【動画レポ】DevRel JAPANカンファレンス2021トークテーマ:女性開発者のキャリアパスとしてのエバンジェリストのススメ
2021年11月13日はDevRel/Japan CONFERENCE 2021でした。ほぼ8時間ずっと参加したのですが、そのなかからいくつかのセッションについて紹介したいと思います。
動画はいまのところ各トラック毎にライブ映像が公開されているのですが、今回はトラックBから「女性開発者のキャリアパスとしてのエバンジェリストのススメ」についてのパネルディスカッションを紹介したいと思います
動画です
モデレーター
戸倉彩さん(日本IBM)
パネラー
ちょまどさん(Microsoft)
よこなさん(JFrog)
水田千惠さん(Yahoo)
エバンジェリストになったきっかけ
ちょまどさん:前職はスタートアップ企業でプログラマ、Microsoftに入るにあたってエバンジェリストという職業を知りました。
魅力を感じた理由は初心者(文系卒)のときに助けてくれたオンラインのディベロッパーコミュニティに恩返ししたいと思ったから
よこなさん:昔から何となく「先生」になりたいと思ってました。スキル適性的にIT業界(プログラマ)を選択。コミュニティの活動が楽しくて、それを仕事にできるなら嬉しいと思いました。
水田さん:元々は企画やディレクションの仕事。その中で技術系のコミュニティでエンジニアの方々とふれあいながら新しいことを知る楽しさを思い始めました。数年前にGoogleMapのアドボゲートの方と会って、自分もやってみたいと思い社内公募で立候補しました。
戸倉さん:エバンジェリストになる前に色んな体験をして、エバンジェリストとしての道を歩むというのが入りやすかったのかと思います。私はテクノロジーと創作系の橋渡しをするようなキャラクターが好きで、そんな中でMicrosoftのクラウドのキャラクターと出会ったときにキャラクターを使って技術を伝えるコミュニケーションもあると感じ、中に人になりたいと思ってそちらに入ってから、エバンジェリストにロールチェンジしました。
エバンジェリストになってよかったことや苦労話
ちょまどさん:良かったことは死ぬほどたくさんあって、やっぱロイコミュニティの人と話をするのは楽しい。同じ技術推しのオタクが集まるサークルなので話のプロトコルが一致してすごく楽しい。苦労話は皆がすごすぎて「自分ザコ」という劣等感で潰れそうになったことです。
戸倉さん:エバンジェリストも一人のエンジニアなので、期待値が高くて困ることがありますよね。期待値コントロールはなにかされていますか?
ちょまどさん:「ワタシ今勉強中でーす」とTwitterに書きます
よこなさん:「できない」「わからない」はワタシも言います。
水田さん:複数のエバンジェリストが居るのでチームで解決するというところはありました。
戸倉さん:エバンジェリストは「ピン芸人」的な見られ方する時がありますよね
よこなさん:共通の言語があることによって普通に生きてたら知り合わないであろう人達と国境を超えて知り合えること。アメリカで数百人の前で「空手の師匠」の役をやったことがあったりましたが、今ではいい経験となっています。
苦労話は話している内容がちょっと現場の気持ちを忘れて現実離れをしてないかと悩んだり、単純に何回登壇しても緊張してしまうという苦労はあります。
一同:未だに緊張します
戸倉さん:緊張するのは準備不足の時には不安を抱えながら登壇するときがあります。すべてを知っているわけでないので特定の分野を持ったセッションをやるのと、今は「すべてをその場で答えなくてはいけない」というのもだんだんなくなってきている。むしろ質問を皆で考える「巻き込み力」を促すよう心づもりしているのがプレッシャーの軽減になっている。緊張するのは同僚や上司がセッションにいる時
ちょまどさん;上司がセッション聞いているのは絶対イヤですね。上司がアメリカ人なので起こり得ないので安心ですが。
水田さん:専門的知識を持った人に出会う機会に触れて自分の興味の幅が広がったり、業界が違っても本当は繋がっている業界の壁を超える「つながりの糸」みたいなものを発見することが良い機会だと思っています。IoTのエバンジェリストをしていたときにはどんどんセンサーとかアクションなどに興味を駆り立てられていくことはありました。苦労ではないですが、私の場合IoTエバンジェリストからスタートしたのでIoTの世界を離れた後もIoTという印象が残ってしまう事はあります。切り替えていくんが難しいです。
戸倉さん:エバンジェリストはセルフブランディングが重要ですよね。テクノロジーを「誰が勧めたか」によって印象が違ってくる中で「こういう人に言われれば納得感がある」という気持ちになってくるという面に直結するのがセルフブランディングになってくる。
ちょまどさん:期待値の話で思い出しましたが、Microsoftに入る時にエバンジェリストは若い人に「一緒に勉強しましょう」という等身大の自分でリーチできる人も必要と言われました。
質問コーナー
これからエバンジェリストを目指すにはどうしたらいいですか?
