
1ヶ月遅れは1ヶ月遅れでは済まない〜情シス目線のプロジェクトマネージメントTips#27
世の中にプロジェクトマネジメントに関するコンテンツは非常にたくさんあるのですが、よく見てみるとどうしてもSIer目線のものが多いように思えます。SIer目線の場合だと、どうしても利害が一致しないせいか事業会社というか情報システム部門目線から見るとピンとこないものも多く、ちょっと腹落ちしないことが多くあります。
というわけで無いなら作ろうということで「情シス目線のプロジェクトマネジメント」なるものを書いてみようかと思い不定期だとは思いますがシリーズ的に書いていこうと思います。
よくある計画の見直しの光景
言うまでもなく情シスって「発注側」の立ち位置です。SIerの持っている納期とはちょっと感覚が異なります。SIerなら納品が遅れるとお金が貰えなかったりしますし大抵の場合は原価も膨れ上がります。だからそうならないように納期の管理は厳しく行われたりします。でもは発注側である情シスってそのへん少し甘い事があります。
プロジェクトの途中でどうしてもゴールの時期を遅らせざるを得ない場合に成った時に「仕方がない スケジュールを見直そう」という話になったりします。
たしかに全然進んでいないのにSIerさんに無理を言って間に合わせようというのはチョット今の時代に合わないし、開発委託も完成委託から準委任に写ってきていることもあって、昔よりはゴールの日程をを動かすのには抵抗がなくなってきているのかとも思います。
特にまだ傷が浅いというか約束の重圧の少ない上流工程においてはこの傾向は強い気がします。
コストは確実に上がる、そして効果は確実に遠のく
しかしながら、ゴールが伸びるということはその分多くのメンバーをプロジェクトに拘束することになるので、よっぽど思い切ったチームの縮小をしない限り、プロジェクトに係るコストは上がります。
1億2000万円で1年間の開発プロジェクトの場合で同じ体制のまま1ヶ月ゴールを伸ばすと1千万円増えることになります。
1千万円というと時給5,000円の人を83日分働かせることが出来ます。月換算で4人です。ゴールを伸ばすくらいなら、多少のリスクがあっても終わらせたほうが良いことになります。
なにかあったら人海戦術をつかって人力で解決したほうが得の場合もあります。なんせゴールが伸びて失うお金は1千万円なんですから。
それともうひとつ「効果」も確実に遠のきます。
情報システムを新規で作るなり、改善するなりするのはなんらかのビジネス効果を狙っての事だと思います。プロジェクトのゴールというのはその効果を発揮するスタートが遅れることになります。しかも大抵の場合はスタートが伸びてもシステムの寿命であるEOLは伸びなかったりします。つまりは効果そのものの大きさが縮むことになります。
1億2000万円の開発プロジェクトで投資対効果が3年回収の計画であれば1月300万円以上の未来の利益が失われることになるのです。
1000万円のコストが膨らみ、300万円の価値が下がることになります。これはかなり重要なことだと思います。
優秀なエンジニアは暇ではない
そして優秀なエンジニアは暇ではないということも重要です。
もしあなたのプロジェクトに超優秀なエンジニアがアサインされていたとしたら、彼のゴール以降の日程はどうなっているでしょうか?
当然のことながら優秀な彼は引く手あまたなのです。マネージャーは次の仕事をアサインする計画に入っていますし、もしかしたら別なクライアントに彼のアサインを約束しているかもしれません。
なぜなら彼との契約期限はプロジェクトのゴール日なのですから・・・・
つまりは伸ばしたゴールまでの日々は優秀なエンジニアである彼が居ない状態で仕事をしないといけないのです。
これがエンジニアだけでなく様々なロールの人たちでも起こりうるのです。もしかしたら現場部門からアサインされている彼女は次の社運をかけた新規事業のプロジェクトにアサイン予定されているかもしれないのです。
リスペクトしてないから簡単にゴールを伸ばす
「今のプロジェクトにはそんな優秀な人は居ない」というかもしれませんが、本当にそんな心持ちでいたらそれはかなり危険です。
少なくともプロジェクトメンバーは集まれる限り優秀な人をアサインしないといけない(いけなかった)はずですし、メンバーの事をリスペクトしない姿勢はさらに優秀な人を集めたり引き止めたりできなくなることに繋がります。
プロジェクトマネージャーやリーダーであるならば、ちゃんとメンバーをリスペクトしてそれぞれの事情や能力を発揮できる未来を考えて接しないと行けないのだと思います。
安易にゴールを先延ばしし、まるでモノのようにメンバーを拘束し続けるのでは本人だけでなく、その周囲に居る人たちからの信頼を失ってしまいます。
そして、少しずつあなたのプロジェクトには優秀な人は集まってこなくなります。
・・・・決めた納期ってお金以上に大切ですね
いいなと思ったら応援しよう!
