルールが配給会社やスポンサーにも定着するのです。


新海誠監督ですら3回かかったのです。


まずは「企画」「提案」の実績を

情シスがSIerと違うことのひとつは企画を提案するチャンスが圧倒的に多いことです。SIerは営業を通してしか企画を提案できませんが、情シスの場合は毎年確実に予算確保の時期はやってくるのです。

でも企画なんて通らないですよね

特に自分がやりたい事の提案なんてそうそう通らないですよね。


大抵の人は企画を出す、お金がかかる改善提案を諦めている・・・・といった感じになっているかもしれません。

「どうせ提案しても採用されない」

そう思っている人もいるでしょう。

でも「やりたい」と思った案なんて通るはずもないのです。

少なくとも保守的な組織、保守的な上司であるならば「やりたい」案を一回で通す事は難しいでしょう

なぜならば彼らを黙らせるにはあまりにも実績がないからです。

まずは「やりたい」ことではなく無難で小さい案をコツコツ出していく。
むしろ「やらなくてはならない」ものを自ら提案した形にして「通して実施した」実績を積み上げておくことが大事なのです。

それを何回も通してからの「すずめの戸締まり」なのです。


新海誠監督ほどの才能がないならなおさら小さな実績を積み上げるしかないでしょう。

まずは小さな企画提案からこつこつと






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keita
チップもらったらきっとMidjourneyに課金すると思います