よこなさん:もし今コミュニティに触れていないんだったら、まずはコミュニティに行ってみるのが最短な気がします。
水田さん:好きな技術のコミュイティに入っていって、図語彙人にあって刺激を受け、「自分でLTしてみよう」とか、そういうアクションのきっかけにもなるのでコミュニティはおすすめしたいです。
戸倉さん:コミュニティってはじめは「どんな感じだろう」ということでオーヂェンスとして参加するのが第一歩。チャンスが有ればLTやCFP(一般セッション公募)みたいなスピーカーとして参加するというところから始めるのがいいのではないかと思います。
ちょまどさん:そもそもなぜエバンジェリストになりたいのか?理由から考えると・・・なにか好きな推し技術はあるならそこから始めれば良いし、エバンジェリストはコミュニティを盛り上げるのも大事な仕事なので・・・コミュニティは同じ技術を推す仲間なので、同じ沼に浸かる必要があるので、すでに沼に沼に使っていたほうが話が早いです。
横田さん:本当になると決めたなら求人がある割に日本にはまだ少ないので応募するのもありです。外資系の起業が多いのかも知れないですけど・・
水田さん:以前技術を開発しているエンジニアのサポートをした事があって、そのなかで他の登壇者の話を聞いて技術を開発するところだけでなくて「使ってもらうところ」にもエンジニアの発想をうまく使えるという気付きが有りました。こういうところが「エバンジェリストの芽」なので、そういった周囲の後押しも大事かなと感じました。
横田さん:コミュニティという言葉は皆さん自然に出てきましたが、コミュニティに出会えていないままの人居る中で、皆さんはどう知ったのか?コミュニティに興味ない人と一緒に参加するなったという経験とか・・・私達に見えていない人にアプローチする方法があるのかなぁとよく思うのですが、皆さんどう思います?
ちょまどさん:突然プログラマに目覚めて孤独だったのでtwitterから始めて、twitterでその話題をしている人をフォローしていったらオンラインコミュニティを知りました。
よこなさん:自分からアプローチしたタイプですね
水田さん:私の場合、最初のきっかけが「さそわれた」というところなんですが、その時に面白そうだなと思ったきっかけがtwitterなどとリンクすることがあり、一回入ると面白いなと思うのはコミュニティを立ち上げているみなさんって皆を巻き込むチカラが強いことですよね。そうして新しいコミュニティが派生して広がっていっていろんなコミュニティに繋がっていくところです。
一つに入るとどんどん広がっていくのかなぁと思います。
よこなさん:色んなパターンがあるなぁ
エバンジェリストとしてこれは絶対にやらないように気をつけていること
ちょまどさん:明確に一つあるのはディスることです
一同:同じだ
ちょまどさん:エバンジェリストは会社のイメージを背負っていると思っているのでイメージが悪くなることはしないようにしています。
水田さん:なんでもポジティブの方に変換することを意識しています。
戸倉さん:エバンジェリストは職業として活動するにあたって企業名、技術名、本名を出すので。所属先のブランディングのところとどうしても紐付いてイメージダウンに繋がるのは経験の中で感じられます。
会社によってはソーシャルガイドラインというのが出ていて、そもそもの企業の行動規範で縛りがあるケースもあるのではないかなと思います。「防げるトラブルは防ぎましょう」
横田さん:内容がディスでないときも言葉使いとか相手のことを想像して・・・という基本的なところが大事だと思います。
女性から多く寄せられる質問
ちょまどさん:私の場合は1年前に「女性エンジニアコミュニティ」を立ち上げたのですが、そこでよく聞かれて私が答えられないのが「子育てと仕事の両立」です。私も気になるので・・・・
戸倉さん:私は現在子育てしながら仕事をしているので「出来なくはないですよ」とは伝えておきたいです。
