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マネジメントとは急ぎでないけど重要なことをちゃんとやる事〜情シス目線のプロジェクトマネージメントTips#81
世の中にプロジェクトマネジメントに関するコンテンツは非常にたくさんあるのですが、よく見てみるとどうしてもSIer目線のものが多いように思えます。SIer目線の場合だと、どうしても利害が一致しないせいか事業会社というか情報システム部門目線から見るとピンとこないものも多く、ちょっと腹落ちしないことが多くあります。
というわけで無いなら作ろうということで「情シス目線のプロジェクトマネジメント」なるものを書いてみようかと思い不定期だとは思いますがシリーズ的に書いていこうと思います。
今日は情シスにとっての重要なマネジメントについてのお話をします
マネジメントの本質とは
マネジメントの本質とはなんでしょうか?
一般的には組織やチームが目標を達成するために必要なプロセスや活動を指します。その中には「管理」のような定量的なものから「動機づけ」みたいに定性的な活動まであります。
これがプロジェクトマネジメントであればプロジェクトが目指す目的を満たすために、かつ与えられたコストや期間を守りながら進めていく活動となります。ですからプロジェクトマネジメントは、そのプロジェクトのスコープやステークホルダーの範囲のなかの立場でこれを考えます。
つまりはマネジメントは目的ごとにそれぞれ存在することになります。
情シスの抱える目的とは?
しかしながら、この「目的」はプロジェクトの中では「ひとつ」(複数あったとしても基本的に矛盾したものではないので「ひとつ」と表現します)でありますが、情シスとしての「目的」は異なります。
残念ながら課題だらけの情シスにおいて一定期間、ひとつのプロジェクトさえやっていれば良いなんてことは、まずないでしょう。プロジェクトの最中であろうとなかろうと、システム障害が起きたり、その対策を急がされたりしますし、偉い人たちは突然何かを思いついちゃったりします。「このプロジェクトが終わったら来てください」なんて絶対に言えません。そうでなくても同時進行でビジネス部門が要求した結果、並行で2つ以上のプロジェクトを進行させないといけないこともあるでしょう。
しかも、組織としては既存のシステムを継続的して安定的に動かすことや、組織を維持するため、そしてガンガン進んでいくIT技術やビジネス革新に追従していくために人材育成なんかもしないといけません。
つまりは担当者個人や情シスという組織の視点で見ると、目的は「ひとつ」ではなく複数あり、その内容は矛盾したもの(ビジネスサイドの「このプロジェクト最優先だからの圧」とか)になったりします。
「目的」はひとつではない前提でマネジメントを遂行するしかありません。
重要な事は実行されない
こういった複数の目的がある場合、重要になるのは「優先順位」です。
矛盾する目的が乱立しているのですから、残念ながらすべてを平等に達成することは出来ません。(できるなら相当ぬるい状況です)
つまりは何かを優先して、何かを後回しにするしかないのです。
よく優先付けの話が出る中で下のようなポートフォリオが使われたりします。軸は「重要度」と「緊急度」となります。
![](https://assets.st-note.com/img/1728899793-i8jbslLFqWtnA45PBHDceOxp.png)
当然ながら「重要度高」で「緊急度高」は何よりも優先されます。これには異論もないし、問題もありません。
しかしながら問題はその次です。ついつい「重要度低」「緊急度高」に重点が置かれてしまったりします。なぜならば上司やビジネス部門の圧力は「緊急度」が高いところに集中するからです。プロジェクトの中からなぜか湧いてくる「ついでの要求」とか「再現尾の少ない障害の原因追及」みたいなことに、どうしてもパワーを割かざるを得ないのです。
・・・・だって人間なんだもん。
眼の前の怖い人の言うことを聞いてしまうのは人情的にはわかります。
リアルに後回しになる重要な目的
ちなみに「重要度高」「緊急度低」の代表格は「人材育成」です。
一番わかり易くてポピュラーな事例としては「仕事が忙しくて人材育成に手が回らない」状況です。これは私を含めて心当たりがあると思います。
しかしながら人材育成を怠っては、情シス組織に未来はありません。そんな組織は確実にくされ落ちていくことになりますので「重要度最高」の目的でもあります。
・・・・しかし、それはなぜか後回しにされています。
まぁ上司やビジネス部門や経営者からは「このプロジェクトの遂行が最重要」なんて脅されますので、仕方ないといえば仕方ないのですが、人材育成を怠ってしまっては未来の「このプロジェクトの遂行が最重要」に対応できなくなることは確実なのです。
これは人材育成ではなくプロジェクトの中でも同じような構図があります。目先の進捗のトレースに夢中になった結果、可能性の高い大きなリスクを、そのリスクが現実のものとなるまで放置してしまったりすることはないでしょうか?
結果リスクが発現してエラいことになるのですが、「予想外の事態でした」なんてごまかして説明しつつも「なんかやな予感はしていた」なんて思っていることはないでしょうか?
緊急性の低い重要事項を実行するのが「良いマネジメント」
ですから「良いマネジメント」というのは、こういった緊急性が低いけど重要な事をちゃんと実行するということなのです。
大事件を華麗に解決することが「優れたマネジメント」と思われがちですが、本当に優れたマネジメントは「事件を起こさない」ことなのです。事件が起きる前・・・つまりは緊急性がまったくない時に手を打つことができるかが大事なのです。
これを実行するということは言うほど簡単ではありません。プロジェクトの開始時に「最強の布陣です」といいながら経験の浅いメンバーを投入したり、「全力で取り組んでいます」と言いつつ1日単位の教育にメンバーを参加させたり、と一種腹黒いことをやるのが情シスのマネージャーの仕事なのです。
正直、炎上させてから解決するほうが上司から評価されたりしてしまうのですが、それでも先回りする稔侍を持つ事ができるのか・・・・
それができるのが本当に優秀な情シスマネージャーなのです。
なんか報われない・・・・
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