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老害は静かに害をなす〜情シス目線のプロジェクトマネージメントTips#76

世の中にプロジェクトマネジメントに関するコンテンツは非常にたくさんあるのですが、よく見てみるとどうしてもSIer目線のものが多いように思えます。SIer目線の場合だと、どうしても利害が一致しないせいか事業会社というか情報システム部門目線から見るとピンとこないものも多く、ちょっと腹落ちしないことが多くあります。
というわけで無いなら作ろうということで「情シス目線のプロジェクトマネジメント」なるものを書いてみようかと思い不定期だとは思いますがシリーズ的に書いていこうと思います。

今回は自らの戒めを込めて「老害」について語ります。

老害ってなんだ?

まず「老害」ということが事態がかなり曖昧なので、検索AIのGensparkさんに調べてもらいました。いくつか回答がありましたが、以下のものが一番近いと感じたので、それを取り上げてみます。

老害とは何か?その意味と特徴
「老害」とは、年齢を重ねたことで周囲に迷惑をかける高齢者を指す言葉です。特に企業や政党で高齢者が実権を握り続け、若返りが進まない状態を批判する際に使われます。また、年齢に関係なく柔軟性を失い、周囲に悪影響を与える行動をとる人も「若き老害」と呼ばれることがあります。
直接打撃にはならず内部破壊や弱体化

Genspark「老害とは何か?」

つまりは居ることで「若返り」が進まず、「柔軟性の喪失」により新しい方法や道具などが採用されすに昔のままのやり方が続き、結果として組織に「悪影響」がでてくる・・・・あたりがキーポイントとなっていることがわかります。

わかりやすい老害はまだ対処できる

よく漫画に出てきそうな人物像として「パソコンなんか使えるもんか!電卓で充分だろ!!!」みたいな事や「今までのやり方で充分だ!変える必要はない!!」みたいなことを言っている人がイメージされがちです。

ITの世界で言えば「クラウドなんか信用できるか!サーバは自前で管理するのが一番安心だ!!」とか「自動化なんかしなくていいから、確実にできる残業でカバーしろ!!安易に楽をしようとするんじゃない!!!・・・最近の若い奴らは!!」みたいなことを言う人が老害のイメージです。

たしかにそういう人もJTC〜Japanese Traditional Company(伝統的な日本企業〜にはたくさんいるかも知れません。

これを「抵抗勢力型老害」と定義しておきます。


・・・・しかしながら、世の中、そこまでわかりやすい「老害」ばかりではないはずです。

老害は老害として認識されにくい・・・・下手をすると感謝されていたり、周囲の評価が高かったりするケースも存在しているはずです。

明らかに「抵抗勢力型老害」は迷惑な老害かもしれません。しかし明らかに牙を向いてくるので排除することも出来まし、そんな老害がはびこるような職場、こちらから転職でもして逃げ出すことも可能なのです。

・・・・つまりは対処しやすい「老害」なのです。

真の老害は「年の功」の顔をしている

しかしながら、本当にやばい老害というのは「抵抗勢力型老害」のように「害」を全面にはだしてきません。むしろ「年の功」の姿をして現れます。

この「年の功型老害」は、関わるみんなに「良い事」をもたらします。・・・いや、「一見、良い事」をもたらします。

具体的には「失敗しない」ためのアドバイスをしてきます。年の功・・・つまりはかつて経験してきた実績に基づいて失敗しないためのアドバイスをしてくるのです。その結果、失敗を回避することが出来て、周囲はこのアドバイスをしてくれた人に感謝し称賛するのです。「あなたのお陰で我々は失敗しなくて済みました、ありがとうございます」・・・・と

場合によってはその結果により組織から高い評価を受けることもあります。「組織を失敗から救った救世主」として敬われたりするかもしれません。

若者たちの意見を否定することなく、適切なアドバイスをして失敗を回避させる・・・・これを「老害」と感じる人はいないと思います。・・・・・しかし、これこそが本当に深刻な「老害」であるのです。

「失敗の回避」は成功ではない

「失敗しなくてよかった」と思うかもしれませんが、残念ながら「失敗しない」は「成功」ではありません。

「失敗でないからOK」という時代では、もうないからです。

このあたりが私のような年寄りが成長した時代と現在の違いなのです。

高度成長期であれば、他社とのシェア争いに負けたとしても、会社は充分に利益が出ました。しかしながら今はユーザの高い支持を獲得して売上を拡大するか、ニッチにハマって利益を確保するくらいしか生き残れないのです。「まぁまぁいいモノ」では許されないのが令和の市場なのです。

これはマーケットの話だけではなく、いろんなところ、例えば業務改善であっても同じです「微妙な成功」では改善で浮いた工数もすぐ埋まってしまい、実質的な効果を掴み取ることは出来ません。

だから世の中のビジネスはアジャイルのような志向になっているのです。

「失敗」するようなチャレンジが必要な世界

アジャイルは「変化」とか「迅速」というよりも「失敗の許容」・・・そして「失敗から学ぶ」ことが重要になります。チャレンジして、失敗して、ふりかえって、再度チャレンジしながらより良いものを創造していく事が成功につながるのです。

たとえ「アジャイル」という言葉を使っていなくても、今の世の中そういう方向性に変化してきています。

つまりは「若者から失敗を奪う」のは「老害」の最たるものなのです。
失敗のチャンスを奪われた若者は成長することなく、老いていくのです。そして「老害」を再生産することになります。

怒りの対象となり、若者を戦いに導く「抵抗勢力的老害」なんて可愛いものです。







ベテランのアドバイスは失敗をさせないこと
つまりチャレンジさせない事

知恵より時間


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