子育てしながら技術のキャッチアップをして、コミュニティに参加する時間の確保をどうマネージしていくかが大事なところです。家族の了解を得ながらというところもあるので・・・・子育て自体が試行錯誤しながらというところなので・・・その時その時で究極の選択に迫られることがありますが、私の場合は予め想定しておいて、できるものは事前に会話して子供の安全と健康を守れるかを考慮しながら動いてます。
よこなさん:IT業界はリモートワークがしやすくて子供をみやすいよという事がありますが、エバンジェリストの場合遠くに行って公演をするとか、コミュニティなので業務時間外や土日の活動など、普通のIT企業の方と比べるとあるかなと思いますが、そのへんの大変さや工夫とかがあるのですか・・・
戸倉さん:都度都度自分と相談しながら行動するというところです。
自分が何を目指してエバンジェリストをやっているかというところにも直結する話で、人生一度きりということもあり自分が納得感のある生き方を選択していこうと考えています。外から見るとわがままと見られるかも知れませんが、私はエバンジェリストという職業を通して「技術を伝えることで、世の中はもっとより良い物になる」というふうに信じているからこそ、ここに魂を込めて時間を使おうと考えています。
水田さん:子供がいなくても休みの日にでかけたり、夜遅くなることもあるので、旦那さんには「自分はどういう働き方をしているんだ」というのはきちんと理解をしてもらって、お互いの時間の使い方とかをわかりあって置かないといけないと気をつけています。時間の有限さはライフステージの変化によって感じ方が変化するのでその都度悩むところがあります。だから自分の中での目指したい姿があると立ち返られるので考えてみるのは良いと思います。
戸倉さん:「いつまでエバンジェリストやりたいですか」という質問がありますが皆さんどう思いますか?
ちょまどさん:考えてなかったです
戸倉さん:私お答えを持っているわけではないので・・・
よこなさん:もし聞かれたら「まだ決めてません」と答えることになるかと思います。実際にときどき考えることはあって「おばあちゃんになってもエバンジェリストしているかなぁ」・・・前例がないので・・・わかんないから考えないようにしているかもしれません。
ちょまどさん:私の場合「情熱ドリブン」なので、飽きるまで・・・。他の人がDevrel卒業するときは製品が好きすぎて開発側に移るのを見ていて・・・おばあちゃんになってもコミュニティやっていたいと思っていたら、しわくちゃになっても続けているといいなぁと思います。もし職業エバンジェリストはやめていてもコミュニティは続けたい。「納豆は大豆に戻れない」
水田さん:私の場合は「コミュニティドリブン」なので、私自身がDevrelをつづけるというよりはどんどん人口を増やしていって「国民総Devrel」みたいな・・・誰でも自分が好きな技術をアピールできる、情熱を傾けられる・・・それがかっこいいと思われる世界がいいなぁと思います。
戸倉さん:私は世界で最高年齢のプログラマの方・・・のように慣れたらいいなぁと思いました。
最後にメッセージを
ちょまどさん:観てくださってありがとうございます。これからも一緒にコミュニティを盛り上げていきましょう!
よこなさん:おのおのが好きなものを極めて自由に楽しくコミュニティに参加してみんなでわいわいやっていって、私もその一部でアレたらいいなと思いました。
水田さん:今日はご視聴ありがとうございます。情熱には素直に向き合っていきましょう。情熱ドリブンで行きましょう
最後に感想デス
女性で無くてもエバンジェリストの仕事やそれに掛ける情熱についてわかりやすく話していただいたのでとても勉強になりました。みなさんそれぞれに熱い理想や情熱をもっていらして感動してしまいます
コミュニティを盛り上げましょう