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自分の墓を掘らせるな!〜〜情シス目線のプロジェクトマネージメントTips#73
世の中にプロジェクトマネジメントに関するコンテンツは非常にたくさんあるのですが、よく見てみるとどうしてもSIer目線のものが多いように思えます。SIer目線の場合だと、どうしても利害が一致しないせいか事業会社というか情報システム部門目線から見るとピンとこないものも多く、ちょっと腹落ちしないことが多くあります。
というわけで無いなら作ろうということで「情シス目線のプロジェクトマネジメント」なるものを書いてみようかと思い不定期だとは思いますがシリーズ的に書いていこうと思います。
なかなか協力してくれない自動化・省力化
DXにしろ、自動化にしろ、省力化にせよ現場の人たちがなかなか協力化してくれない・・・みたいな話はたくさんあります。よく「抵抗勢力」と言った呼び方で言われ、最近は色んなところで話題として取り上げられることが多くなりました。
最近のデジタル化のプロジェクトは従来の単なるシステム化の時代に比べて対象とされる業務プロセスが非常に複雑で難しくなっているため、現場の協力が必要不可欠です。ヒアリングではしっかりと現在の業務のやり方や課題を聞き取らないといけないし、自動化のための分岐基準を明確にしたりマスタをメンテナンスしてもらったりしてもらわないといけないですし、とにかく作ったツールを使ってもらわないといけなかったりもします。
だから一般的には現場の協力を得るために、何回も目的を説明したり、ワークショップをして改善の効果を理解してもらったり、それでもだめなら上位者からの働きかけをしてもらったりするわけです。
当人にとっては自分の墓を掘る仕事
なかなか協力してくれない理由には様々なものがあります。現在の仕事のやり方に対する愛着、急激な変革に対する不安、新しいものに対する恐怖心などなど・・・・・様々な理由が複雑に絡まりあっっています。
いろんな現場を見ていて一番気になるのは、省力化に対する恐怖です。会社は従業員の仕事が楽になっても得をしません。残業を死ぬほどさせていてピンチになっている以外は会社の利益はさほど上がりません。
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上がるとしたら配置換えによる人員削減・・・・イメージ的にはリストラしかないわけです。人員削減をすれば会社の利益が上がるのです。そんな意図を見通した場合、改革にやる気の出る人はいるわけがありません。
「人員削減するから自動化をするぞー」なんてことが認識されたら、その職場のモチベーションが下がることは間違いありません。
それなのに「改善に協力しろ」だなんて言っても協力をするわけはないのです。
なぜなら改善への協力は自分の墓を掘るような行為だからです。
どうしたら改善を前進させることができるか?
ではどうしたら、改善に協力してもらえるか・・・・いや目的は改善の実行なので、どうやったら改善にむけてプロジェクトを前進させることが出来るのか?
正直、どういった組織なのか、どういったプロジェクトなのか、経営層の求めていることは何なのか、改善にかけられるコストはいくらなのか、家事感はどれくらい残されているのか・・・・結論はそれぞれのプロジェクトで異なります。
答えは一つではありません。
こういってしまうと話がふくらまないので、この話はこれで終わりになってしまいます。
それでは意味がないので両極端の2つの解決パターンを紹介します。
①協力してもうことを期待しない
ひとつのパターンは「協力に期待しない」パターンです。
どうせまともな協力が得られないと覚悟して、協力を限定的なものにすることです。ヒアリングで聞いたことを鵜呑みにしないで、他の人にも同じことを聞くとか、ヒアリング結果の検証プロセスを用意するなど、徹底的に信用しない前提で進めるということです。
もちろん相手には「信用しています」という態度は取りますが、「念の為」とか「決まりなので」とか言いながら信頼しない前提のプロセスで現状調査を行うのです。
その後の実行段階も違う人、新しい人にやってもらう前提で進めます。
聞くことを聞いたら現場の人に用はありません。
なぜなら要らなくなる人だからです。
②改善の主体は当事者が行う
①とまったく真逆の方法で、徹底的に現場に頼ります。頼るというよりも改善の主体はプロジェクトの人ではなく、現場の人当人とすることです。プロジェクトの人は現場の人を支援する事、コーチングすることに徹し、考え抜くのも、汗をかくのも、試行錯誤するのも現場の人主体で実施する方法です。
つまりは魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えるやり方です。
そして現場の人達は、「仕事を実行する人」から「仕事をマネジメントする人」に変わって働き続けます。たとえ職場がなくなっても、その人の仕事がなくなることはありません。
抵抗しても仕事は変化する
自分はビールが好きなのでたまにビール工場に見学に行きます。現在のビール工場では生産現場に人を見ることはあまりありません。一見、無人に思える生産ラインが並んでいます。
日本の会社の生産性は「現場は高く」、「バックエンドは低い」とされています。競争にさらされ続けた生産現場のしごとはここ20〜30年で大きく変わりました。バックエンドのホワイトカラーと言われる人たちは競争にあまりさらされることがなく、現在では国際的に競争力が低いとされています。
ビール工場は無人のように見えて意外に人が存在しています。その人達は生産そのものをしているのではなく、生産を改善したり、品質を維持したりするマネジメントをしています。
労働がそういうふうに移動しているのです。
この流れは抵抗したところで、変わりません。
あまり綺麗事で済む世界ではありませんが、改善に関わる人は幸せになってほしいとは想うわけです。
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