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全体最適はぶつかりあう〜情シス目線のプロジェクトマネージメントTips#31

世の中にプロジェクトマネジメントに関するコンテンツは非常にたくさんあるのですが、よく見てみるとどうしてもSIer目線のものが多いように思えます。SIer目線の場合だと、どうしても利害が一致しないせいか事業会社というか情報システム部門目線から見るとピンとこないものも多く、ちょっと腹落ちしないことが多くあります。
というわけで無いなら作ろうということで「情シス目線のプロジェクトマネジメント」なるものを書いてみようかと思い不定期だとは思いますがシリーズ的に書いていこうと思います。

なにかと出てくる「全体最適」


情シスとして仕事をしていると「全体最適」という言葉をよく聞きます。たとえば各事業部門の要求に対して情シスがこの言葉を使って要求を封殺することもありますし、親会社の情シスが子会社に対してこの言葉を使って、同じ業務システムを使わせようとしたりします。
言っている人はいい気持ちで使っていますが、言われた方はほぼ100%嫌な気持ちで聞くという、ある意味特殊な言葉でもあります。

考えてみればこの言葉を使われる(聞かされる)側の方にどんな正当な理由・・・要求を封殺された事業部門であれば、実現できれば充分な収益が得られたり、子会社の事業規模であればもっと安価に使えるものだったり、その業務によりフィットしていたり・・・・ちゃんとした理由があったりするのに、それをブルドーザーのように踏み潰す魔法の言葉が「全体最適」なのです。

この言葉によって議論は止まり、思考は停止させられるのです。


たしかに「全体最適」にも一理ある

なんとなくイメージの悪い「全体最適」なのですが、完全なる悪というわけではありません。個別最適と同様に全体最適には全体最適なりの根拠はあるのです。

例えば会社全体のなかでもっと投資すべき対象があるから、多少効果が高くても要求に応える事ができないという事情や、同じシステムを使う事によって素早い会計処理が実現できたり、ホールディング全体での最適投資が判断できるようになったり、システム運用コストを抑えることが出来たりと・・・全体最適には全体最適としての主張はしっかりあるのです。

だから決して「全体最適」が悪いというわけではないのです。合理的に考えながらバランスを取ることが大事なのですが・・・・たいていは「全体最適」を主張するほうの組織の方が権力の中枢に近かったりして、なかなか難しい問題だったりします。

「全体最適」は決して「全体最適」ではない

やはり「全体最適」には勝てないのか・・・・・いやいや「全体最適」に対抗する手段はひとつあります。

別の「全体最適」を持ち出すことです。

「全体最適」の「全体」は往々にして「全体」ではないことがあります。「全体最適」はあくまでも特定の組織にとっての「最適」でしかなくて、あらゆる組織や事項を網羅した完全な「全体最適」では決してないのです。

例えば人事にとっては人事の「全体最適」、経理にとっては経理視点での「全体最適」、そして技術観点からの「全体最適」、システム運用にとっての「全体最適」といった感じで立場や視点が違えば「全体最適」も大きく異なってしまうのです。

つまり完璧な「全体最適」なんて存在しないのです。

そう考えるとたとえ権力側の圧力があっても、賢く振る舞うことによって別の「全体最適」を祭り上げ、うまく行けば先手を切って相手の「全体最適」を封じることも出来るのです。

もう「全体最適」を恐れる必要はありません

しらんけど




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