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つらいのは移行の時のパートナー管理〜情シス目線のプロジェクトマネージメントTips#72

世の中にプロジェクトマネジメントに関するコンテンツは非常にたくさんあるのですが、よく見てみるとどうしてもSIer目線のものが多いように思えます。SIer目線の場合だと、どうしても利害が一致しないせいか事業会社というか情報システム部門目線から見るとピンとこないものも多く、ちょっと腹落ちしないことが多くあります。
というわけで無いなら作ろうということで「情シス目線のプロジェクトマネジメント」なるものを書いてみようかと思い不定期だとは思いますがシリーズ的に書いていこうと思います。

システム移行に伴うパートナー会社の変更

情シスをやってきて辛いことは今までシステムを保守・運用してきたパートナーと契約を切らないといけない場面です。

仕事のポテンシャルが低すぎて契約を切る場合はまだマシなのですが、場合によってはなんの落ち度もないのにシステム保守・運用のパートナー契約情シスを切らないといけないことが存在します。

特に多いのがシステムを刷新する場合。具体的に多いのがいままでオンプレ・スクラッチで維持してきたシステムをSAPとかDinamics365とかのERP製品に変更したり、SalesforceなどのSaaS製品に入れ替える場合です。この場合はパートナーの保有する技術力の問題はパッケージ・SaaSベンダーとのパートナー契約の都合上、従来のパートナー会社がいくら誠実で優秀でも新しいパートナー会社に切り替えないといけなくなります。

こういうときこそ情シスは頑張らないといけない

しかしながら契約を切るパートナー会社にも仕事を頑張ってもらわないといけません。システムの切り替えが完全に終了するまでの間は旧システムの保守・運用をつつがなく実施してもらわないといけませんし、なによりシステム刷新のプロジェクトにおいても、旧システムの仕様を確認したり、データの移行など重要な役割を果たしてもらうことが望まれます。

これを「仕事なんだから」「契約なんだから」と気にしない人もいますが、きちんとしたフォローをしないといけません。

契約上やらないといけないのかもしれませんが、例えるならば「自分の墓穴を掘るような仕事」に普通の人間であればちょっと嫌でしょう。下手をするとモチベーションの低い「機械的な仕事」になってしまいます。

契約が切られるパートナー会社の社員に対してもフォローが必要です。

だって人間なんですから

最悪なのがこういうプロジェクトの仕切りをすべて新しいパートナー会社に任せっきりにすることです。それでは自分の敵のために自分の墓を掘らされるようなもんです。そんなモチベーションで仕事をさせたら、露骨なボイコットは起きないものの、気合の入らない仕事でトラブルが次々に起こってしまうことが確実です。

「運が悪い」とか「仕方ないよね」みたいな因果関係が不明なトラブルなのですが人間ですから、そういう事態は起きやすくなるのは確実でしょう。

ですから、こういう場合は情シスが頑張らないといけません。

どうやってパートナー会社のモチベーションを保つのか?

正直こういった場合に、確実にこれだという特効薬はありません。

しかもこの場合は一方的に「頑張ってくれ」と言ってもしょうがありません。「頑張って自分の墓を掘れ!!それがプロだろう!!」・・・・むしろ言い方を間違えると逆効果になりかねません。パートナー会社自身で、そう想うようにしなければあまり効果がありません。

それは、そのパートナー会社の社員たちの個性にもよりますし、それまでの関係性にも大きく左右されます。

気をつけるポイントとしてはパートナー会社とその社員は一体ではないことです。パートナー会社の幹部や営業からみたら「契約切られた、糞!!」かもしれませんがエンジニアたちにとっては違う場合が十分にあります。
特にパートナー会社とは継続した契約であっても、所属するエンジニアが計画的に入れ替わっている場合であれば、エンジニアにしてみれば「計画を切られた」ではなく単なるローテーションのひとつでしかなくなるからです。システム移行の場合でも「プロなんだからがんばろう」と思ってくれる可能性は高いでしょう。

そして一番の理想的なパターンは個人的な信頼関係、盟友関係により高いモチベーションを保つことです。「今まで一緒に良い仕事をしてくれた恩を今こそ返すべき」と思ってもらえるのが一番です。

どちらも、従来からの施策や関係性によるもので、システム刷新が決まってからでは間に合いません。従来からパートナー会社の社員とどう接してきたかが重要になります。今まで「発注元だから」と威張りくさって冷たく対応してきたなら、システム刷新のプロジェクトはその報いを受ける場所になってしまいます。



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keita
チップもらったらきっとMidjourneyに課金すると思います