外を知らなきゃ「そこまでしなくてもいいんじゃない」で終わってしまう〜情シス目線のプロジェクトマネージメントTips#75
世の中にプロジェクトマネジメントに関するコンテンツは非常にたくさんあるのですが、よく見てみるとどうしてもSIer目線のものが多いように思えます。SIer目線の場合だと、どうしても利害が一致しないせいか事業会社というか情報システム部門目線から見るとピンとこないものも多く、ちょっと腹落ちしないことが多くあります。
というわけで無いなら作ろうということで「情シス目線のプロジェクトマネジメント」なるものを書いてみようかと思い不定期だとは思いますがシリーズ的に書いていこうと思います。
外に行かない情シス
情シスは基本的に外に出たがりません。まぁ内製化が進みつつあるとはいえ日本のITエンジニアの7割はまだ「委託」とか「派遣」ですので、実際に外のコミュニティなどで見かける情シスは非情に希少種です。
情シスはもともとエンジニア志向ではなくITそのものに興味が薄いというケースもありますが、基本的に固定化された基幹システムのおもりが仕事である事が多いせいで新しいことに興味がないという傾向にあります。
日本のオンプレ情報システムの寿命は非情に長く、一説には14年ちかくという説もあるくらいですから、一度習得した技術をそのまんま維持していれば、仕事には困らない事が多いです。たまに偉い人やビジネス部門に「こんな事できない?」と聞かれても、ソッコーで「売りではムリムリ」とか「なにが起きるかわかりませんよ」って言っておけば、たいていは回避できます。・・・・・だから情シスは外に出たがりません。
外に行かねばならない情シス
情シスもいちおう「ITエンジニア」の端くれですからプロジェクトマネジメント力を含めた「技術力」でその価値を測られます。
しかしながら情シスの人は外に触れる機会がないので自分でそれを「測る」ことができません。
受託のエンジニアであれば、仕事が変わるたびに他社のエンジニアと一緒に仕事をしたり、優れたITシステムを持ってたり目指したりする顧客企業に出会ったりすることで「自分の位置」を知ることができます。さらに営業時の売り材料にするために無理やり資格にチャレンジさせられたりするので、そういうばでも自分の実力が測られたりします。
しかし情シスはそういうこともないので、ずっと「自分の価値」や「自分たち(部門)の価値」を知り機会がありません。
だからこそ、情シスは自ら積極的に「自分の価値」を知るために他者と触れあう必要があります。なぜなら「他人の価値」を知らなければ「自分の価値」はわからないからです。
「自分の価値」がわからないと、自分の足りなさも自覚できないので「がんばろう」という気にもなりません。
これがかなり致命的な事態を生みます。
「ストッパー」になってしまう情シス
「自分の価値」がわからないと、自分の足りなさも自覚できないので「がんばろう」という気にもならないとはなしましたが、それ以上にやばいのが、今の自分達のITに対する認識が更新されないことです。
導入したときは確かに「最新」のITシステムです。しかしながら5年・・・・どころか2〜3年経つとどんな優れたシステムでも相対的に「時代遅れ」となってしまいます。
・・・・・でも外に出ないとぞのことには気が付きません。
だからいつまで経っても、システムは「最新」と錯覚してしまいます。なんてったって外の情報は入ってこないので、物差し=情報は更新されません。
なぜなら情シスは外に出ない、外を見ないですから・・・いつまで経っても「新しいシステム」のままなのです。
つまりはこのシステムを良くしていこうとか、ましてや入れ替えようとは思いません・・・・5年経っても、10年経っても「新システム」のままです。
だからビジネス部門など外の人が意見を言っても「そこまでしなくてもいいんじゃない」で終わってしまいます。つまりはITシステムも、それが支えるビジネスプロセスも更新されることはありません。
・・・・これは場合によっては・・・というか大抵の場合はビジネスの競争力になにかしらの影響を与えてしまいます。
学べなくとも外に出よう
よくセミナーや展示会に行っても「たいした学びがなかった」という人が居ます。具体的には「すぐに使える知識を得ることができなかった」という意味です。
・・・まぁ少しづつ身に付ける「勉強」と、即効性のある「訓練」の区別がちゃんとついてないせいもありますが、残念なコメントです。
しかしながら、たとえそれが真実だったとしても情シスは外で学ぶ必要があります。
なぜなら、たとえ「実力」が上がらなかったとしても、自分の現在の「実力」を知る必要があるからです。これだけはいくら「中」で研鑽したところで得ることができません。外の世界の変化を知ることこそが大事なのです。
たとえ解決する能力がなかったとしても「そこまでしないと生き残れない」ということを実感することが情シスにとっては重要なのです。