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子供の自転車から手を離す〜情シス目線のプロジェクトマネージメントTips#18

世の中にプロジェクトマネジメントに関するコンテンツは非常にたくさんあるのですが、よく見てみるとどうしてもSIer目線のものが多いように思えます。SIer目線の場合だと、どうしても利害が一致しないせいか事業会社というか情報システム部門目線から見るとピンとこないものも多く、ちょっと腹落ちしないことが多くあります。
というわけで無いなら作ろうということで「情シス目線のプロジェクトマネジメント」なるものを書いてみようかと思い不定期だとは思いますがシリーズ的に書いていこうと思います。

今回は運用の手離れについてちょっとイイ話を思いついてしまったので書いてみます。

子供の自転車から手を離す

子供を育てた人であればきっと経験があると思いますが、子供が初めて自転車に乗るためのシーン。

後援の広い芝生の上で親が自転車の後ろを手で支えながら、子供がペダルを力強く踏みだして小さな自転車の写真はまわりだす。

「絶対に手を話さないでね」

と強く懇願する子供に対して、親はやさしく

「大丈夫、絶対に手は離さないから、安心して漕いで!」

親の声に安心して子供はより一層力強くペダルを踏んでいく・・・

そうしていくうちに芝生をかきわけて走る車輪はスピードを上げていき、自転車はだんだん安定した走りをみせてゆく・・・・

「やったー!!」

子供は嬉しそうに歓声を上げながらハンドルを握りしめながらペダルを踏んでいく・・・・

芝生の上の爽快な風が子供と自転車の横をすり抜けてゆく

「乗れたぁ乗れたよぉー!!」

子供はすぐ後ろにいる親に話しかける。

嬉しさのあまり子供は親がいる後ろをふりかえろうとする。すうぐさま自転車はバランスを崩し、ハンドルがよろよろと左右に振れてから自転車は芝生の上に倒れ込む。

がしゃーん!!

芝生に投げ出された子供があわてて後ろにいる親を見る。


・・・・親ははるかむこう側で立って手をふっている


「ひとりで・・・乗れた・・・」

なかなか手放さないシステム運用

情シスにはシステムを開発が完了した後も、なかなかそのシステムの運用を手放さない人が居ます。開発ベンダーであれば基本的に契約が終了して、引き継ぎをして、そこでさようならなのですが契約の区切りのない情シスの人の場合、特に上司がちゃんとマネジメントしていない場合はそのまんまズルズルとシステム運用を続けてしまったり、場合によってはシステム利用者側で行うマスタメンテのような事まで引き受けてしまっている人も見かけます。

しかしながら「システム」は使う人の運用も含めて運用なのです。いつまでも「開発した人」が関わらないといけない上な状態ではシステムは機能しているとは言えません。こういったケースでは表に見えている機能の実装は一生懸命やっているけど、システムや業務の運用は全く考えられて居なかったりします。・・・・その結果として開発者が開発したシステムから手離れできないといった事態になって、その結果ズルズルと運用を続けているということになってしまいます。

システム運用を手放さない悪影響

しかし「一番詳しい開発者」がいつまでも運用の多くを抱えている状態では利用者はいつまで経っても「一番詳しい人」に頼り切りになり、システムを自分たちの仕事の一部として捉えることができず。自律的な活用に繋がっていかないのです。そしていつの間にか「なぜこの機能が存在しているか?」すら忘れてシステムがブラックボックス化してしまうのです。

その結果は「進化の停止」です。

下手をすればシステムを入れたことがビジネス的には逆効果になってしまったりします。


そしてもうひとつ、多くの場合には会社にシステムがひとつしか無いことはありません。新たにシステム開発を行うべき対象はたくさんありますし、古くなったシステムを新しくするなどの開発需要は多くの会社の場合、耐えることはないと思います。
しかし、システムを作るたんびに開発者がシステム運用を抱えていってしまっては、それらに対応する開発力がだんだん減っていくことになってしまいます。

SIer、開発ベンダーでなくともシステムからの「手離れ」はとても重要です。

守り続ける「愛情」と手放す「深い愛情」

そんな悪影響のある行動をなぜ多くの人が取り続けるのか・・・・彼らだって悪意を持って行動しているのではないはずです。

その答えのひとつは「愛情」だと思います。

自分が苦労して作り上げたシステム、システムと同時に作り上げたユーザ達と築き上げた信頼・・・・そういったものを大切にするあまりの行動が考えられます。理由を聞いてみるとたいてい「だって、まだ彼らきちんとできないじゃないですか」とか「やらせてしまってトラブルになったらどうするんですか」みたいなコメントが得られます。

・・・これって冒頭に登場する「親」と同じ状況ですよね

嘘をついてでも、一人でこがせ、コロンで怪我をするリスクが有っても、持った手を放さないと「子供」は自転車に乗れるようになれないのです。

守るのも愛情ですが、手放す、突き放すのはより深い愛情なのです、


作り上げたシステムからはさっさと手を離しましょう。







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keita
チップもらったらきっとMidjourneyに課金すると思います