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SAPのサポートは2027に「切れる」のか?

おはようございます。今日は久々にSAPのネタです。とはいえ技術ネタではなくサポートについてのお話です。意外にちゃんと理解されている人が少ないSAP旧Ver2027年サポート切れの問題です。今日野ChillSAP朝のもくもく会の時間にやっと記事が見つかったので共有してみたいと思います。

2025の崖の主役?

企業の基幹システムとして最もメジャーなERPパッケージSAPなのですが、その最新盤は「S4/HANA」です。とはいえいろんな理由でまだ前のバージョン「SAP ERP Central Component」を使用している企業は多いと思います。特にERP導入ブームの最初の頃「カスタマイズしまくってでもERPを導入」した企業の場合は簡単に「S4/HANA」に切り替えられるわけではありませんよね。まだまだたくさんの企業が「R3」ベースのパッケージを使用しています。

そこに襲い掛かったのが「2025年の崖」。この言葉自体は「2025年頃に古い基幹システムを開発したエンジニアが居なくなりますよー」という警告で「2025年」という明確な期限があるものではありません。しかしながら運の悪い所にSAPが「SAP ERP Central Component」のサポート期限を2025年で終了しますなんてってしまったものだからSAPが「2025年の崖」の主役にまで躍り出てしまったわけです。

これによりユーザー各社やSIerは焦って「S4/HANA」への移行を検討したり対応できる技術者をかき集めたりしたわけです。

2027年へサポート延長?

この情報にさらに拍車(?)をかけたのが「2027年延長発表」でした。これは2025年まででサポート終了する予定を新しいEHPについては延長します。さらに追加料金を払えば2030年まで延長サポートに応じるという発表。まだ移行計画を立てていないユーザー企業や技術者の確保ができていないSIerはほっと胸をなでおろしたことでしょう。これはいろんなメディアで取り上げられました。

実際に検索してみるとわかるのですが、その話題に乗っかっていろいろな会社さんが自社サービスや移行サービスに誘導しようと記事を載せています。

残念ながら各メディアさんも「サポート切れ」には反応していますが、「サポート」の内容には一切触れていません。読む人によっては「サポートしてくれなくなるから期限までに何とかしないと大変なことになってしまう」と感じてしまいます。

例えばこんな感じ
・システム障害が発生してもSAP社は全く対応もしてくれない
・サポートIDやサポート窓口も閉鎖してしまう
・使っている機能の一部が停止されてしまう
・アップグレードへのサポートもしてくれない

でも、本当にSAPさんがユーザーに対しそんな冷たいことをするんでしょうか?

実際にSAPさんに聞く機会があったのですが全くそんな事ではありませんでした。


サポートそのものは切れない

とはいえ、聴いた話を書いたって何の信ぴょう性もないので探してみましたが「2027年サポート延長」の記事や広告に埋もれてしまっていて、なかなか記事が見つかりません。でも探し続けてやっと見つけました。2018年の記事です。

3章の「SAP ERP 6.0のサポート期間は本当に2025年まで??」のところに「カスタマ・スペシフィック・メンテナンス」という事が書かれています。これを見ると、2025年(2027年)で期限打ち切りになるのは新規のOSやDBへの対応や未知の障害への対応などサポート全体の一部であり基本的なサービスは継続される・・・・といった事です

具体的には
・SAPへのインシデント解決依頼(OSS)
・SAP Support Portalの全機能使用
・アップグレード権
・SAP Solution Managerによるアーリーウオッチアラート発行

これらのサービスは継続して使用できるのです。全然イメージ違いますよね

では何をすべきか?


ですから「サポート期限終了はこんな解釈になります。

2027年を境に新しい事はサポートされなくなってくるので新しい一歩を踏み出し始めてください

言ってしまえば「これから下り坂になります」ということであって

断じて崖ではありません

当然古いバージョンを使い続ける事のデメリットはありますが、それはあくまで最新のITにより獲得できるビジネス的メリットを得ることが出来ないということであって、ITサポートの話ではありません。

「S/4 HANA」に移行するしないは別にしても、ビジネスで何を実現して、そのためにどんなITが必要かを考えれば・・・・難しいですけどね。


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